株式会社JSPは4/30、「当社欧州グループ会社における資金流出事案に関する調査結果及び再発防止策の策定並びに役員報酬の一部自主返上に関するお知らせ」を公表しました。この資金流出事案に関する第一報は、昨年11月に公表されています。
株式会社JSP
株式会社JSPは、東京都千代田区に本社を置く、発泡プラスチックの製造・販売を行う、日本の化学メーカー。三菱瓦斯化学が同社の発行済み株式51%を保有する連結子会社です。海外にも多数展開していますが、今回被害に遭ったのはチェコの現法ですね。
BEC
開示された情報によると、どうやらBECのようです。BEC(Business E-mail Compromise)は、業務用メールを盗み見して、経営幹部や取引先になりすまし、従業員をだまして偽口座に送金させ、資金を詐取するというサイバー攻撃の一種です。先月には、加賀電子の米国子会社において、同様の事案が発生していました。
資金流出事案
欧州グループ会社であるチェコの財務マネジャーが、悪意ある第三者から買収案件に係る資金を内密に送金するよう虚偽の指示を受け、10月20日から11月4日の間、複数回に渡り送金を実行し、合計 約10億円に上る資金を流出させた、と説明されています。「買収案件に係る資金を内密に」とありますので、犯人がなりすましたのは同社の経営幹部でしょうね。
ちょっと気になること
開示によると、「欧州グループ会社における本事案関係者の処分につきましては、解雇、降格または報酬減額といたしました」とあります。解雇されたのは財務マネジャーでしょうか。同社グループ会社役職員の資金詐取行為への関与はないとしています。騙された従業員を解雇というのは、いかがなもんでしょう。