基準値を大幅に超えるアルコールが検出され、日本航空の副操縦士が英国の警察当局に逮捕された問題に関連し、日航が新型の感知器を導入した昨年8月以降、19件で基準値を超えるアルコールを検知していたことが15日、同社への取材で分かった。このうち12便で乗員などの手配のために遅延が発生していたことが明らかになっている。という日経の記事です。
アルコールを検知して遅延が発生したのは、いずれも新型の感知器が配備された国内の空港ということで、旧型の感知器しかない海外について問題視しています。大勢の命を預かって空を飛ぶお仕事ですから、速やかに新型を導入してほしいものです。
航空業界は失敗から学習できる組織
航空業界は、このような失敗や課題を見つけて、それを改善していくという対応が非常に優れていると言われています。平成29年交通安全白書によると、平成28年の航空事故は13件発生しているものの、大型飛行機による航空事故は、乱気流等気象に起因するものを中心に年数件にとどまっているといいます。
また、特定本邦航空運送業者(客席数が100または最大離陸重量が5万キログラムを超える航空機を使用して航空運送事業を経営する本邦航空運送事業者)における乗客死亡事故は、昭和60年の日本航空123便の御巣鷹山墜落事故以降発生していないそうです。なんと30年以上乗客死亡事故なしです。
最近、日本の代表的な企業で不正・不祥事が後を絶ちません。それも長年にわたり行われてきたものが、ここへきて一気に噴き出している感じです。これに対して、航空業界は劇的に異なると言われてるんですね。「失敗の科学(失敗から学習する組織、学習できない組織)」:マシュー・サイド著 で詳しく書かれています。kuniの超お勧め本です。
その中で航空業界について、「失敗と誠実に向き合い、そこから学ぶことこそが業界の文化なのだ。彼らは失敗を「データの山」ととらえる」と、主に医療業界との対比で語っています。事故やミスをしっかり隠蔽させることなく開示させ、それを徹底的に分析し、分析結果を業界全体にフィードバックする仕組みが出来上がっているということです。
そのような業界であるにもかかわらず、なぜ海外には旧型の感知器なのか。今のところ詳しい情報はありませんが、今回の失敗を受けて、日本航空や航空業界がどのような対応をしていくのか。楽しみにしたいと思います。