デンソーとの業務提携に絡みインサイダー取引を行ったとして、2018年に金融庁から133万円の課徴金納付命令を受けたマザーズ上場企業「モルフォ」の役員が、国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は1/26、請求を認め、納付命令を取り消しました。
インサイダー取引事件の概要
デンソーとの業務提携という重要事実を巡るインサイダー取引なんですが、当時のプレスリリースを見ると、「モルフォのAI学習環境をデンソーが高度運転支援システム向けの画像認識開発に採用」となっています。確かにインパクトのありそうな提携内容です。
2015年12月11日、この業務提携が公表されると、モルフォの株価は3日間ストップ高比例配分と暴騰。公表当日の株価4,115円が4営業日目には7,320円まで買われています。この役員は8/24と8/26に合計400株、1,595,000円でモルフォ株を買付けてるんですね。
この8月26日の時点でデンソーとの提携が実質的に決定されていたか(重要事実が発生していたか)どうかが争点になったわけです。。。で、結果はセーフということに。
ハッピーエンド?
課徴金納付命令の取り消し、日本経済新聞でも記事にしてるんですが、これを読む限り一件落着といった感じ。ところがこのモルフォのインサイダー取引、実は役員1人と社員9人が課徴金納付命令を受けてます。役員が上記のように8月に買付け、、、これはセーフ判定。
ところが残りの社員9人については、9月中旬以降の買付け、で多分アウトのままです。うち、7人は持株会への加入や拠出金の増額で課徴金食らってます。持株会は基本的には内部者取引規制の適用除外ですが、重要事実を知りながら持株会に新規入会したり、持株会への拠出金を増加したりすることは、適用除外の対象となりません。これは覚えておきましょう。
しかし、AIを開発する企業の従業員が金に目がくらんで善悪の判断を誤るとは。困ったもんです。