HOYA 不正アクセスによるシステム障害

HOYAは4/4、「当社グループにおけるシステム障害について」を公表しました。3 月30日未明、海外の事業所においてシステム挙動に不信な点あったことから調査をしたところ、同社グループの国内外の事業所においてシステム障害が起きていることを確認したということです。

眼鏡レンズが

この同社のシステム障害で、眼鏡の大手チェーン店「JINS」などを中心に、一部の眼鏡レンズの注文受け付けを停止する動きが広がっているんだそう。HOYAによると同社のレンズは世界シェア2位で国内ではトップということで、その影響は小さくありません。

さらに、眼鏡レンズにとどまらず、ハードディスクドライブ(HDD)向けや半導体関連製品でも生産に影響が出ている可能性があるということで、こちらの影響も心配されるところです。

脆弱な態勢

HOYAにおけるシステム障害は今回が日初めてではありません。2019年には同社のタイにおける最大の工場がサイバー攻撃被害を受け、レンズの生産ラインが3日にわたって停止する事態に。そして、2021年にもHOYAのアメリカにある子会社が「アストロチーム」と名乗るサイバー攻撃グループによって、身代金要求型ウイルスに感染させられています。

要するにサイバーセキュリティに関する態勢が脆弱な企業としてマークされていた企業ということですね。今回の開示でも、「具体的な影響範囲はセキュリティーの観点から、外部に公表しないとしている。」そうですが、もうそんなこと言ってる状況ではないんですよ。セキュリティの全部再構築しないと。

ベネッセコーポレーションの個人情報流出 一人当たり3,300円の支払い命令

2014年に発覚したベネッセコーポレーションの情報流出事件で、重要な個人情報が漏れたとして顧客ら約5千人が1人当たり5万5千円の損害賠償を求めた訴訟の判決が出ました。東京地裁は3,338人に、1人当たり3,300円、総額約1,100万円の支払いを命じたということです。

個人情報の流出

2014年7月に発覚した、「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」を運営する、通信教育の最大手企業であるベネッセコーポレーションの個人情報流出事件。流出した顧客情報は最大で3,504万件に及ぶと言われました。流出した情報は、進研ゼミなどの顧客の情報であり、子供や保護者の氏名、住所、電話番号、性別、生年月日などです。

警視庁は、ベネッセのグループ企業であるシンフォームに勤務していた派遣社員のエンジニアを逮捕。取り調べで、同派遣社員は情報を持ち出し、名簿業者に売却したことを認めました。

相変らずお安い日本の個人情報

ベネッセ側が流出を認めた人数を賠償の対象と認定。その上で、漏洩した氏名や生年月日といった情報は「社会生活を営む上で一定範囲の他者に開示することが予定されており、秘匿性が高いとは言えない」として費用を算出した。んだそうです。

犯罪により不正に持ち出されたという背景はあるとして、それにしてもこの3,300円、安過ぎませんか?当時、日本人の個人情報は一人500円、などと言われてましたから、6倍にはなったんだけど。

日東製網株式会社 ランサムウェア被害からの復旧のプロセス

日東製網は3/18、「2024年4月期第3四半期報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ」を公表しました。このランサムウェア感染被害、初報段階では被害状況が不明でしたが、今回の開示では被害状況から復旧へのプロセスがかなり詳細に書かれています。

被害の状況

1/16、午前8時ごろに外部から不正アクセスを受け、サーバーに保存している各種ファイルが暗号化されていること等を確認。一部のサーバーでランサムウェアが実行され、サーバーに保存していた各種業務データ、業務用ソフトウェアが暗号化され、一切、アクセス不能に。

生産・販売システムへの入出力、会計伝票の入出力及び連結子会社4社の伝票入出力等を行うことができなくなり、経理業務や製商品の受発注、製造などの主要業務及び連結子会社の第3四半期の決算資料作成を行うことができなくなる支障が発生。パソコンを使用不可にしたことからメールの授受ができず、FAX や電話でのやり取りとなり、業務全般の事務に多大な影響が。

復旧

1/19からパソコンの使用を再開。1/31に会計システム、販売、仕入・在庫管理システムを稼働。2/6には生産・販売管理システムが稼働。2/13には各種業務データを保存している共有ファイルサーバーが使用可能に。といった具合に復旧の状況が説明されています。そして同日をもってこれまで滞っていた業務を全面的に再開できたということです。

ランサムウェアの感染被害は他人ごとではありません。自社としてどのような対策をとり、被害に遭った場合はどう対処するのか、、、この日東製網の開示はかなり参考になると思います。

日東製網株式会社 不正アクセスを受けランサムウェア感染被害

日東製網は1/19、「第三者によるランサムウェア感染被害のお知らせ」を公表しました。1/16に外部から不正アクセスを受け、サーバーに保存している各種ファイルが暗号化されていること等を同日確認したということです。

日東製網

日東製網は国内トップクラスの漁網メーカーです。無結節網を用いた漁業用の定置網、養殖網、底曳網、施網をはじめロープ類など各種漁具を製造・販売しています。このほか、獣害防止ネットなど陸上用の網も手掛ける東証スタンダード上場企業です。

被害の状況など

サーバーに保存していた各種業務データ、業務用ソフトウエアが暗号化され、アクセス不能な状況となっているとのこと。情報流出については現在調査中としています。さらに、「早期復旧に向け作業を進めると共に、通常の業務遂行が可能となるよう対応を進めている」と・・・

どういうサーバーが生きていて、どういうサーバーがやられてしまった、という情報がなく、何やら全面的な被害を感じさせる開示文となっています。

毎年増加しているランサムウェアの被害。以前日経が集計したところによると、ランサムウェアによる被害額は平均で1億7,689万円にのぼるとのこと。日東製網における被害はかなり大きなものになりそうな気配です。

※ ランサムウェア:企業などが保有する機密や重要データを暗号化し、システムを使えなくしたうえで、復元と引き換えに金銭(身代金)を要求するコンピューターウイルスのこと。

LINEアプリの利用者情報など 計40万件超の個人情報が流出?

LINEヤフーは11/27、サーバーがサイバー攻撃を受け、LINEアプリの利用者情報など計40万件超の個人情報が流出した可能性があると発表しました。大株主である韓国ネット大手ネイバーと一部の社員向けシステムを共通化しており、同社が攻撃を受けたことでLINEヤフーのサーバーも不正アクセスを受けたとのこと。

LINEヤフー

LINEヤフーはポータルサイトの「Yahoo!JAPAN」や各種ECサイトの運営、そして各サイトの広告枠販売を中核事業とする総合ネットサービス大手。以前のZホールディングスですね。2021年にLINEと経営統合。22年にPayPayを連結子会社化。23年10月に同社、LINE、ヤフーなどとの合併を含むグループ内再編を行い、LINEヤフーへ社名変更しています。

とうとうやっちまったか

LINEヤフーが不正アクセスを確認したのは10月中旬とのこと。旧ZHDや旧ヤフーの個人情報は流出していないようで、流出したのは、個人を特定できない範囲でのLINE利用者の年代や性別、LINEスタンプの購入履歴の情報などとしています。LINE内でやり取りしたメッセージの内容や利用者の銀行口座、クレジットカードなどの情報流出は確認されていないそうです。

もともと韓国にサーバーが設置されており、日本人の個人情報がダダ洩れしてる、なんて陰謀論的な話も昔からありましたが、とうとう本当に情報漏えいです。2021年、2023年にも情報漏洩もどきが起きている同社ですので、今回は間違いなく行政処分ですかね。