ESGの「S」

ESGについて語られるとき、去年まではもっぱら環境問題や企業統治、つまり「E」と「G」の話題が中心でした。ところが年が明け、新型コロナウィルスの感染が拡大するのに合わせ、「S」が一気に目立つようになってきました。社会への貢献が企業の価値を大きく左右しそうです。

疫病という課題

コロナ対策は、解決しなければならない社会の課題として、人々に明確に意識されています。買いたくても手に入らないマスクや消毒液、絶対的に不足するといわれる人工呼吸器。これらの課題に対して、採算度外視で生産に参入する企業。それも全くの異業種からの参入も少なくありません。

今、本当にみんなが困っている時だけに、こうした企業の名前は消費者や投資家にしっかりアピールできるはずです。最初にマスク生産を公表したのがシャープでしたね。ヤフーは全国の自治体に感染を抑え込むためのデータソリューションを無料で提供しています。ソニーは人工呼吸器の生産協力が伝えられました。

コロナ感染軽症者の受け入れを真っ先に表明したアパホテルもそうでしたね。SNSでもその表明を称賛する声がたくさん。先日当ブログで取り上げたジャパンマテリアルも。事業で貢献するわけではありませんが、会社を支えてくれている地元の消費に貢献するという施策でした。SHIFTの危険手当なんかもそう。危機下で従業員をどう扱うか、、、こういうところもしっかり見られてます。

今は儲けるときじゃない 

おそらくこれら異業種からの参入は、事業として儲けるための参入ではなく、あくまで社会貢献としての決断だと思われます。足元の自社の業績が目に見えて悪化していくなか、こうした決断ができるという企業のガバナンス、これは凄いことです。多くの企業の経営は自社社員からコロナ感染者が出るんじゃないかと戦々恐々としているばかりでしょう。

相場の世界もそうですが、みんなが恐怖に慄き、一斉に逃げ出していくような場面で、ほかの連中にはできそうにない行動を決断する。これ、大事です。「S」で評価されるこうした企業、必ず報われると思います。