こんな国、こんな企業までゼロ金利で資金調達できるなんて

1/3付け日本経済新聞の「政治が冷ます景気の熱 絡み合う世界の債務」という記事。少々気になりました。今世界で起きていること、それもかなりの勢いで。異常なイールドハンティングというやつです。マイナス金利に沈む各国から、少しでも高い利回りを求めて資金がさまよっています。

次のクラッシュがあるとすれば

投資をしている人なら誰もが、次に急落する場面があるとすれば、いったい何が引き金になるのか、何が原因になるのか、を考えると思います。日経の記事では、「債務の連鎖とでも呼ぶべき現象が国境を越えて起きている」と指摘していました。

分かりやすいところでいうと、日本の銀行がやっていること。貸出先に困った銀行が大挙して海外での投融資を増やしてきました。今では日本はグローバルな銀行資金の最大の出し手となっています。海外へというとメガバンクだけのことのように見えますが、地銀等でも状況は同じです。

リスクの高いクレジット商品、例えばジャンク級(投機的格付け)に近い外債やローン担保証券(CLO)などへの投資が増加しているようです。リスクを取ってでも高い利回りを求めざるを得ない。やはり地銀等も同様の行動を取っています。

ここへきてゼロ金利、マイナス金利はこの時代においてやむを得ないとか、資本主義の一態様であるかのように世界が受け入れ始めているのが気になります。バブルが膨らむ際の共通の感触ですね。

今身の回りにある感覚が当然のことのように受け入れられること。しかし、あとから振り返ると異常事態。そんな感覚です。国際的に絡み合った過剰な債務が逆方向に回り始めるとき、日本の金融システムはかなりの影響を受けそうです。

きっかけは?

と、ここまでは多くの金融関係者が警戒している話かもしれません。問題は逆回転し始めるきっかけ、何が引き金になるのかですね。中国なのか、米国の大統領選なのか、、、何がきっかけになりそうかを注視しながら、今年もマーケットを見ていきましょう。こんな国、こんな企業までが資金調達できるなんて、、、と感じることが多い今日この頃です。

「次のバブルはグリーン・エネルギー」 30兆ドルのカーボン・バブル

「次のバブルはグリーン・エネルギーだ」。このセリフで映画のタイトルが分かった人は、相当な映画通ですね。実はこれ、2010年のアメリカ映画「ウォール・ストリート」でゴードン・ゲッコーが口にしたセリフです。1987年の「ウォール街」の続編ですね。

kuniは一作目を劇場で観ましたが、二作目は観ていません。たまたま先日CATVで二作目をやってまして、酔っぱらいながら少しだけ観ました。その時にゲッコーがこのセリフを。で、妙にその印象が残っているわけです。今ではグリーンエネルギーとはあまり言いませんね。最近の流行りの言葉ですと「再生可能エネルギー」でしょうか。

「気候変動が金融危機の火種に」

こちらは「選択」8月号の記事のタイトルです。ロンドンのシンクタンク「カーボン・トラッカー」は2011年に「燃やせない炭素~世界の金融市場はカーボン・バブルなのか」というレポートを発表。2013年には「燃やせない炭素2013~無駄な資本と座礁資産~」を発表し、次のような主張をしています。

石油、石炭、天然ガスの確認埋蔵量を燃焼させた場合に発生する二酸化炭素の量は、2兆7950億トン。これに対して、産業革命以降の気候変動を2度未満に抑えるためのCO2排出量規制を実行するなら、人類が排出可能なCO2の量は5650億トンでしかない。

つまり、2兆2300億トン分は地中に埋めたままにしておかなければならないということ。この将来燃やすことができない確認埋蔵資源のことを「座礁資産」と呼んでいます。化石燃料企業の株価は、保有する埋蔵資源が将来消費されることを前提に算定されているが、座礁資産の分だけ空前のバブルが発生しているという主張なんですね。この座礁資産=バブルで買われ過ぎている金額が20兆~30兆ドルに及ぶとのこと。

ダイベストメント(投資撤退)

バブルは既に膨らみ切っていて、ただそのことに皆が気付いていないということのようで、ダイベストメント(投資撤退)が進むことでバブルを縮小することができるとの主張です。しかし、これが少しづつ、いい具合に縮小するかというと、そうではなく、どこかで「我先に・・・」という行動心理が働き始めて金融危機を誘発するでしょう。

既にそうした動きが始まっているとも言っていて、化石燃料業界の株価やプラントエンジニアリングなどの周辺業界でも、株価に影響が出始めているとのこと。先月、欧州を襲った記録的な熱波のニュースなんかも、多くの人が環境問題に気付かされたかもしれませんね。

ゲッコーが言うグリーン・エネルギーがバブルではなく、グリーン・エネルギーの台頭が、化石燃料バブルを弾けさせるというお話でした。ゲッコーはどういう意味で言ったのか、ウォール・ストリート、機会があったらじっくり観てみたいと思います。

ITバブル プラットフォーマー・バブル スタートアップ・バブル

1990年代から2000年までの米国を中心としたインターネット関連株の高騰と、その後の急落を指して、ITバブルとかインターネット・バブルなどと言ってきました。英語では dot-com bubble と言うんだそうです。日本でもそれなりにバブルがあって、株式市場も一息入れました。この時期以外は全然さえない時代でしたからね。

プラットフォーマー・バブル

以前にも書きましたが、いわゆるGAFAと呼ばれるITの主要企業は、無料で集めたデータを囲い込み、利活用するというビジネスモデルで、大きく成長してきました。が、しかし、その情報管理の実態や納税の在り方などで今やキリモミ状態です。とりあえずGAFAが目先復活しそうだという見方はほとんど聞くことがありません。

スタートアップ・バブル

何でもバブルって呼んじゃってますが、バブルに値する騒ぎようだったと思います。過去形で書いてしまいましたが、このスタートアップ企業を巡る提携や買収という大企業の対応も、見ていてもうそろそろ山を越えたんじゃないかなという気がするわけです。

最も象徴的なのが、米国で5月上旬に上場したIPO:ウーバーテクノロジーズの株価です。一時は史上最大のIPOみたいなこと言ってましたが、かなり控えめな公開価格45ドルになり、上場後はそこからも下げてしまったまま。公開価格を上回ることなく、今でも43ドル台と低迷しているようです。ちなみに、それより少し前に公開した同業のリフトはさらに残念なことになっています。

これらをライドシェア独特の問題であったり、ビジネスモデルの問題と捉える向きもあろうかと思いますが、kuniはスタートアップ全体に対する期待と現実のギャップに気が付き始めたんじゃないかと捉えています。つまり、スタートアップのバブルはもう弾けてしまったんじゃないかと。

ITバブルから20年

IT関連株が高騰したのが1998年から2000年。この間日経平均株価は5割ほど上昇しました。バブルが弾けたのちには、約2年間で日経平均は2万円台から7000円台まで下げています。同じころ、金融の世界では大銀行への公的資金の注入が始まり、りそなが国有化されるなど、金融機関は窮地に追い込まれていました。

伝統的な金融機関が追い詰められる一方で、IT関連がもてはやされるという構図は、まさに現状と酷似しています。前回バブルから約20年になります。10年ごとに成長株相場と公益株相場が交互に繰り返しているという見方をする人もいます。そういう意味でも節目になるのか。このあと5Gというお祭りが控えているわけですが、プラットフォーマー、スタートアップに引きずられる格好で、IT全体のバブルまで弾けてしまうのでしょうか。