マネーフォワード Retty 債権取り立て不能の恐れ 「ジンユウ」破産で

マネーフォワードとRettyは4/2、債権の取立不能のおそれがあることを公表しました。飲食店向けスタートアップである「ジンユウ」が3/31、東京地裁に破産を申請し、同日破産開始決定を受けたことによるものです。同社に対する債権につき、取立不能の可能性が出ているということですね。

ジンユウ

2015年に設立されたスタートアップ。飲食店向け仕入サイト「KITCHEN BROTHERS」を運営する。所在地は港区虎ノ門、資本金107百万円の会社です。小規模の飲食業者を対象に、サイト上で食材発注サービスなどを展開していたようです。これ以上は分からなくて、同サイトを訪ねてみましたが、「Server Error」。サイトも閉鎖されてしまったようです。

マネーフォワード

家計簿アプリのマネーフォワードでは、同社の連結子会社がジンユウに対する債権をもっていて、金額は50百万円だそうです。が、この債権については、保証機関、保険会社との契約に基づき保険で保全されているとのこと。実質的な負担は5百万円で済むようです。

Retty

Rettyのジンユウに対する債権は約55百万円となっていますが、こちらは保険等の情報はありません。取立不能見込み額については、その全額を貸倒引当金繰入額に計上する予定としています。

Rettyは昨年末からジンユウに対する出資を検討していたようで、上記の貸付も運転資金の補填として2月~3月に行われています。その後、買収監査(デューデリジェンス)の過程で、同社の提出した業績実績に虚偽の報告があったため、出資検討を中止したという経緯があったようです。

何かとよい面ばかり取り上げられるスタートアップですが、こういうこともあるんですね。出資が実現していたら、もっと被害が大きくなっていたと思われます。虚偽が見抜けて良かったです。

チャレナジー(Challenergy) 垂直軸型マグナス式風力発電機

マドリードで開催されている第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)。小泉環境相の演説は不評でしたが、民間はジャパンパビリオンを展示して頑張っているという報道がありました。その中でも目を引いたのが、チャレナジーの垂直軸型マグナス式風力発電機です。

チャレナジー(Challenergy)

2014年に設立された会社のようです。社長は清水敦史さん。東日本大震災がきっかけになり、キーエンスのエンジニアから転じてこの会社を設立。垂直軸型マグナス風力発電機を発明されたんですね。

ホームページの社長の挨拶。「風力発電にイノベーションを起こし、全人類に安心安全な電気を供給する」とあります。「大手電機メーカーで研究開発に従事していた当時に、東日本大震災とそれに伴う原発事故を目の当たりにし、エンジニアとしてエネルギーシフトに革命をもたらす事業を興すことを決意しました」とも。  メチャカッコイイっすね。

マグナス式風力発電

マグナス力について、同社のホームページでは次のように説明されています。

回転する円柱または球が一様流中(風や水の流れの中)に置かれたときに、その流れの方向に対して垂直の方向に力が働くことを「マグナス効果」といい、こうして生み出される力(揚力)がマグナス力です。野球のカーブボールやゴルフのスライスといった現象も同じ原理によるものです。

いろいろメリットはあるようですが、最大のメリットは台風のような激しい風でも安定して発電できることだそうです。kuniも実は気になっていたんですね。最近当たり前のようにやってくる大型台風とか、あの大型プロペラの風力発電って大丈夫なのかと。あまり報道されないけど、実際にはけっこう壊れてるみたいです。

台風や突風に強く、一般的な風力発電と比較して低回転のため、騒音やバードストライクなど環境影響の低下も期待できるとのこと。既にTHKが量産化の支援もしているみたいです。期待できそうですね。

もし同社の方が読んでおられたらですが、ホームページのニュース一覧、12/2のニュース、、、COP24になってますよ。

ソフトバンクG ビジョンファンド 1兆円の損失発生

ソフトバンクGの7~9月期連結決算で7000億円の赤字になったこと、ビジョンファンドでも3600億円の損失が発生したことを発表しました。シェアオフィスのウィーワークの運営会社、ウィーカンパニー関連の投資損失の影響です。日本経済新聞でもこのことを大きく取り上げ、「『孫流』曲がり角」などと伝えていました。

ビジョンファンド 2兆円が1.2兆円に減少

10兆円を運用するビジョンファンドもソフトバンクG同様、ウィーカンパニー絡みの損失を被ったわけですが、その金額は3600億円です。ファンド全体で見ればたかだか3.6%の損失でしかないわけです。その他の銘柄でも評価損を計上していて、合計8000億円と言ってますが、それでも8%でしかありません。

なぜ、こうも日本の新聞は投資の目先の失敗にフォーカスしたがるんでしょうかね。ビジョンファンドのこれまでの累積利益は2兆円から1.2兆円に減っただけ。今でも立派に12%でまわってるわけです。投資の世界なんですから、こういうことも当然あるわけです。

日本で株式投資や資産運用が根付かない最大の原因は、こういうことに一喜一憂する彼らマスメディアにあるかもしれません。孫氏自身がここまでの投資の勝ち負けは3勝1敗と語っているのに、上場後の株価だけを持ち出して、2勝5敗と記事を書いてます。ちょっと悪意を感じる書きぶり、印象操作を感じさせる、まったく、情けない記事です。

スタートアップ・バブル

日経の報道の仕方は残念なわけですが、一方で、今後ビジョンファンドが安泰かというと、そこはkuniも厳しくなるだろうと予想はしています。以前からスタートアップ・バブルについては書いてきたとおりです。

バブルは弾けたと思いますので、同ファンドのプレミアムもはげ落ちてしまいました。メガバンク辺りがコネクトしちゃったフィンテック系スタートアップなんかはほぼ全滅するんじゃないでしょうか。本当にいいものしか生き残らないこれからの時代。孫さんの目利きの見せ場ですね。

エルシオ フレネル型液晶レンズ 小児弱視の治療に

大阪の光学スタートアップ企業のエルシオは、度数を自在に変えられるレンズを開発したそうです。電圧をかけることで、液晶レンズ内の液晶分子を傾けて、光の進み方を変えることで度数を自在に調整できるといいます。小児弱視の治療期間を最大4分の1にできる眼鏡が実現できそうだとのこと。この記事は7/24付け日経産業新聞から。

小児弱視

日本では約7万人、米国では30万人の患者がいるらしく、成長に合わせて度数を変えながら治療に2年かかるとか。数か月ごとの通院や眼鏡の買い替えで30万円程度かかるらしいですが、この新型の眼鏡であれば、常に最適な度数で使い続けることが可能になり、治療期間も大幅に短縮できるんだそうです。

21年度の発売を見込んでいて、年1万個程度を量産した場合の価格は7万円程度を見込んでいます。治療期間も治療費も4分の1程度に抑えることが出来そうですね。

開発者 渋谷義一氏

渋谷氏はTDKで30年間光記録媒体の研究に従事し、その後は液晶レンズの研究を手がけたものの、商品化できなかったそうです。55歳で早期退職して大阪大学に移り、そこで研究が花開き大学内起業でエルシオを創設したとのこと。

会社でやり残した仕事を退職してからも続け、ここまで育て上げたんですね。カッコいいじゃないですか。kuniと同じ世代ですし、会社を退職した後の人生が少し重なって見えるところもあり、この記事になったってところです。いやぁ、素晴らしい。

フレネル型液晶レンズ

冒頭に書いたように、電圧をかけることで液晶分子が傾く仕組みは、まさに液晶テレビの画面と同じです。液晶分子が傾く(寝てたものが立つ)ことで、後ろのライトが見える。そこが明るく見えるのが液晶テレビの原理です。レンズの場合は液晶分子が傾くことで、その部分を通過する光を屈折させているんですね。

可動機構を組み込まなくてもズームが可能になるため、眼鏡以外にも、監視カメラや車載カメラ等の小型化にもつながりそうだとしていました。スマホカメラの小型化にも貢献しそうですね。

記事にはありませんでしたが、老眼鏡なんかも自由度の高いものが出来そうです。手元を見るための老眼鏡が一瞬にして、遠くを見るための眼鏡になるでしょうし、外に出るときはサングラスにもなってくれそうです。この用途にはもう少し価格が下がらないと難しいですかね。

ロセオ ナップワンフィット Nupp1Fit

5/28 日経産業新聞の記事で見付けた、スタートアップ企業の記事です。ロセオはシェアリングサービスを展開するスタートアップ企業で、今回、1分単位でフィットネスジムを利用できるサービス Nupp1Fit(ナップワンフィット)を始めたというニュースです。

まずは、スマホにアプリをダウンロード。アプリで使えるフィットネスジムを探します。ジムではQRコードを読み取ることで、ジムの利用開始時間と終了時間を読み込みます。アプリが1分当たり利用料×利用時間で利用料金を計算して、そのままクレジットカードから引き落としてくれるということです。

フィットネスクラブって入会の手続きとかが面倒くさいんですよね。入会後も怪我をしたとか、ちょっと旅行するだとかで、一定期間使えなくなるってことが意外にあるんです。そんな時って1か月1万円程度の会費はとても高くつきます。入会金や会費が必要ないこのサービスであれば、このようなことは心配する必要なさそうです。

どこのジムが使えるんだろうか

記事では提携した都内の18店舗で使用可能となっていましたが、それ以上の情報はなし。ググってみたら、「LDH martial arts」とかが出てきましたが、こちらは格闘技系のフィットネスジムで、やや専門的過ぎるかと。

他にどんなフィットネスクラブが使用可能なのか、開示するべきですね。ということで、Nupp1Fitのホームページを見てみましたが、ここでも情報は提供されていませんでした。まぁ、とにかくアプリをダウンロードすれば分かるんでしょうけど、、、。ちゃんと腹落ちしないと次のアクションに進めない昭和生まれなもんで。

全国でチェーン展開している、ティップネスとかルネッサンスみたいな店舗は提携してないんでしょうかね。従来のフィットネスクラブのビジネスモデルにとっては、会員にはなってくれてるけどめったに来ない会員(幽霊会員)が結構美味しいはずだしなぁ、なんて考えたりもします。もしもう少し取っ付きやすいジムやクラブが使えるようになるんだったら、kuniも使ってみたいと思います。

ビジネスモデル

彼らのビジネスモデルは、「世界中どこでも、今やりたいと思った瞬間に、登録や予約なしで、様々なサービスや場所にアクセスできる。そして、必要なサービスを必要な時間だけ利用して支払えるプラットフォーム」というものです。今流行りのコワーキングスペースとかも、今後当然ターゲットになるんでしょうね。これからの展開に注目です。