初めての証券投資 お勧めの証券会社

株式投資、投資信託、外国債券、初めて投資を考える時って何から初めていいのか難しいですよね。kuniは30年間証券会社に勤めてきましたので、大勢の読者の皆さんに投資の世界を知っていただきたいと思っています。今日は、最初の入り口のお話です。

どの証券会社を選べば良いのか

現在の証券会社は、最大手の野村を筆頭に、大和、日興、三菱、みずほ、この辺りまでがいわゆる大手証券と呼ばれています。岡三、東海東京、岩井コスモ、と準大手が続くわけですが、投資を始めるにあたり、どの証券会社を選んでもらってもかまいません。基本的には大きな違いはないはずです。職場から近い、自宅から近い、ネットの画面が使いやすそう、といった理由で選べばいいんじゃないでしょうか。

証券会社と顧客の関係

どこの証券会社で取引しても違いはありませんが、これから投資を始めるのであれば、ネットでの取引をお勧めします。対面取引(営業員が担当に付く取引)で良い思いができるのは、それなりに資力のある顧客だけです。野村、大和、日興あたりで1億円以上、三菱、みずほでも5000万以上の預かりがないと、難しいでしょう。

一方で、営業員は皆さんが思っているほど、投資に関する良い情報なんて持っていません。昔の証券会社は株式と投資信託くらいしか扱っていませんでしたので、株式に関する情報もそれなりに勉強し持っていました。しかし、手数料の自由化が進み、株式だけでは経営が成り立たなくなってきたため、商品の多角化が進みました。今ではもの凄い種類の商品を覚え、説明できるように、幅広く勉強しなければならない分、株式の知識や情報に関しては非常に貧弱になってしまっています。

また、証券会社には引き受けという業務があり、引き受けてきた有価証券を顧客に販売しなければなりません。IPO(新規公開株式)もその一つです。これは魅力的かもしれませんが、一方で証券マン自身が「こんな商品誰が買うんだよ」なんて商品も販売します。そういう商品の受け皿にはなりたくないですよね。

もちろん、IPOも配分してくれるし、困ったときはお互い様で買っていただく、みたいなバランスの良い営業をする営業員もいますが、なかなかそういう営業員が担当になってくれることは期待しにくいです。基本的に担当の営業員は顧客側から選択できませんしね。

ネット専業の証券会社

投資に際して支払うことになる手数料については、ネット専業の証券会社の方が間違いなく安いです。証券各社の手数料比較みたいな情報はネットに溢れていると思いますので、そちらに任せますが、手数料の高さ、安さを証券会社を選択する際の条件にするかどうかも、皆さん次第だと思います。安い方がそりゃいいんでしょうが、kuniは短期間に何度も取引するような投資を勧める気はありませんので、手数料の違いはそれほど気にする必要はないと思ってます。

株式投資 ヤフー(4689) 393円 その2

テクニカル面からの考察

テクニカルというのは、売買するのに最適なタイミングを計るための分析といった意味です。今買うべきかどうか、という考察になります。ヤフー株、実はこれまでかなり売られて、下げてきた銘柄なんです。第二位の大株主アルタバ(旧米国ヤフー)が発行済み株式の35%にあたる持ち株を売却すると言っていて、その売りがいつ出てくるかと市場は怯えてたんですね。自分が買ったとたんにアルタバが売り始めたら、と考えるとなかなか買う気になりません。

今年の初めからの株価推移を見ると、1月高値549円からほぼ一貫して下げ続け、7月安値350円まで売られています。現在株価はこの最安値から40円ほどもどったところになります。

アルタバ保有全株を売却

アルタバがその保有全株を9/10に売却しました。市場外で売却されたんですが、その話が伝わった市場では売り買い交錯、出来高1億7千万株と、強烈な出来高になりました。kuniはこれをターニングポイントだと思ってます。

スマホによるキャッシュレス決済という材料は既にマーケットでも相当織り込んできた(株価に反映されてきた)話題だと思います。しかしこのヤフー株は大株主の売りという悪材料があって、十分に織り込んできていない銘柄だと考えられます。いわゆる出遅れ感があるわけです

この材料で銘柄を選ぶ際、LINEや楽天でも構いません。どちらも非常に魅力的だと思います。しかし、その材料をある程度織り込んでしまうと、株価は相応に上昇しており、そこから買い付いたのでは投資に勝ち難いんです。もちろん、ネットで短期売買を決め込んでる人たちにはこういう銘柄でも良いわけですが。

株式投資は基本、中・長期投資です。長い間いろいろな投資家を見てきましたが、短期で頻繁に勝負される投資家が勝ち続けるのを見たことはありません。ここから中・長期戦で参戦するのであれば、ヤフー株は手を出し易い水準だと思います。

目標株価

せっかくここまで書いてきましたので、目標株価も考察しておきましょう。まずは今年の高値から安値まで下げてきた半値戻しで450円。価格帯別出来高でみて520円、全値戻しで550円。セオリー通りにいくとこのあたりが当面の目標になります。

今後、新たな材料が出てくることも考えられます。その場合はさらなる上値も十分ありうるのではないかと思います。kuni自身も少し買ってみたいので、今後も状況をお伝えしていきますね。

それから、本来ならペイペイを買いたいところですが、未上場企業ですので親会社のヤフーを、という話です。最初に書いておくべきでした。ごめんなさい。最後に、株式投資は自己責任です。ご自身でも十分調べていただき、判断してくださいね。

株式投資 ヤフー(4689) 393円

以前、キャッシュレス決済について連載しましたが、その中で株式投資の対象として面白そうな銘柄、ヤフー(銘柄コード4689)を取り上げてみます。

多数のプレイヤーが参戦するフィンテックの決済分野

スマホ決済サービスに名乗りを上げている企業は、既に10社ほどになるでしょうか。LINE、楽天、ペイペイ、アマゾン、NTTドコモなどが動き始めています。ちなみに、ペイペイというのはソフトバンクとヤフーが共同で設立した会社です。この5社は既に、それなりの顧客等の強力な基盤を持っており、相当アドバンテージがあると見られています。

ペイペイ(ヤフー、ソフトバンクの子会社)

この中でなぜペイペイが面白そうか。ソフトバンクが持つキャリアとしての顧客基盤、ヤフーが持つ知名度とPCポータルサイトでの顧客基盤。このあたりは特にこれ以上説明は要らないと思います。

また、インドの電子決済サービス事業者paytm(ペイティーエム)の技術を導入することを公表していますが、この会社、インドで3億人以上のユーザーと800万の加盟店を持つという凄い会社なんです。

さらに、中国のアリペイとも連携し、ペイペイ加盟店で、中国人観光客のアリペイでの決済を可能にすることになったようです(9/5のニュース)。アリペイのアクティブユーザーは8.7億人。キャッシュレス決済に対して二の足を踏みそうな実店舗ですが、これだけの中国人やインド人観光客のユーザーがお店に来てくれるかも、というのはかなり魅力的に映るはず。ペイペイによる囲い込みが一気に進みそうな気がします。

デス・バイ・アマゾン。アマゾンの進出により、ショッピングセンターなど小売業界が壊滅的な被害を受けています。海外から参入してくる企業により、国内の業態を大きく壊されそう。こんな企業のことを黒船なんて言いますが、次の黒船は米国(グーグルやアマゾン)ではなく、中国かもしれません。そして数年先には中国を追い抜き、世界最大人口になるといわれるインドなのかもしれません。

ヤフー(ペイペイ)の魅力について書いてきました。しかし、株式投資はその銘柄の魅力を買うのではありません。時間を買うのです。長くなりましたので、この続きは「その2」で書きますね。

キャッシュレス決済 第4回

第3回までのお話をちょっとまとめてみると

第2回で、キャッシュレス推進により、さまざまなメリットがあると書きました。たとえば「実店舗等の無人化や省力化」という期待メリットがあるということは、現状ここに膨大なコストが掛かっているということです。報告書では主にモノを売る小売店舗をイメージしていますが、銀行店舗やATMに関しても同じことが言えます。

一方で、第3回では、日本でキャッシュレスが進まない理由として、「ATMの利便性が高く、現金の入手が容易」をあげています。「銀行」を主語にして頭を整理しなおしてみると、話が繋がってきそうです。

まずは大幅なコストダウンの実現

キャッシュレス決済の推進によるフィンテックへの取り組みというと、まだまだそれでどれだけ儲かるのっていうゴールイメージは想像しにくいと思いますが、少なくとも大幅なコスト削減までは目途が立ちそうですよね。

昨年の秋口以降、メガバンクが一斉に大幅な人員削減、店舗の整理やATMの廃止を公表し始めました。銀行としては、キャッシュレス決済は他業種からの参入もあり、避けて通れない。であれば、スタートアップ企業と連携して自らキャッシュレス決済に本気で取り組み、少なくとも従業員、店舗、ATMの大幅な削減については実現できそうだ、と踏んだのではないかと思われます。

メガバンクの取締役会で、フィンテックへの取り組みについてプレゼンする場面をイメージしてください。フィンテックを薔薇色に語ってもいまいち全容が想像できない、理解できない。会議参加者から合意を取り付けるのはかなり難しいと思います。しかしながら、キャッシュレス決済の導入により、店舗が、ATMが、こんなに削減可能で、そのコストダウン総額は・・・。このシナリオは合意が得やすいんじゃないかと。あくまでkuniの想像ですよ。

国民にとっての便利なインフラ=銀行にとっての負の遺産 ⇒ キャッシュレス決済による利便性の提供=従業員、店舗、ATMの廃止による大幅なコスト削減。この関係を理解したうえで、銀行等のキャッシュレス決済が、今後どんなふうに展開していくのか、見ていきましょう。

(第4回 終わり)

キャッシュレス決済 第3回

日本でキャッシュレス決済が普及しにくい理由

前回軽く触れましたが、普及しにくい理由を再掲。

  1. 盗難の少なさや、現金を落としても返ってくると言われる「治安の良さ」
  2. きれいな紙幣と偽札の流通が少なく、「現金に対する高い信頼」
  3. 店舗等の「POS(レジ)の処理が高速かつ正確」であり、店頭での現金取扱いの煩雑さが少ない
  4. ATMの利便性が高く「現金の入手が容易」

実店舗側としての導入しない理由

店舗側はなぜキャッシュレス支払い(クレジットカード)を導入しないのか、というアンケートの結果を見ると、以下の理由がベスト5になってます。

  1. 手数料が高い(その分店舗側の利益が小さくなる)
  2. 導入によるメリットが感じられない
  3. 現場スタッフによる対応が困難
  4. クレジットカード決済を要望する声が少ない
  5. 導入費用が高い

こうしてみると、今まさに頻繁に報道されている「QRコードを使ったスマホによる決済」サービスは、この5つの理由にきちんと対処しているように見えますね。手数料は何年間は無料にする、スマホはほぼ誰でも持っているからメリットありそう、導入費用はタブレット端末のみ・・・。という感じで、店舗側の導入しない理由については克服できそうな感じです。ただ、「現場スタッフによる対応が困難」についてはビミョーですね。現場スタッフが若い人なら大丈夫だと思われますが。

消費者側の利用しない理由

  • キャッシュレスに対応していない店舗の存在
  • 使いすぎてしまう不安
  • セキュリティに対する不安
  • 購買履歴等を知られてしまう不安
  • 年輩層の不安(使いこなせるか)

このように、消費者側にもキャッシュレス決済を利用してこなかった理由がありました。店舗側と同様、これらの消費者側の理由についても対処していかなければなりません。中には店舗側、消費者側に共通した理由(課題)として、「年輩層が使いこなせるか」がありそうです。スマホ(消費者)とタブレット(店舗側)をどこまで簡単な操作にしてくれるのか、これは重要です。

今後、ニュースや記事に触れる際は、どの理由(課題)を克服するためのサービス、技術なのかも考えながら読んでみましょう。

(第3回 終わり)