南都銀行の店外ATM セブン銀行が広域受託

コストダウンに迫られる地銀とそれを囲い込もうと企むローソン銀行の記事を以前書きましたが、地方銀行第一号は南都銀行。それも相手はローソンではなくセブン銀行となったようです。

2019年より店外ATM入れ替えへ

2019年中に駅や大学を中心に店外に設置された南都銀行のATMを、セブン銀行のATMに置き換え、共同でATMを運営、その後の利用、運用状況を確認しながら順次拡大していくとのこと。ローソン銀行が目指していた店舗の共同運営については視界に入っていないようです。

セブン銀行のプレスリリースによると、現在も26社で449台を受託、運営しているそうですが、地方銀行では初めてのようです。また、日本経済新聞では、「全体の4割に当たる239台の支店外ATMを一括委託する」という書きぶりになっていますので、これまでのセブン銀行の実績との比較でもかなり大きな案件ですね。

地方銀行にとってのコスト削減モデルに

同じく日経によると、南都銀行はATMの運営費が今の半分に圧縮できるとしており、1億円以上のコスト削減を目指しているとしています。地銀に限った話ではありませんが、ATMのメインユーザーは高齢者、地方になればその傾向はさらに強まります。ATMを削減するとなると、顧客やその地域からの反発が予想されます。

どこだったか忘れてしまいましたが、地銀がある地域の営業所だか、ATMだかから撤退を決めたら、その自治体の取り扱い金融機関から外されたとか、外されそうになったといった話もありました。

だったら、ATMだけ全部コンビニに任せようという発想にならない方が不思議ですよね。もちろん、コンビニ銀行使ってみたらとっても便利。ってことで、「コンビニ銀行に顧客を奪われるんじゃないか」、という心配も分かります。けど、まだその分野で戦うの?って感じです。もっと自分たちの強みを出せて、収益性改善できそうな戦場で戦わないと。

ふくおかFG傘下の収支管理アプリ導入

「南都銀行がふくおかFGの傘下のフィンテックベンチャーが運営する収支管理アプリの提供を受ける」なんていうニュースも見つけました。iBankマーケティングという会社らしいですが、広島銀行、沖縄銀行に続いて3行目らしいです。こういう新しいサービスにも対応しつつ(単独でできなかったらどこかと組むのもありでしょう)、レガシーコストには大鉈を振るう。地銀の中では参考になる動向かもしれませんね。

なお、iBankマーケティングのHPで確認したところ、収支管理アプリ「Wallet+」を今現在使えるのは、福岡銀行のほか、沖縄銀行、熊本銀行、親和銀行となっています。南都銀行はまだ準備中ということでしょうか。

キャッシュレス決済で財布のひもが緩む

日経ビジネスに掲載された記事「コンビニ、省人化競争そろり」で書かれていたお話です。キャッシュレスを導入してみたら、つり銭の準備や売上金の管理などの業務が不要になることで利益が向上したという話。あるラーメン店でスマホアプリで注文・決済する仕組みを導入した事例などが紹介されていました。

客単価が1.5倍に

後者の事例では後ろに並ぶ他の客のことを気にすることなく、席について自分のスマホで注文できるため、じっくりトッピングやサイドメニューを追加しやすくなり、結果的に客単価が1.5倍になったということです。これって面白いですよね。決済だけではなく注文も自分のスマホでというところがミソです。

最近チェーンの居酒屋でよく見かけるタブレット端末で注文させるシステム。店員を呼んでテーブルの横に立たせて注文に迷ったり、、、こういうのってkuniは苦手なんですよね。タブレット相手に連れとああでもないこうでもない。いくら悩んでも店員に迷惑かけないでしょ。あの注文システムは優れモノだと思います。

最後にスマホで決済出来ればなお楽ですし、その場で均等割りで複数スマホでの決済が可能なら、割り勘もあっという間です。割り方の比率指定とかも出来ちゃったら便利かもしれません。こういうことって意外にやってみないと分からないことなんでしょうね。他にもまだまだ新しい発見があるんじゃないでしょうか。

キャッシュレス決済がデフレ克服の起爆剤になるかも

日本でクレジットカードが普及しない理由として、「カードを利用すると使い過ぎてしまうから」という意見が少なくありません。現金と違って財布の中から出ていかない決済方法って、おそらく財布のひもが基本緩むんですね。クレジットカードの場合、後から忘れたころに請求が来るからという理由だけではないと思います。

買い物している時に財布の残高が気になって、買い物を躊躇した経験って誰もがあると思います。その時その時の我慢した金額は少額かもしれません。2,000円程度の買い物して500円のもう一品を我慢みたいな。けど、これを追加で買ってもらうことができると、売り上げは25%の増加になるんです。5人に一人の確率で追加の買い物してくれると5%の売り上げ増です。これって経済指標としてとらえると強烈な伸び率ですよね。

と、妄想してみましたが、今政府がやろうとしている、キャッシュレス決済導入に対する過剰なまでのポイント還元。消費増税をマヒさせるための一時的な施策でしかないように見えますが、意外な効果が出るのかもしれません。

キャッシュレス決済 日本経済新聞の調査結果

調査概要 日本経済新聞と「日経クロストレンド」「日経FinTech」がマクロミルに委託し、10月25~30日に実施。全国1万人から回答を得た。クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、スマホを使ったモバイル決済、QRコード決済を対象に、認知度や利用頻度などを聞いた。そうです。

キャッシュレス「東高西低」

日々の買い物で使う金額のどれぐらいをキャッシュレスで決済しているか聞いたところ、全国平均は43%だった。47都道府県別のキャッシュレス比率では千葉(48.5%)や東京(48.4%)、神奈川(46.4%)など首都圏が上位を占めた。一方下位では、佐賀(31.9%)や宮崎(32.2%)、島根(33.6%)、徳島(34.9%)といった九州、中四国が並び、脱現金では「東高西低」の傾向が浮き彫りになった。とのこと。

記事でも指摘しているように、スイカやPASMOの存在が大きいんでしょうね。kuniも昼食はほぼPASMOで済ませてしまいますし、交通系電子マネーが使用できる自動販売機も多くなりました。

kuniの10月以降昨日までのお買い物を改めて思い出してみましたが、キャッシュレス比率が軽く8割を超えていました。ちょっと大きな買い物があって、いずれもクレジットカードを使用したのが要因ですが。ちなみに政府の統計と一緒で、口座振替は決済金額から除外してます。

QR決済「知らない」8割

違和感があったのがこのデータです。QRコード決済を「知っている」と回答した人が19%にとどまったとか。冒頭にこの調査の概要を引用しておきましたが、全国1万人という回答者のプロファイルも知りたいところですね。地域別の回答者比率や回答者の年齢層でこの手のデータはどうにでもなりますからね。

で、12月に入ってペイペイが購入額の20%分を還元するキャンペーンを行って認識度が上がっていると思われるが、これは今回の調査結果に反映されていないと断っています。ペイペイとLINEのキャンペーンを経て認知度が大きく上昇したという記事の伏線ですかね。

ソフトバンク19日上場

この手の記事を並べておいて、ソフトバンクのIPOの募集結果についても報じていました。応募倍率は2倍弱だったとのこと。やはり、このサイズの募集となるとこんなもんでしょう。SBI証券が当選株数を後から増やしてきたという話題も書いていましたが、証券会社はそれなりに苦労したと思いますよ。

ある顧客が5000株キャンセルしたとかの事例も取り上げていましたが、この程度の話は常につきものです。問題は核になる顧客。予定していた1件で100万株がキャンセルに・・・なんてのと戦うわけですよ、営業さんはホント、お疲れさまでした。

携帯値下げ攻防 菅 義偉 内閣官房長官

先日から日本経済新聞の連載で「携帯値下げ攻防」というコラムをやってます。菅官房長官が今年8月に札幌で「4割程度下げる余地がある」と発言したところから始まり、官邸と携帯大手との攻防が続いています。その辺りの密着取材的な特集なんですね。

菅 義偉という政治家

菅 義偉(すが よしひで)氏は秋田県湯沢市出身の政治家です。高校卒業後東京に出て、いったん就職したものの、大学を卒業。横浜市会議員を経て神奈川2区から衆議院議員という経歴らしいです。安倍内閣では官房長官として毎日のように記者会見しているだけに、認知度は相当高いと思います。官房長官在籍6年弱は史上最長だそうです。

会見では落ち着いたしゃべり方で、自身を飾らない、お世辞にも話がうまいともいえない、政治家らしくない政治家。というのがkuniの印象でした。ところが今回の携帯値下げに関してはかなり強気の様子で、当初反発していた携帯キャリア大手も今では意気消沈といった感じです。過去の政策を見てもこの方なかなか頑張ってますし、評価すべき政治家だと思います。

ソフトバンク 孫 正義

政府主導の値下げ方針に対しては、まずドコモが2~4割の値下げを表明。その後ソフトバンクも格安ブランドのワイモバイルの値下げを発表しました。孫社長は「官邸の意向をくんだのか」という記者の質問に対して「はい、そうです」と答えています。KDDIが追い詰められた感じですね。

携帯キャリアとして根こそぎ儲ける時代はもう終わり、と孫社長は割り切ってるんでしょうね。おまけに12月には子会社のソフトバンクを公開させて、ソフトバンクグループとしても新しい事業に向けた資金回収ができてしまいます。この人もやっぱり凄い人ですね。

携帯キャリアの世界と金融

このような駆け引きが展開されているわけですが、そこでは楽天の新規参入が大きな原動力となっています。3社で独占してきた業界に楽天が参入することで業界秩序が崩される。その自然な価格破壊の流れに政治がうまく乗っかった。後押しすることで国民にうまくアピールできている。という見方が正解なのかもしれません。

とまぁ、他の業界の動向を見るにつけ、金融の世界は動きが緩慢だなぁ、と思ったりするわけですね。他の業界と違って規制が多いこともあり、既存の金融という枠組みを通してみると緩慢に見えてしまいます。もちろん、各論で見ると様々なスタートアップが仕掛けてきているわけですが。そういう意味でも LINE Financial と みずほ銀行が LINE Bank 設立というニュースは今後に期待したいですね。何が起きるんでしょう。

ベンチャー企業とスタートアップ企業

先日の投稿でベンチャーとスタートアップの違いについてお茶を濁してしまいましたので、今日はそこらへんを書いてみたいと思います。

ベンチャーとスタートアップの違い

creww(日本最大級のオープンイノベーションのプラットフォーム)というサイトでサクッと説明されていました。最も大きな違いは、その企業が設定しているゴールだそうです。ベンチャー企業は中長期的に課題に取り組み、世の中の課題を解決しようとする。一方スタートアップ企業は主に短期間でのEXIT(エグジット)を目的にしているとのこと。

この他にも、「既存のビジネスモデルがベースになっているか」とか「イノベーション」がそこにあるかどうか、といった切り口で違いを説明しています。kuniが注目しているのは「短期間でのEXITを前提としている」という特色の部分です。

kuniのイメージするスタートアップは、「イノベーションとなるアイデアとそれを実現するためのテクノロジーを開発し、既存の企業に売り込んでさっさとEXITしてしまう」。そんな感じで捉えています。そうすることで、彼らはすぐにまた別のイノベーションに移っていきます。要は事業化するために必要な一連の手続きや、企業として存続させていくうえで求められる様々な要求を、快く思わない人たちのように見えるんですね。

ガバナンスの観点から考察すると

ガバナンスの観点からみるとその光景がより一層鮮明になってきます。今の上場企業を見ていると、コンプライアンスや株主対応を中心とするガバナンスに相応の労力を割かれ、本業がお留守になってしまっているような。攻めのガバナンスが欠如した、サラリーマン経営者ばかりになってしまっているように思います。

強いリーダーシップでどんどん攻めていく若い経営者は、コンプライアンスや守りのガバナンスが苦手。そういう人たちはさっさと事業を売り渡し、コンプラもガバナンスもバランスよくこなせる老いた大企業が譲り受ける。こんな構図になりつつあるんじゃないかと感じています。しまいに上場企業は、成長力に乏しい、存続だけを目的としたような企業ばかりになってしまいそうです。

株式公開を出口戦略と考えるベンチャーが流行ったと思ったら、さっさと事業を売り渡してしまうスタートアップが現れてきました。出口までがどんどん短期化しています。成長力のあるこれらの企業こそ、株式を公開し、コンプライアンスもガバナンスも正しく理解し、適切に実装してさらに成長していってほしいものです。