まだ揉めてるのね 仕組債(仕組み債)

9/1付け日本経済新聞に、「金融庁、地銀系証券会社に警鐘 『仕組み債』個人販売巡り」という記事がありました。かれこれ5年近く金融の世界から離れていますが、まだ揉めてるんですね、仕組み債。5年前と何も変わってないわ。

金融庁

最近日経では「仕組み債」と表記してますね。kuniが現役時代は「仕組債」と表記していたような。確かに素人には読み難かったのかな?名称から分かりやすくするという動向でしょうか。

今回金融庁が警鐘を鳴らしているのは、グループに証券子会社を持っている地銀の販売する仕組み債だそうです。まぁ、実はこれも5年前から一緒。仕組債の原資産となる株式や指数などを知らない銀行員が販売しているわけですから、トラブルが多いのは当たり前です。

素人が販売するわけですからリスクの説明がしっかりできません。商品の良いところだけを知った顧客(高い利回りに目がくらんだ)は、リスクをより詳しく知りたがらないという傾向も強いです。

で、マーケットが予想に反して動いた場合に、「そんなことになるとは思わなかった」、「そんなことは聞いてない」というトラブルになります。地銀の場合、販売員が説明責任を果たしているかどうかをチェックする態勢が脆弱、というのも一因だと思われます。

本気なのかね

そういうトラブルが増えると、金融庁が今回のように警鐘を鳴らし、業者に対して聞き取り調査や検査を通じて指導を行います。ここ10年以上ずっとこれの繰り返し。何もしないわけにはいかないので警鐘は鳴らしているけど、金融庁も実際のところこんな繰り返しでトラブルがなくなるとは思ってないでしょうね。ポーズってやつですか。

人材紹介業 地銀に報酬 1件100万円

今月から地域金融機関による人材紹介業務を後押しする新制度がスタートしました。人材紹介支援事業に参加する金融機関を公募していて、今月初に地銀や信用金庫など38事業者を対象に決めたとの報道がありました。地方企業に経営人材などを紹介すると、1件につき最大100万円が国から補助されます。

地域金融機関と人材紹介業務

以前当ブログで地銀の人材紹介について書いたんですが、その時はリストラする銀行員の再就職先を紹介するの?みたいなこと書いてしまいました。そういう実態もなくはないそうですが、実際のところ地域に根差す金融機関と人材紹介は非常に相性が良いんだそうです。

もともと地銀で働く人の多くは、地元社会を良くしたいとか、貢献したいという思いの強い方が多いと。そういう金融マンは融資先の経営者が最も悩んでいるのが人材に関する問題だということをよく理解しているとのこと。その最大の課題を解決するための人材紹介業は、地元の中小企業に貢献する最高のツールなんだそうです。

という話を元銀行員の知人から聞かされました。なるほど、確かに地元の中小企業の人材需要に詳しい地銀と、都会の求職者データを押さえている人材紹介会社が組めば、効率良い訳ですね。

なんで100万円?

政府が目指す地方企業の活性化や、金融庁が期待する地銀の事業モデルの変革。そこで金融庁は2年前に監督指針を改正し、銀行の人材紹介事業を可能にしました。先ほどまでの話が本当なら、多くの銀行が我先にと人材紹介業に打って出そうなもんです。

ところが地銀等の腰は重く、一部の地銀を除いてなかなか新しい事業に挑戦しようとしません。で、、、結局今度は紹介成功したら1件につき100万円という情けない施策を打つことになったということです。

この100万円施策、、、必要ですか?こんなきっかけまで作ってもらわないと決断できないような経営者というか、金融機関を支援する必要があるんでしょうか。正直言って非常に疑問です。

野村證券 山陰合同銀行に続き、阿波銀行とも提携

野村證券は山陰合同銀行との提携に続き、徳島県の阿波銀行との提携を公表しました。阿波銀行は徳島県内で預金シェア約4割(ゆうちょ銀行を除く)、貸出金シェアは約5割と優位にビジネスを展開する銀行です。提携スキームは合銀との提携と同様のようですね。

山陰合同銀行との契約締結

今回の提携に先立ち、提携が発表された山陰合同銀行ですが、昨年12月16日に正式な契約が締結されています。当初公表時にはなかった、野村の米子支店(鳥取営業所含む)が加わり、合銀、ごうぎん証券と野村証券松江支店、米子支店の機能を統合することになっています。

そして提携 第2弾

山陰合同銀行との提携時には、同様の提携を他行との間で拡大していくことについてはやや消極的な姿勢にも見えましたが、やはり提携第2弾、出てきましたね。どう見てもお互いメリットのある提携スキームですし、SBIなどの動向も気になるところ、、、今後も拡大していくでしょう。

徳島は金融資産の1人当たり貯蓄額が全国でもトップクラスだそうです。日銀の19年調査で株式を購入したことがある人の割合は4割を超え、全国平均(32%)を大きく上回っています。証券営業は比較的やりやすい地域のようです。この地域差って意外に大きいんですよね。地域によって県民性(お金に関する)めちゃくちゃ違うんです。

野村證券顧客の離反は

非常に合理的な提携だなぁ、とkuniも納得しているんですが。。。少し気になるのは野村證券のリテール顧客がどのように感じているのか、というところです。野村の顧客は業界No1の野村と取引していることにステイタスを感じている人が非常に多いんですね。

すぐにではないにしろ、いずれ野村の営業員は別の支店や本社に引き上げるでしょう。その後は阿波銀行の行員が顧客の担当者になると思われます。当面野村の営業員が出向して訓練するんでしょうが、やはりそこは素人、というかバンカーです。顧客からすると物足りないんじゃないかと。唯一の課題だと思います。

静岡銀行 高卒採用27年ぶりに再開

1/28付け日本経済新聞の記事です。27年ぶりの高卒採用だそうです。静岡県の高校を卒業し、大学の夜間コースまたは通信制大学に進学することが条件。進学に要する受験料や学費は同行が全額負担するんだそうです。この動き非常に興味あります。

学費全額負担

高卒採用自体は金融機関では珍しくないんだそうですが、学費等を全額負担するというのは極めて異例とのこと。いや、そりゃそうでしょう。kuniが知る金融機関では高卒採用なんかまったくやってませんよ。そのくらい企業側は高校生に興味を持ってきませんでした。

日本の貧困、格差社会、そんな言葉をよく聞きますよね。経済的な理由で大学進学をあきらめる、能力のある高校生は決して少なくないでしょう。そんな学生にチャンスを与えようという施策です。と、kuniは受け止めましたが、みなさんはどうでしょう?経済的に厳しい学生の将来を担保に、青田買い・・・みたいな捉え方した人もいますかね。どっちが正しいという話でもありませんが。

スポーツ選手なども

日経の紙面ではカットされてましたが、高卒のほかにも、アマチュアスポーツ選手や音楽などの活動に携わる人材も正社員として採用するんだそうです。企業がスポーツ選手を、、、というとすぐに社会人チームを作って、、、みたいに考えがちです。しかし、考えてみれば自社でチームを持つ必要はないわけです。

チームで宣伝する。が目的だったんですね。ではなくて、何かに打ち込む若者を支援してあげて、自社で働いてもらう。が目的になっています。現役を退いた後も働けるというのは、アマスポーツには非常にありがたい話です。人は集まってくるんじゃないかな。

静岡銀行って全くご縁がなかったんですが、頭柔らかいですね。私の知ってる銀行員たちは決してこんな発想しないです。まぁ、だからこそ地銀トップクラスなんでしょう。そのへんにある社会課題を自行の戦略にしっかり結び付け、かつ自行の課題も解決する動きですね。

SBI砲炸裂 福島銀行 地銀が動き出した

11/11 この週の株式市場が開く直前に「SBIと福島銀行が資本・業務提携」というニュースが。前週末の終値243円の福島銀行株はこの日310円まで買われました。翌日も値を飛ばし、3日目には470円まで付けています。凄いですね、SBI砲の威力。

地銀の地殻変動が

9月上旬には、SBIと島根銀行が、資本・業務提携するというニュースがあり、当ブログでも取り上げました。SBIは全国の地方銀行と資本提携する「連合構想」を掲げていて、地銀再編の呼び水となる可能性がありそう。なんてことも書いておきました。

第二弾に選ばれたのが福島銀行。島根銀行同様、金融庁が最も気にしている地銀の一つですし、当局的にも好感度抜群ですね、SBIの施策。株式市場で銀行株を空売りしてる投資家にとっては、恐怖のSBI砲です。おちおち売ってられません。当然、多くの地銀株で買戻しが進みました。

前にも書いたように、東海東京証券や野村證券も地銀との提携等を進めています。地銀の地殻変動を主導するのが証券会社とはねぇ。数年前までは想像もできませんでした。

次のターゲットは

収益力(ROA)の低い地銀で、現在金融商品仲介でSBIに委託を行っている地銀。という流れで調べてみると、福井銀行、高知銀行、長野銀行、青森銀行、宮崎太陽銀行、、、なんかが出てきますね。これらの地銀、いずれも証券子会社を持っていません。

証券各社による地銀の奪い合いが熾烈化する一方で、地銀自身の新たな動きも出てきたようです。東日本銀行が横浜銀行から頭取を受け入れ。南都銀行が郵便局との共同窓口設置。山形銀行が銀行初の全額出資で地域商社設立。。。なんていうニュースも、ほぼ同じタイミングで伝えられています。