第一商品(8746)の不正会計 第三者委員会の調査完了

第一商品株式会社は1972年設立、1996年に店頭市場(現在のジャスダック)に上場した企業です。金地金取引、金先物取引を扱う会社ですね。2015年3月期から2020年3月期第1四半期の決算に係る会計処理において、不正経理等に関する指摘を主務官庁より受けていました。3月上旬に第三者委員会を設置しています。

これまた酷い会社ですわ

最初に第三者委員会設置を公表したのは3/10でした。ところが同日すぐに公表内容の訂正が行われます。主務官庁から指摘された会計期間を誤って表示しています。さらに翌日第三者委員会の委員等が固まり、正式な委員会設置の公表をするんですが、ここでは第三者委員会の「調査の目的」が示されておらず、翌々日に再度開示するというドタバタです。

最初から躓きまくってるわけですが、4/30第三者委員会の調査報告書を受領したとのこと。翌5/1には過年度の決算短信等の訂正を行っています。ちなみに不正経理等について指摘した主務官庁というのは、経済産業省および農林水産省のようです。

広告宣伝費を偽装した謎の資金還流

かなりややこしい会計不正で、かつ15年前から続いてきただけに、ここで不正の内容を詳細までは説明できそうにありません。ざっくり書くと、、、「ある事業会社に対する長期貸付金12億円がまったく回収されないことに対して監査法人から指摘され、第一商品が広告宣伝費の名目で支払った資金を還流させて貸付金の回収をしていた」というものです。

貸した金を回収できず、自社が広告宣伝費の名目で支払った資金がぐるっと回って返済金になってるわけです。なんと毎月2000万円、51か月にわたって。実質的には債権放棄ですよね。

この事件の凄いところは、不正会計に関与した人物の肩書き。取締役会長、代表取締役社長、経理担当役員などなど、それも直接的に関与というか指示、実行。ガバナンスだのコンプライアンスだの、一切超越した会社です。金を借りていた企業および関係者、広告宣伝費を偽装して受けていた企業など、怪しい人物が登場しますが、、、週刊誌ネタとかになるのかな。

UMCエレクトロニクス(6615) 不適切な会計処理が発覚

同社宮崎工場において、棚卸資産に関する不適切な会計処理が行われていた可能性が判明。事実関係の解明のため、コンプライアンス委員会の下で、外部の有識者を構成員に含めて調査を開始することを決定し、そのことを4/23付けで開示しています。

ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社

UMCエレクトロニクス(正式にはユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社)はEMS(電子機器受託製造サービス)市場において売上高で世界15位、売上高成長率で1位の、「日本発の物づくり」企業だそうです。なかでも、自動車関連メーカー向けが得意なようです。

銘柄コードは6615。東証一部に上場する会社です。今年4月8日、宮崎工場の従業員から、実態の伴わない棚卸資産を計上する等、棚卸資産に関する不適切な会計処理の申告(内部通報)があり、それをきっかけとして初期調査を開始していました。

今回、より客観的かつ網羅的な検証を実施するために、コンプライアンス委員会による宮崎工場及び商流に関連する佐賀工場の調査を実施する必要があると判断し、調査に外部専門家を含めることとした。というのが今回の開示ですね。

この会社もまたか、、、って会社

調べてみると、なんとこの会社、昨年12月、東京証券取引所から上場契約違約金4,800万円の支払いを求められています。そのうえで、特設注意市場銘柄に指定。同社が有価証券報告書等に虚偽記載を行ったというのがその理由。

2名の取締役副社長の関与の下、多数の海外拠点において長期間にわたり不正会計を行っていたということです。さらに、同社は新規上場承認を得るにあたり、開示書類に虚偽の記載をしていたとのこと。上場時から虚偽ですよ。で、まぁ、言ってみれば上場廃止の執行猶予期間中に同じ手口の新たな不正が出てきました、、、というお話です。ダメですねここ。

日鉄ソリューションズ 特別調査委員会の調査報告書

昨年12月13日に設置が伝えられた日鉄ソリューションズの特別調査委員会。同社は2月6日に調査報告書を受領したとのこと。同日付で調査報告書を基に同社がまとめた概要が公表されています。

架空循環取引

同社が公表した内容をそのまま。「当社が特定取引先との間で行った複数の取引について実在性が認められず、かつ、それらの各取引はエンドユーザーが存在しない状態で当社を含む複数の会社が介在する形で複数回にわたって循環を繰り返す一連の商流の一部を構成しており、いわゆる架空循環取引と認められた」

さらに、「本件架空循環取引はA社の営業担当であった某氏が主導したもので、当社は、会社としてあるいは社公事業部として組織的かつ意図的に関与したものではないことに加え、当社の営業担当者にも実在性のない架空取引あるいは循環取引との認識はなく、某氏が主導した本件架空循環取引に巻き込まれたものと認められる」

まぁ、ある程度予想通りの調査結果ですね。で、ここに出てくるA社というのが、もっぱらネットワンシステムズだと言われていますが。こちらも今週辺りには調査結果が出そうなので、それを待ちましょう。

データ等

架空循環取引等は2014年度に始まり、2019年度まで、計29件が認められています。売上金額は計428億円、利益は約28億円計上されています。このうち3件はその他の不適切な取引と分類されてますので、架空循環取引は26件ですね。ちなみに、今年度は4件で、134億円の売上金額となっています。

上記の29件ですが、取引先は6社になると報告されています。ここまでの報道では、ネットワン、日鉄ソリューションズ、東芝ITサービス、富士電機ITソリューション、みずほ東芝リースの5社でした。日鉄ソリューションズを除けば4社、、、ということはあと2社残ってる可能性もあるということですね。まだまだ続きますか。

架空循環取引が判明 共和コーポレーション

昨日の適時開示に、「当社における不適切な取引の判明に関するお知らせ」というのがありました。企業名は、共和コーポレーション(6570:東証2部)です。初めて聞く会社、バッティングセンター、ボウリング場、アミューズメント施設を長野県中心に運営する会社のようです。

架空循環取引

またまた不正な会計ですか。架空循環取引だそうで。普通は架空取引と循環取引、別々に使用される言葉だと思ってましたが、同社は架空循環取引という使い方をしていますので、これに倣います。

昨年12月中旬に、同社の取引先アーネスト(大阪)が破産し、そのアーネストとの取引の一部において架空循環取引の疑義が生じたようです。これを受けて既に第三者委員会を設置して調査を継続中とのこと。取引先の倒産、、、循環取引が発覚するパターンの一つですね。

で、昨日の開示は、第三者委員会の調査により、アーネストとの取引の一部に架空循環取引が存在するなどの事実が判明したため、この事実を開示したもの。第三者委員会の調査報告書は2月13日に受領予定としています。

アーネストは同社の中古ゲーム機の販売先であり、破産申立て時の債権は、売掛金1億4200万円です。ゲーム機はアーネストに販売したけど、買付け代金が回収できなくなったということですね。ところがこの取引には販売したはずの中古ゲーム機(ブツ)は存在しなかったということになります。

この1億4200万円、全額が架空循環取引ではないかもしれませんが、一方で、同社とアーネストの取引は過去4年間で約16億円といいますから、架空循環取引の総額はもっと大きくなる可能性もありそうです。

定番のコメント

同社の現時点でのコメントです。「第三者委員会では現時点において、当社がアーネストを架空循環取引に利用したという事実は認められておらず、当社社員が架空循環取引に関与した事実も認められておりません。」、、、ん~、最近よく見るコメントだなぁ。

日東電工 コメ兵 海外現地法人で不正行為

1月27日日東電工、28日コメ兵と、立て続けに、グループの海外子会社で不正行為が発生していたことを公表しています。併せて社内調査委員会を設置して調査を進め、原因の分析および再発防止に向けた態勢強化に努めるとしています。

日東電工

上海日東光学有限公司(中国、上海)という連結子会社が不正の舞台です。購買担当社員が、親族や知人の会社を通じて、副資材を不当に高く仕入れ、同社グループの利益を外部に移転させていたといいます。

この不正行為を行った社員2名は既に今月中旬、業務上横領の疑いで逮捕されているようです。過去5期間にわたる損害額については、連結決算に与える影響は軽微であるとしていますが、損害額とその回収可能性については触れていません。委員会の調査結果を受けての公表となるもようです。

コメ兵

こちらはやや知名度低いですかね。東証2部に上場するブランド品リユース(リサイクルショップ)最大手だそうです。愛知県名古屋市に本社を構え、全国で40店舗ほど展開しています。メルカリを追撃する企業として注目されている企業。「こめひょう」と読むんですね。

昨年12月に、グループ会社になったばかりの会社の香港子会社が舞台です。経理担当者がその立場を利用し、同社の資金を着服していたというもの。コメ兵の内部監査担当者等による臨店の際のヒアリングにより発覚したそうです。着服した金額は約1億円の見込み。こちらも社内調査委員会を設置し、調査を開始しているようです。

両社の海外子会社等の不正・不祥事。いずれも社内で不正の兆候に気付き、調査を進めることで発見に至っています。国税や外部の取引先から・・・といったケースに比べれば、ガバナンスが効いていた。その点については評価できる2社といえるでしょう。

しかし、海外子会社での不正、多いですねぇ。ガバナンス難しいです。