KDDI 大規模通信障害(その2)

KDDIは7/5、「2022年7月2日に発生した通信障害に関するお詫び」を公表しました。7/2に発生した大規模通信障害が、7/5の15時36分に全面復旧したことを確認したという内容です。いやぁ、長かったですねぇ。障害発生から実に86時間ですか。KDDIの皆さんも、ユーザーの皆さんもお疲れさまでした。

謝罪会見

そんななか、7/3に行われた高橋社長による謝罪会見が結構話題になっているそうです。会見のほとんどすべてを社長本人が説明し、質疑応答にいたっても、技術的な話も含めて技術担当に代弁させることなく、社長自身が自分の言葉で説明していたというもの。

たしかに、日本の企業でこれだけできる社長さんは珍しいですね。もちろんこの方技術畑出身の方なんですが、とはいえ、技術はどんどん進歩していきますので、社長という立場の方がここまで説明するってのは大変なことです。

一方で組織の経営者としての手腕は、どんなものなのか。これはちょっと分かりません。組織の力を結集して障害対応を進める、という点に関しては、86時間もかかっているわけで、やや課題があったのかもしれません。SNS等では社長の引責辞任を望まない声が多いそうですが、、、。

補償の問題

社長会見でリスク管理の最終局面は事なきを得たわけですが、この後直面するのは、総務省による行政指導と顧客への補償の問題ですね。ちなみに、契約の際の取り決めである約款では「全く利用できない状況が24時間以上続いた場合に限り補償」するということになっているそうです。

ほとんどの顧客において24時間を超えてるものと思われますので、これはエライことになりそう。補償の範囲も金額もまったく想像できません。

今度はKDDI 大規模通信障害

KDDIの携帯電話サービスやインターネット通信で7/2、全国規模の通信障害が発生しました。障害発生から既に2日経過した7/4時点でもまだ完全復旧していないようです。昨年10月のNTTドコモの大規模障害以上の規模、時間の障害となっています。

通信インフラどころではない

大規模通信障害どころではなく、ATMの利用や自動車のサービスが使えないなどの影響が出ているといいます。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及で、通信トラブルの影響が生活全般で深刻化するということのようです。もうこうなってくると通信インフラではなく生活インフラと考えざるをえませんね。

kuniはKDDIのサービスを一切使用していないので、今回の障害の影響はありませんでした。しかし、対岸の火事とばかりは言ってられません。今回のKDDIの障害はルーターの変更作業が原因だとか。昨年のドコモのケースはサーバーの切り替え作業でしたよね。いずれも必ず必要になるハードの交換で発生しています。

KDDIが提供する「au」や「UQモバイル」、格安プランの「povo(ポヴォ)」で音声通話とネット通信などがつながらない。各サービスの個人向けの契約者数は3月末時点で合計3097万件だそうです。凄い量ですね。個人のスマホ以外に会社貸与のスマホを持たされているサラリーマンも多いと思います。両方のキャリアがKDDIだとアウトですね。

こんなふうに通信障害が起こるたび、通信キャリアが別々のスマホ2台利用が今後の標準装備になっていくんだろうな、と感じます。複数キャリアが使えるスマホとエアコン。最近強く感じるんですが、これらは現代人にとって最重要な生命維持装置かもしれません。

株式会社LITALICO 不正アクセスによる被害発生

株式会社LITALICOは6/24、「不正アクセスによる被害発生について」を公表しました。同社及び同社子会社である株式会社LITALICOパートナーズが、2022年6月20日時点で第三者からの不正アクセスが行われたことを確認したということです。

株式会社LITALICO

LITALICOは就労を目指す障害者向けの就労支援サービスと、幼児から高校生までの発達障害などを抱えた子供への学習面などの支援を行っている企業です。首都圏を中心に全国主要都市に展開しており、法律に基づいた報酬を国から得るビジネスモデルなんだそうです。

不正アクセス

判明した不正会アクセスについて、社内調査を行った結果、Phobosの亜種と推定されるランサムウェアによる一部の社内データの暗号化と、一部の社内サーバーに対する不正アクセスの被害を受けたことが分かったといいます。

被害発生を認識後、速やかに警察への報告を行うとともに、被害の拡大防止策を講じた上で、社内チームと外部専門機関による調査・対応を行っているとのこと。現時点では、顧客の個人情報等の外部への流出は確認されていないようです。

ランサムウェアですから、感染した端末やそこに保存されているファイルを使用不能にし、その解除と引き換えに身代金(Ransome)を要求するマルウェアということですね。Phobosについては通常、攻撃者が要求する身代金が、他のランサムウェアよりはるかに低い金額であるため、被害者には安価に感じられ、支払われる可能性が高まると言われています。

LITALICOによる開示情報は上記のとおりですが、はたして要求された身代金を支払うんでしょうかね。身代金額を控えめにして支払わせる、、、しかしまぁ、いろんな仕掛け方してきますね。

尼崎市 紛失していたUSBメモリーを発見

兵庫県尼崎市は6/24、全市民の個人情報を記録したUSBメモリーが見つかったと公表しました。全市民約46万人の個人情報が記録されたUSBメモリーが6/23に紛失していたという件です。まぁ、とにかく見つかって良かったわけですが、紛失に至る経緯や管理の状況、酷かったみたいですね。

紛失の経緯

尼崎市から新型コロナウイルスの給付金支給業務を受託していたBIPROGY(ビプロジー、旧日本ユニシス)関西支社。そして同社から再委託を受けていた企業の社員が6/21、市に無断で個人情報をメモリーに複製し、大阪府吹田市にあるビプロジーのコールセンターでデータの移管作業を行いました。

19時ごろ作業を終え、その後従業員4人で飲食店に立ち寄り、19時半ごろから22時半ごろにかけて飲食。データを持ち歩いていた従業員は、飲酒により泥酔し、路上で眠り込み、目を覚ました6/22未明3時ごろ、USBメモリやスマートフォン、財布など入れていたカバンがないことに気がついたといいます。

いやぁ、まったくお粗末な話ですね。で、尼崎市のデータ管理の実態がいま、様々な批判を浴びているという状況です。紛失したUSBメモリーは発見され、パスワードやデータの暗号化に解除の跡などはみられなかったということです。

しかし、この後も専門業者に依頼して情報の漏えいなどの有無については調査を続けるようです。一連の問題に対する市民の批判は根強く、経緯を調べる第三者委員会も近く設置、1カ月後をめどに検証結果をまとめるとのこと。

他の自治体でも

システムの開発や運用管理の会社に対する情報管理の徹底。これって大変なんですよね。今回も委託先企業の再委託先企業の社員がやらかしています。システムの規模によってはさらに再々委託先も存在したりします。

情報管理のためのルールを周知・徹底するにもかなりの労力が必要なんです。伝言ゲームみたいなもんです。今回は尼崎市が叩かれていますが、その他の地方自治体のレベルも、こんなもんじゃないでしょうか。

デジタル・プロダクト・パスポート DPP とは

デジタル・プロダクト・パスポートという言葉に初めてお目にかかりました。全デジタル製品に割り当てる旅券、という意味で、欧州連合(EU)が27年にも導入し、内外企業に取得を義務づけるんだそうです。21世紀の欧州で、モノにパスポートが必要になるってことのようです。

デジタル・プロダクト・パスポート

パスポート(冊子というよりQRコード的なもの)を持たない製品はEU域内に入れなくなる?。どうやら脱炭素と循環型経済でEUが先行しようとするための施策のようです。製品がどこで採掘された原料を使い、どこで最終製品にされたか。その間、製品はどう運ばれ、二酸化炭素(CO2)を合計どれだけ出したか。

こんなこともパスポート上で電子的に把握できるようにするんですね。このようなデータをもとに、欧州の環境基準に達せず、認証機関のお墨付きが得られなければ、EU域内企業にも海外企業にも販売許可を与えないという仕組みだそう。ワクチンを〇回接種した証明がないと、入国できない、、、みたいなルールですね。

そんなもん、どれだけ正確さを証明できるんでしょう。って疑問が起きますが、モノをネットにつなぐ情報機器や技術は多数存在し、改ざんを許さないブロックチェーン(分散型台帳)技術、データを流通させる域内プラットフォームももう確立ずみだといいます。あとは制度の詳細を詰め、EU各国の合意を取り付ける作業に絞られつつあるといいます。

日本の意識

この手の話題に触れるたび、欧州は環境問題に本気なんだなぁ、と感じさせられます。それに比べると日本の意識というのは、、、。とりあえず世界中が叫んでるから、姿勢だけは正しましょうとか、取り組む姿勢だけは見せましょう、みたいなのが多いですよね。

コスト削減、に関しては日本も先端を入っているように見えますが、こういうことにももう少しシビアに取り組まないとなぁ。そんな感じがします。