株式会社クシム 辞任勧告受けた取締役が臨時株主総会招集請求で反撃

クシムは1/29、「株主による臨時株主総会の招集請求に関するお知らせ」を公表しました。これまでにも何度か辞任勧告を受けた取締役による招集請求があったのですが、今回はかなり具体的な招集請求の理由・意図が公開されています。

おさらい

現経営陣が取締役(吸収合併した企業の元社長)に不正があったとして辞任勧告を決議。辞任勧告を受けた取締役がこれに反論、真っ向から対決するという状況が続いていました。

臨時株主総会招集請求

1/16にも同様に臨時株主総会招集請求を行っていましたが、この請求は請求者2名のうち1名が会社法上必要な株式の保有期間要件を満たしていないとして無視される格好に。会社法が定める「請求の6ヶ月前から引き続きその割合の議決権を有するものに限られる」、に抵触していたんでしょうか。

そして今回は請求者を3名として再請求という格好です。臨時株主総会に諮るのは、現経営陣の社長を含む取締役3名の解任、監査等委員の2名の取締役の解任、新たな取締役として4名の選任、新たな監査等委員として2名の取締役の選任などとなっています。

招集請求の理由

不適正な新株予約権の発行や、調達した資金を本来の使途ではない暗号資産への投資で大きな損失を出していること、使途不明の多額の接待交際費、など計5項目について言及して現経営陣の問題を指摘しています。

現経営陣が主張する漠然とした取締役の解任理由と違い、こちらはかなり具体的な指摘となっています。興味がある方は是非、冒頭示した開示文の添付資料をお読みいただければ。

東京ドーム オアシス・マネジメントが臨時株主総会を請求

東京ドームは10/19、同社の上位株主で香港のアクティビストファンドのオアシス・マネジメントから、臨時株主総会招集の請求に関する書面を受領したと公表しました。臨時株主総会招集の目的、議案は長岡社長を含む取締役3名の解任です。

オアシス・マネジメント

オアシスはイスラエルで従軍歴を持つセス・フィッシャー氏によって設立された資産運用会社。香港を拠点に日本企業への投資でも注目され始めています。今年最も話題になったのが、4月に開催された、ジャスダック上場パチンコ機器メーカー、サン電子の臨時株主総会で勝利を収めた件。

取締役4人の解任と新たに5人の取締役選任を求める株主提案が、過半数の賛成を得て可決されました。オアシスにとっても日本で株主提案を成功させたのは初めてといわれています。19年6月の定時株主総会では取締役5人の再任に反対表明しましたが、そこでは一度負けています。二度目で成功という訳ですね。

サン電子は超優良な子会社を持っていましたが、これを活かせていなかった。むしろ株主価値を棄損するようなファイナンスもあったりしたようです。そして、多くの株主が経営に対する不満を募らせており、取締役の再任についても賛成比率が毎年下がってきていた、という背景がありました。そこにつけ入れられたということですね。

東京ドームは

東京ドームに関しても似たような状況があります。読売ジャイアンツという人気球団を抱えながら、東京ドームの価値を十分に発揮できていないという点です。オアシスは、デジタルサイネージの採用や、命名権の活用、隣接するドームホテルや遊園地の活性化などを主張していて、松戸競輪場の売却なんてのもあります。他の株主にとっても納得感のある提案です。

で、今回社長を含む取締役3名の解任が議案になるわけです。長岡社長を除く二人の社外取締役は、今年4月の定時株主総会でも賛成割合が80%前後と他の役員に比べて低くなっています。こういうところを狙ってくるんですね。