京セラが製造・販売を行っているケミカル製品について、米国の第三者安全科学機関である Underwriters Laboratories の認証に関する不適切な対応が判明。調査にあたっていた特別調査委員会から調査報告書を受領し、公表しました。かなり酷い調査結果です。
調査結果の公表日
調査報告書、やっと出てきたか、って感じです。しかし、なぜ5/14だったのでしょう。一年のうち最も適時開示情報がたくさん出てくる日です。この記事を書いている時点で27ページもある日なんです。決算発表等が集中する日なんですね。
多くの情報の中で埋没する日?目立たない日を選んだということでしょう。おまけに、調査報告書の表紙の日付、わざわざ5/13の13だけが手書きで修正されてたりして。あの京セラがこんなことするとは。
調査結果の概要
細かいことは省略しますが、報告書のいたるところに経営陣の関与、もしくは黙認に係る事実が語られています。ただし、今回の不正を指⽰あるいは命令していたといった事実までは認められない。と、委員会が配慮してはいるんですが。。。以下引用です。
「客観的資料に基づき元取締役に事実確認を⾏うことのできた2009年以降に限っても、複数の幹部層(代表取締役を含む)が、本件不正を認識していたものと認定する。これらの幹部層は、本件不正を積極的に是正しようとせず、黙認していた事実は認められるが・・・」
長年にわたり行われてきた不正、当時の代表取締役に至るまで認識していながら、是正してこなかった。ただ、指示、命令はしていなかった。って、ん~、額面通り受け取れませんね。
不正の概要
「指定された量産品とは異なる組成の試験⽚を UL に提出していたケース(試験⽚のすり替え)。」とか、「検査での発覚を避けるため、UL 検査員の⽬に届かないよう、倉庫内の製品を隠していたケース。」。こんな指摘があちこちに出てきます。
こうした手口が30年とかの間継続されていました。その気になって調べれば、取り上げらている代表取締役らの実名も特定できそうですが、読んでるうちに力が抜けてしまいました。お時間があったら、この報告書読んでみてください。適時開示ラッシュ日に公表された意味が分かってもらえると思います。
不正を長年放置してきた上層部の責任は大きいですが、それよりも「第3章 本件不正の原因 」以降に書かれた若手社員Xの行動や旧・東芝ケミカルの体質、京セラのDDや買収後是正が進まないといったところが興味深いと感じました。
但し報告書では、内部通報制度の不備に触れるだけで、「内部通報者の保護」に触れていないのが問題ありと感じました(京セラ内は大丈夫でも、通報者は旧・東芝ケミカルには居られなくなるのでは?)。
お読みいただきありがとうございました。
仰るとおりですね。制度を機能させられない企業で、通報者の保護が図られるとは思えません。