8/26 日本経済新聞で「山陰合銀、野村と仲介業提携 20年度にも証券口座を移管」という記事がありました。山陰合同銀行とごうぎん証券が保有する証券口座を野村のシステムに移管し、野村証券松江支店が保有する証券口座も、そこへ集約するとのこと。
仲介業の新しい形
今回、野村證券と山陰合同銀行が模索する仲介は斬新だと思います。本業だけで生き残ることが難しい地方銀行にとって、手数料ビジネスとしての証券業務は不可欠です。ただし、そのためにシステムや事務といった大きなコストを負担しながらというのは、もう限界なんですね。
山陰合同銀行にとってみれば、野村の支店に出向して業務をするようなものです。極端な話、名刺だけあれば他は全部野村の装備で済んでしまいます。おまけに、当面は証券のコンサルティングノウハウまで野村の社員が教えてくれるわけです。
地方の銀行でよくある相続による顧客離反。相続が発生すると、相続人の息子や娘は東京に住んでいる。そのため手続きが終わると東京のメガバンクに口座を移され、顧客との付き合いが完全に終わってしまうという問題です。こうしたケースでも、全国に支店を持つ野村が間に入ることも可能になるかもしれません。
その他の効果
全国に展開するんですかね。地銀と証券大手の新しい関係として注目されます。東海東京やSBIに続く、地銀との新コラボ形態。野村にとっても、店舗に係るコスト削減や、社員が望まない地方転勤の回避という難しい人事上の課題を解決する糸口になるかもしれません。店舗を廃止して、その顧客は地銀の担当者に任せることができるわけですね。
島根県にはもうひとつ、島根銀行という地銀があります。金融庁が最も心配している銀行の一つですね。野村が島根県の顧客を託す相手に選んだのは、やはり山陰合同銀行でした。残された島根銀行はどう出るでしょう。引導を渡された形になるんでしょうか。こういう形で地銀の整理が進む、なんてこともあるかもしれません。お隣の鳥取県には野村の米子支店があったはず。鳥取も注目です。