希望退職者の募集 今でも

9月に入り、9/4にパンチ工業、9/5にCARTA HOLDINGSという会社2社が希望退職に関する開示を行っていました。前者は募集結果と特別損失の計上に関する開示で、後者はこれから募集しますという開示です。コロナを乗り切りやっと企業業績が好転してきたところですが、やっぱりあるんですね。

両社の状況

パンチ工業は品川の製販一体型の金型部品メーカー。確かにしんどそうな業界ではあります。全従業員の20%を超える200名が退職します。CARTA HOLDINGSの方はネット広告関連事業を展開する電通グループの子会社で、70名程度を募集するとしています。

詳細を調べたわけではないんですが、両社とも直近3期は最終利益を出せている会社なんですね。意外です。業界動向や事業の再構築など、それぞれの会社に重要な事情があってこその希望退職の募集なんでしょう。

にっちもさっちもいかなくなってからの施策ではないため、両社とも特別加算金も支給され、希望者に対する再就職支援も行われるようです。景気が回復し始めて、人手不足が叫ばれる今ですから、再就職は上手くいくかもしれません。

そごう・西武は

最近60年ぶりのストライキとやらで話題になったそごう・西武では希望退職者の募集とかしてきたんだろうか。希望退職に限らずだけど、指をくわえて衰退を見守ってきたから、最後にあんなことになったのかもしれませんね。

希望退職者募集が止まらない

株式市場はまだまだ堅調ですが、上場企業による希望退職者の募集は収まる気配がありません。今日で1月も終わりですが、2021年に入ってここまでのところ、希望退職者の募集を開示した企業はTDnet上で既に4社確認できます。

1月の開示

今月、早期・希望退職者の募集に関する開示を行ったのは合計11社でした。うち、募集の公表が4社で、募集結果の公表が7社です。募集結果を公表した企業とその応募人員数は、次のような感じです。

放電精密加工研究所(30名)、ムーンバット(43名)、アツギ(75名)、文教堂HD(25名)、セガサミーHD(729名)、NOK(246名)、マクセルHD(309名) ※NOKは連結子会社分です。

一方で、今月募集を公表した企業と募集人員数は次の通り。

かんなん丸(80名程度)、ヴィア・HD(約50人)、三陽商会(150人程度)、IMAGICA GROUP(グループで100名程度)

2020年は

東京商工リサーチによると、2020年に早期・希望退職者を募集した上場企業は判明しているだけで93社に上ったそうです。この数字、リーマンショック直後の2009年の191社に次ぐ高水準とのこと。募集人数は合計で1万8635人となっていて、こちらも2009年に次ぐ数字に。

昨年の希望退職募集者数上位は日立金属(1030名)、レオパレス21(1000名)、コカ・コーラボトラーズジャパンHD(900名)など。実際の応募結果ではファミリーマートの1025名(募集は800名)というのもありましたね。

冒頭で2021年の募集開示企業を紹介しましたが、東京商工リサーチによると、2021年に募集を開始する上場企業は1月21日時点で、すでに22社判明しているとのこと。前年同期(11件)の2倍増のペースで推移していて、募集人数は判明分で3490人だそうです。

止まらない 新聞発行部数 (リストラ編)

今年2月だったか、一度取り上げた話題です。新聞の発行部数が減少し続けていく中、苦しいながらも全国紙は残ってます。みたいな話を書きましたが、なお一層苦しくなってきているようですね。毎日新聞と産経新聞が大幅な人員削減に動くなど、かなり荒れ模様のようです。

毎日新聞 人員削減

毎日新聞は社員の1割にあたる200人規模の早期退職を募集するらしい。そんな話が、ダイヤモンドオンラインで伝えられています。毎日は朝日、読売に比べて記者の待遇が良くないと言われているそうで、以前から記者の流出は多かったようです。採用も計画性に欠け、逆ピラミッド型の社員構成になっていたとのこと。で、50歳以上60歳未満の社員を対象に、早期退職の募集に踏み切るんだとか。

産経新聞 人員削減 新卒採用停止

毎日よりも先、2月頃でしたか、産経新聞のリストラが話題になっていました。やはり全社員の1割に相当する50歳代、180人の希望退職を募ったという話。おまけに今年4月の新卒採用がたったの2人(前年は38人)だけ、という話もありました。産経の経営不振、相当深刻なようです。

次の展開が描けないとなると、ひたすらコストカットしかなくなってしまうんですね。既に全国紙としてやっていくことを断念したんじゃないかという見方や、デジタル部門に注力するかわりに、最終的に紙(新聞)からの撤退もあり得るんじゃないか、といった見方もあるようです。

記者のリストラはまずいでしょ

これらの人員削減って、ニュースというコンテンツを制作する役割の人たちもそれなりに含まれるんでしょうね。証券会社なんかでも、収益を稼いでくれる営業員は残して、ミドル、バックや本社のコーポレート部門で主に希望退職を集めたいんですが、実際に募集するとむしろ営業員の方がたくさん手を上げてしまうという皮肉な結果になりがちでした。

新聞社でも同じようなことが起きるんでしょうか。記者は新聞社にとって最も重要な資産です。記事は他社から買って来れば良い、くらいの感覚なんですかね。それでなくても、最近の新聞は他社から買ってきた記事が多すぎて面白くないのに。どんどん各社の記事が同じになって行きそうです。

そういえば、同じく苦境に陥っている野村證券も、野村総研(NRI)の株式を売却して、その資金で自社株買いでしたっけ。そういう方向性が示されてましたね。これも同じで、野村証券にとって、今後最も期待できるグループ会社、手放してはならない会社を手放してしまうわけです。そんなこと分かってるけど、そうするしか打ち手がない。そういう状況なんでしょうね。