仮想通貨(暗号資産)の不正流出

7/21付け日本経済新聞の記事に「仮想通貨、やまぬ流出 1~3月、世界で1300億円被害 ハッカーが狙うネット接続の瞬間」というのがありました。2018年は17億ドル(1800億円)、今年は1月~3月までの間で、12憶ドル(1300億円)が不正流出しているとのこと。

主な仮想通貨取引所のハッキング

過去に起きた取引所のハッキングによる不正流出被害額は、かなり日本が目立ちますね。第1位がコインチェックの580億円、第2位のマウントゴックス460億円、そして第5位にザイフの70億円が入っています。上位5件中3件が日本で発生しています。

ところで、今年に入ってからはバイナンス(香港)で45億円、ビットゥルー(シンガポール)で5億円、ビットポイント(日本)で30億円という表が、記事には添付されています。これが主な仮想通貨取引所がハッキングされて流出した金額です。合計で80億円にしかなりません。

ネットで調べてみると、他にもシンガポールやニュージーランド、韓国などでも発生していて、これらも全部合計しても、120億円程度にしかなりません。「サイファートレースによると、19年1~3月は盗難のほか、詐欺や流用で大型の案件が目立った」と書いていますので、冒頭のセンセーショナルな数字1300億円との差は、詐欺や流用ということのようです。

もう少し正確に書くべきでは

記事のタイトルで「ハッカーが狙うネット接続の瞬間」と書いてるわけですから、インターネットに接続した状態で顧客資産を管理する「ホットウォレット」から流出した金額だけを集計するべきですよね。詐欺等の被害額を1200億円も水増しして、あたかもハッキングだけで1300億円が流出したかのような記事になっています。

法律で暗号資産と呼ぶことになったはずなのに、この記事では仮想通貨の名称が全面的に押し出されており、不正流出を誇大に表示するために仮想通貨という名前をあえて復活させているかのような印象も受けてしまいます。

そうしたことを意図して書いたのかどうかは置いておいても、1300億円という数字を使用するなら、詐欺等でどんな事件が起きているのか、どんな手口で被害にあっているのかについて深堀してほしかったですね。