リーマンショックから10年が経過
このところやたらとリーマンショックの話題を見かけます。あれから10年ということで、振り返りの記事が多いですね。ちなみに、リーマンショックというのは日本特有のネーミングらしいです。海外ではサブプライム・ショックと呼ぶのが普通だそうで、その結果としてリーマンが潰れたと。
10年というのがキリがいいからというだけではなく、この30年ほど、10年周期で金融危機が発生しているから、という背景もあるようです。このことは前回の投稿にも書きました。10年に意味があるとは思えないんですが、概ね10年ごとに起きてるんですね。
米国の政策金利との関係
この10年金融危機説、米国の政策金利との関係で語られることが多いようです。米国の金利が引き上げられ、何度か引き上げが続き、それが終わって1~2年あとに金融危機が発生しています。
景気の過熱を恐れて政策金利を引き上げます。一気に上げると影響が大き過ぎるので、一年に2回とか3回とかのペースで上げていくんですね。これをだいたい2年とか3年とか継続します。そうすることで好景気を長く継続させたいという思いと、景気が悪化し始めた場合の政策金利の下げ余地を確保するという狙いもあります。
金融危機が発生すると、先ほどの逆で、政策金利は何度も引き下げられ、次第に収束、景気も持ち直し、株価も上昇に転じていく。これを繰り返してきてるんですね。
金融危機のメカニズム
バブルという言葉は、平成以降に社会人になった人たちにはピンとこないようで、この投稿では金融危機という言葉を使ってます。念のため。投資資金は常に効率の良い投資先を探し、さまよっているのですが、金融経済は実体経済の50倍に達しており、既に投資先が枯渇しているわけです。
米国の金利がどんどん下がっていくため、米国内で行き場を失ったお金は国外に投資先を探し、アジアや新興国にも流出していきました。アジアや新興国は低い金利で資金が調達できるわけで、この間経済は拡大します。米国を例に書いてますが、同じことは日本や欧州でも起きています。メガバンクは国際金融の比率を大幅に上昇させましたし、トルコリラの急落場面では、イタリアやフランスの金融機関がトルコに大量に貸し込んでいるという話題もありました。
こんな状況で米国の金利が上昇に転じたのです。すると、これまでのお金の流れが逆流し始めます。アジアや新興国の通貨が売られドルを買って自国に戻っていきます。通貨安によってアジアや新興国の借金は膨れ上がります。このときに新興国の経済が立ち行かなくなり、失速し、資金を融通してきた金融機関の資産が毀損します。
今最も心配されている次の金融危機のシナリオはこんなところでしょうか。ただ、どんな風に危機が訪れるのか、それは誰にも分かりません。しかし、ここに書いた大きなお金の流れとその逆流の構図は頭の隅に置いておいた方がいいと思います。