決算短信と四半期報告書の一本化

日本経済新聞は3/26、「決算書類の一本化を検討 短信と四半期報告書 年4回開示維持」という記事を掲載しました。証券取引所の規則に基づき四半期ごとにまとめる決算短信と金融商品取引法で企業に開示を義務付けている四半期報告書の一本化ですね。

やっとかね

当ブログでもどちらの決算書類を中心に書くのか、よく迷ってしまったりするんですが、この2種類の決算書類は不要だと思います。やっとこういう議論が始まったのかって感じで、さっさとしろやって思ってます。

金融商品取引法で定められている書類(四半期報告書)があるわけで、取引所がさらに別の決算書類を要求する必要ないでしょ。というのが本音です。

ただ、日経の記事によると、「政府は2つの書類を1つにまとめることや重複する内容の削減といった負担軽減策を検討する。」とあります。重複する内容を削減ってことは、2つの決算書類の存続も考えているということのようですね。

これって、企業側の負担軽減にはならんでしょ。重複する内容なんてコピペで良いわけで、ビミョーに別のことを要求されている部分が企業側の負担なわけです。いきなりつまらない議論になってしまいかねません。

まずは法律が求めている決算書類だけにする。で、投資家等にとって不足するものがあるなら、金商法を改正して項目を追加すればよいのではないか、と思います。取引所の規則なんて速攻で改正できますし、政府レベルでダラダラと議論するような話ではないと思うのですが。

ちなみに、四半期ごとの業績開示の廃止については、長期的な課題としているようです。

日野自動車 エンジン型式指定、初の取り消し

国土交通省は3/29、「自動車製作者に対する行政処分を行いました」というプレスリリースを公表しました。① 日野自動車株式会社、② トヨタ自動車株式会社、③ いすゞ自動車株式会社に対しての行政処分です。

処分の概要

国交省は道路運送車両法に基づき、日野自動車の大型の2種類、中型と小型で1種類ずつのエンジンの型式指定を取り消しました。1951年の同法施行以来、取り消し処分が実施されるのは初めてだそうです。型式指定は自動車の販売許可にあたるんだそうで、30日以降、指定を取り消されたエンジンの生産ができなくなります。

トヨタ自動車株式会社、いすゞ自動車株式会社は、不正のあった日野自動車株式会社のエンジンを搭載したバスを販売していたことから、行政処分を受けたという格好です。

やはりインパクトが

不正に認証を受けたエンジン、性能面でも問題ありということで、これはかなりインパクトのある不正だろうなぁと思っていましたが、案の定、エライことになってきたようです。日野自動車は3/29、2022年3月期の連結最終損益が540億円の赤字(22年3月期の最終損益はこれまで150億円の黒字を見込んでいた)になりそうだと発表しました。

この業績下方修正の要因は今回の不正問題だけでなく、過去を含めたリコールに伴う費用がほとんどを占めるとのこと。今後の出荷停止による販売減などは来期以降本格化するとみられています。

そもそも基準を満たせなかったことが不正につながったと考えれば、技術面の課題をクリアし、製造・出荷を再開するにはかなりの時間がかかるかも。その間赤字の垂れ流しに。

東レ 樹脂製品の米UL認証取り消し

今年1/31、樹脂製品における第三者認証登録に関する不適切行為を公表していた東レ。 3/28には「当社樹脂製品における第三者認証登録の一部取り消しについて」を公表しました。認証登録取消日は2022年3月31日だそうです。

おさらい

ULが実施する認証試験で指定されたグレードと異なる、試験合格用のサンプルを作成し、提出していたこと。また、認証登録された品種の一部で、登録時の組成と異なるものを製造・販売していたことが発覚しました。これを受けて有識者調査委員会を設置して調査を開始しています。

認証取り消し

UL 認証登録が取消となった対象製品は、ABS 樹脂「トヨラック®」 45 品種、PLA 樹脂「エコディア®」 1 品種、LCP 樹脂「シベラス®」 6 品種 の合計52品種だそうです。家電や車部品などに使う樹脂製品で、燃えにくさを示す「難燃性」の認証に関する不正行為がありました。

東レの適時開示では詳細はここまでです。が、しかし、日本経済新聞の報道によると、東レが販売する樹脂製品約1600品種のうち412品種がUL認証を受けていたということです。で、117品種で不正行為があり、うち52品種が認証取り消しとなります。

さらに日経では、取り消しの理由は52品種のうち40品種が「認証登録手続きにおける不備」で、12品種が「難燃性能の不足」だった、としています。

東レは今のところ、不正があった樹脂製品に関して、出荷先から事故などの報告はないと説明しているんですが、これだけの数で不正を行っていたとすると、「それ以外は問題なしです」という調査結果が出てきてもなかなか信用できませんね。

SMBC日興証券 副社長の逮捕

東京地検特捜部は3/24、法人としてのSMBC日興証券と幹部5人を金融商品取引法違反の罪で起訴するとともに、副社長を同法違反容疑で逮捕しました。大手証券会社で相場操縦罪に問われる事件というのは初めてだそうです。うん、確かに聞いたことないね。

副社長

証券会社としてこの罪で起訴されたのって、数年前に丸三証券があげられたくらいですかね。日本国債の先物取引で相場操縦をしていたとして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、、、ってのもありましたが。株式での相場操縦は大手で初めてだと思われます。

法人としての起訴もさることながら、副社長の逮捕ってのは強烈ですね。この副社長さん、1987年に現在の三井住友銀行に入行された方だそう。やはり証券の世界で育った人じゃなかったんですね。以前SMBC日興でインサイダー取引で騒ぎを起こした役員も銀行から来られた人でした。

みずほ証券でもみずほ銀行から天下ってきた役員が不祥事を起こしたことがありました。こうしてみると銀行系証券会社って、だいたい天下り組が何かしでかすんですよね。金融商品取引法などの法規制をよく理解せず、元の出世コースに戻ることを目的にいろいろやらかしてしまう。

親の銀行は

SMBC日興証券は3/5に調査委員会の設置や、3/24に役員の逮捕について開示していますが、あくまで証券としての開示。これだけの大事になっているものの、親会社の三井住友フィナンシャルグループとしては沈黙を守っています。

SMBC日興の社長は会見で「証券の問題」との認識を述べているようですが、明らかに親会社の三井住友フィナンシャルグループの問題だと思います。金融庁は親会社の三井住友フィナンシャルグループの責任についても追及してくるでしょう。

SMBC日興証券 幹部7人に加え法人も刑事告発 副社長も逮捕

証券取引等監視委員会は3/23、「SMBC日興証券株式会社による相場操縦事件の告発について」を公表しました。金融商品取引法違反(安定操作)の嫌疑で、嫌疑法人1社及び嫌疑者7名を東京地方検察庁に告発したということです。

おさらい

7人はSMBC日興が大株主から保有株をいったん引き取って投資家に転売する「ブロックオファー」取引に絡み、東証1部上場企業5社の株価を不正に安定させる目的で大量の買い注文を出した疑いがあるということですね。

とりあえず金商法違反を問われている5銘柄は、株式会社小糸製作所、株式会社モスフードサービス、アズワン株式会社、株式会社ファイバーゲート、株式会社京葉銀行の5社。先日書いたように、少なくともこれら以外の5銘柄についても捜査が進んでいるようです。

法人まで 副社長も

同社が行う自己売買の監視など、違法行為を防ぐための社内の体制も不十分だったとして、金商法の相場操縦罪に関する法人を罰する両罰規定を適用しようというものです。っていうか、役職員なのか、会社行為なのか、じゃなくて経営ですよ。多少あくどいことするにしても実績上げそうな外国人の専門家をスカウトしてきたってこと。

外国人の役員は雇われ期間中に最大限の成果を上げるだけ。後に法令違反を追及され、辞任に至ったところで、十分に元が取れてる。って話です。だからいつまでも質の悪い外資系出身者が後を絶たない。

この記事書いている最中、3/24の夕方には、この違法な取引に関与していたとして副社長も逮捕された、と報道されてます。