DFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)

今年1月、スイスの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席した安倍総理が、演説の中で発言した構想がDFFTです。日本語的には「信頼ある自由なデータ流通」ですね。首相は「消費者や企業活動が生み出す膨大なデータについて、自由に国境をまたげるようにしないといけない」と主張していました。

G20で本格的な議論がスタート

今や成長のエンジンは石油ではなく、デジタルデータだと言われます。そのデータを一握りの巨大企業に独占させるのではなく、また国家が独占するのでもない。新しい、信頼のあるデータ流通の基盤を作ろうということです。6月に大阪で開催されるG20首脳会議で本格的な議論がスタートすることになります。

日本が議長国を務める今回のG20を「世界的なデータ・ガバナンスが始まった機会として長く記憶される場としたい」と首相は言っており、世界貿易機関(WTO)加盟国による交渉の枠組みを設けることも提案し、交渉開始の合意形成を目指しています。

日本発の提言

米国企業によるデータの囲い込み、対する欧州のデータ規制。そして国家で囲い込もうとする中国。これらの間に入って、3極の対立構造を打開し、幅広い企業がデータ流通の恩恵を受けられるインフラを、、、いかにも日本らしい立ち回りですし、日本らしい発想ですよね。

データガバナンスは今や国家戦略ですし、そう簡単にはまとまらないでしょう。とはいっても、役者を見渡しても、やはりこの役回りは日本にしかできなさそうです。G20に先立って6/8から行われる貿易・デジタル経済大臣会合が一連の議論の皮切りになるらしいです。

消費者のネットにおける購買データに関しては、完全に米国に先を越されましたが、日本には工場におけるモノづくりに関する技術と膨大なデータがあります。こうしたデータを成長力に結び付けていこうという発想。これもまた日本らしいところです。

大阪G20、米中貿易戦争を解決する米中首脳会談、、、みたいな希望的観測もあり、最も気になるところではありますが、日本が提唱するDFFTに関する議論についても注目してみましょう。

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