キャッシュレス QRコード決済乱立

キャッシュレス決済が次第に拡大してきてます。以前書いたように、kuniもPASMOの使用率が格段に上がって、利用回数ベースでは8割程度になってきました。ただ、残念なことに一番近いスーパーがキャッシュなので、金額ベースでは5割くらいですかね。ここだけのせいで相変らず1円玉地獄が続いています。

Suica PASMO

いわゆる交通系カードのSuica PASMOがキャッシュレス決済において一番便利だし、本命ではないかと以前書きましたが、世の中的にはやはりQRコード決済が幅を利かせているようです。というか、派手な還元キャンペーンの話題でここが目立っているだけのような気がしますが。

交通系カードの強みは、何といっても手間と時間がかからないことです。QRコードはスマホでアプリを立ち上げて、コードを読み取って、というアクションが必要で、手間も時間も交通系カードにはかなり劣っています。おまけにこの乱立状態。そのお店でどの決済が使えるのかという選択の手間みたいなものもあります。

非接触型カードと分類される交通系カードは、レジや改札でピッと決済するときに、カード上のICに充電までしてくれるんだそうです。なかなか優れものなんですね。

店舗側には別の事情

と、ここまではユーザー側の理屈です。一方の店舗側には別の理屈があります。交通系カードに対応するためには、非接触型カードの読み取り機を導入するコストがかかります。加えて、決済ごとに店舗側が手数料を負担することになります。このあたりの仕組みはクレジットカードと同じで、手数料は決済代金の3%~7%だそうです。

100%交通系カードでキャッシュレス決済になった場合のお店側の利益を考えてみましょう。売り上げの90%がコストだとしたら、利益は10%残るわけですが、そのうち、3%~7%を失う計算になります。売り上げが1000万円だとすると、100万円あがるはずの利益が30万円~70万円減少するということです。

交通系カード決済で手数料をゼロに

店舗側が嫌がる気持ちもわかりますよね。では、交通系カードが手数料をゼロにすればいいわけです。現実社会の決済データをマーケティングに利用して、ネットデータを利用したグーグルやアマゾンと同様に利益を上げようとしているのが、QRコード推進チームです。ならば、交通系カードの運用会社が共同で新会社を設立し、決済データの利活用で儲けることを目標、前提として、手数料ゼロを実現すればいいわけです。

ということで、結局kuniにとってありがたいシナリオを描いてしまいました。が、しかし、そういう構想ってないんですかね。英国でここ数年劇的にキャッシュレスを進めたのは、主要銀行が共通の非接触型デビットカードを発行し、地下鉄などの交通系カードと融合させたことだと聞きます。QRコードはほとんど普及してないそうです。日本も英国型でいいんじゃないかなぁ。楽天とSuicaの提携が節目になるかもしれません。

QRコードの規格統一

3/18 日本経済新聞で「QRコード統一規格、月内にも公表 コスト懸念も」という報道がありました。経済産業省と産学官が立ち上げたキャッシュレス推進協議会が29日にもQRコード決済の統一規格を発表するとのこと。時間かかりましたねぇ。やっとですか。

今回の決め事は、利用者を識別する番号の割り振り方法を定め、複数の事業者が異なる利用者に同じ番号を発行するのを避けることなんだそうです。クレジットカード並みの仕様を求めているため、セキュリティーの向上が期待できるものの、加盟店や利用者にコストが跳ね返る懸念があるとも。

キャッシュレス決済、乱立模様ですが、やっぱり最後は加盟店や利用者へのコストのところで揉めてます。QRコードに関するキャッシュレス推進協議会のここまで、いかにも日本らしい展開ですね。QRコードが先に普及した中国では不正利用が頻発。最終的にはクレジットカードなど既存の決済事業者の意見が採用されて、高コストながらセキュリティーを重視する仕組みとなった。ことも書いています。お国柄というか、まさに実装の国であることがよく分かります。まず実際にやってみて、上手くいかなかったら修正すればいいという国民性ですね。

実際の使い勝手ってどうなんでしょう

kuniはこのところ少額決済はほぼPASMOを使ってます。毎日通勤で使用するカードだから、お金のチャージには困りませんし、コンビニ等での決済はメチャ簡単・スピーディ。たまに多少お高い買い物するときはクレジットカード。クレジットカードが使えないお店に出くわしたことないですね、今のところ。

こうしてみるとスマホのQRコード決済って本当に普及するんかなぁ。というのが最近の正直な感想です。お店側の導入コストやレジでの処理スキルなどに配慮すればするほど、ユーザー側に手間が増加します。ペイペイの支払い場面の説明動画を見ましたが、店のQRコード読み込んで、支払額を入力して、お店の人に確認して、やっと送信。みたいなやりとりですね。PASMOなら、「PASMOで」って言って、カードリーダーにピッとかざしておしまい。

日本のスタンダードとkuniの個人的希望

日本では大都市に人口が集中しています。そこには世界に誇る交通網が張り巡らされていて、通勤する人、通学する人のほとんどがSUICAやPASMOといった交通系カードを持っています。てな具合に考えていくと、日本における少額決済では交通系カードを軸にして発展させていくのが正解のような気がしますね。

kuniの希望はPASMOのチャージ上限を引き上げてもらって、かつ改札機での自動チャージに使用するクレジットカードに、普通のクレジットカードが使えるようにしてもらうことです。そうなるととても便利になるんですが。

データ規制 米加州が先陣 情報銀行

2/28付け日本経済新聞の FINANCIAL TIMES 欄で読んだ記事より。英国のフィナンシャル・タイムズの記事を翻訳して週2回掲載している記事です。グローバル・ビジネス・コメンテーターのラナ・フォルハーさんという方が書いてらっしゃるみたいです。

米フェイスブックやユーチューブの直面する問題

「フェイスブックの集団訴訟の資料が公開され、オンラインゲームを楽しむ子供たちにどんどん課金できるよう同社が仕向けていた疑いが明るみに出た」とか、「グーグル傘下のユーチューブでは、子供が出てくる動画のコメント欄にわいせつな動画へのリンク等が大量に書き込まれる事態が相次ぎ、大手企業が広告出稿を停止した」といった問題を提起しています。

残念ながらkuniはここに書かれていたような実態を詳しくは知りませんでした。ユーチューブについては彼ら自身が被害者のようにも思えますが、フェイスブックの方は良くないですね。以前日本でもゲームにはまる子供への課金が問題になったことがありました。

この記事の冒頭には「自分の子供に危害が及べば、親は本気で怒る。 これがプラットフォーマーと呼ばれるIT大手に対して、最近上がっている苦情が示していることだ」と書いており、子供をダシにするあたりは、どうなんだかなぁ、という感じもしますね。

カリフォルニア州の配当金を課す法案

記事ではカリフォルニア州の新知事が、FBやグーグルといったプラットフォーマーに対し、個人情報を利用する場合は「データ配当金」なるモノを支払うことを義務付ける法案を、議会に提案しようとしていることを伝えています。

プラットフォーマーにより個人情報が使われることに対して、同意を得させるとか、利用される情報を限定する、利用されることに対する対価を検討する、といった議論は様々なところで始まっています。ところが、この記事では「この法律が導入されれば、そのビジネスモデルに終止符を打つことになるのではとの期待を集めている。」としています。

集団訴訟に参加するような、被害にあっている子供の親たちに対する政治的なパフォーマンスという色合いもあるんでしょうが、かなり過激な対立を生んでいるようです。

情報銀行の構想

記事では、プラットフォーマーの権力に立ち向かう手立てとして、ネット利用者の権利の委託者となり得る新たなタイプの組織が必要だと指摘しています。また、すべてのモノがネットにつながる Iot 時代においては、立ち向かう相手は全ての企業に拡大するはずです。日本が政府主導で検討してきた情報銀行が、まさにその新たなタイプの組織なわけですね。

三菱UFJ信託銀行や電通、富士通、日立製作所などが、既に情報銀行参入を表明していますが、昨年12月から認定の申請を受け付けています。この3月には認定が下りるそうで、一般社団法人 日本IT団体連盟のウェブサイトなどで公表されるそうです。そろそろですね。

キャッシュレス決済の持つ可能性

GAFAのビジネスモデル

米国の巨人たち、いわゆるプラットフォーマーが迷走し始めています。ECサイトの購買履歴やSNSの個人の情報を利用した彼らのビジネスモデルが行き詰ってきているということのようです。最も大きな要因は、個人の情報を無料で手に入れ続けてきたことと、世界各国から価値ある情報を吸い上げておいて、各国への見返り(要するに納税)がないことです。

ネットを利用した、あまりにも画期的かつ斬新なビジネスモデルであったが故、上記の要因に気づいていなかった人や国家が今頃になって寄ってたかってケチをつけているわけですね。

ネットとリアルの規模感

経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、2017年の国内電子商取引は16.5兆円だそうです。EC化率は5.8%ということですから、全体では284兆円になります。ということは、残りの94.2%、267兆円がリアル世界での商取引ということになります。

GAFA等が牛耳っているデータは、実はこの16.5兆円の日本であり、267兆円の日本は手付かずということですね。日本政府が目指しているように、このうち40%がキャッシュレス決済になるとすると、約107兆円規模の購買履歴等の個人データ市場が手に入るということになります。キャッシュレス決済を制する企業はGAFAの6.5倍のデータを手にするわけです。

こう考えていくと、日本におけるキャッシュレス決済って魅力的です。ソフトバンクグループが100憶円キャンペーンで仕掛けるのも理解できるというものです。

最初に創造する米国と後から改良して稼ぐ日本

自動車や家電製品を創造したのは紛れもなく米国でした。それでも日本は後から追い付き、高い技術力で改良を重ね、世界一のブランドになったわけです。今はちょっと残念なことになってますが。。。

この辺りは多くの説明は不要でしょう。ネットの世界で想像されたプラットフォームをリアルの世界で再現しようとしている今の日本って、何だか自動車や家電業界の黎明期に似てきたような気がするのはkuniだけでしょうか。

改良されたリアル世界での仕掛け

ネットの世界でGAFAがやってきたことはもう十分に研究されています。これをリアル世界で実現していく。追い掛ける側にはメリットもたくさんあります。消費者も既にそのビジネスモデルを理解していますし、ポイント還元という形でちゃんと対価も払っています。そして情報銀行も並行して整備される、情報の管理態勢は確立することでしょう。

今GAFAが苦しんでいる課題をあらかじめきちっと抑えながら、リアル世界のプラットフォームを構築できるわけです。「みずほFGが地銀60行と組んでスマホ決済に参入」というニュースがありましたが、銀行というお堅いイメージで情報銀行を兼営できることは一つの強みですね。

電子マネー 実は高齢者に拡大

1/29 日本経済新聞の記事です。これまでほとんどのメディアや識者が指摘してきた、「高齢者は現金へのこだわりが強く、電子マネーは普及しない」説があっさりひっくり返されました。机上の空論ってやつですか。やはり、現場で実際にやってみないと分からないもんです。

70歳以上の電子マネー平均利用額が、直近5年間で87%増え、伸び率は全世代の平均(58%)を上回るんだそうです。他にも高齢者に受け入れられているというデータが示されていました。で、後講釈の上手い新聞としては、以下の4点を高齢者にとってのメリットとしてあげています。

①使える金額の上限をあらかじめ設定できる
②紛失時に利用を停止できる機能がある
③キャッシュカードを持ち歩きATMで現金を下ろして使うより安全性が高い
④年をとると手先を自由に動かしづらくなるので、お金を数えることが苦痛

子が親に電子マネーを勧める

これも気持ちは良く分かります。上にあげたメリットの①②③などは子供が親のことを心配して使わせているのが想像できます。特に③などは子として一番心配でしょう。これらはいずれも・・・だから現金より安心という理由ですね。一方で④は現役バリバリで働いている人たちには想像すらできなかったこと。高齢者の目線で考えることができなかった部分です。

ということで、nanacoやヨークベニマルで取材した「高齢者に受け入れられている」とか「使い勝手の良さが支持されている」といった、とって付けたような記事が添えられています。これは結論ありきで誘導した取材記事のようです。ただ、データは本当なんでしょう。最近統計は信用できませんけど。

本命と思われていたQRコード

高齢者に受け入れられている電子マネーだけど、ここで取り上げられているのは主にチャージして使用するカードであり、スマホを前提としたQRコードによる決済は高齢者では普及していないようです。この現象は高齢者特有の傾向なんでしょうか。

財布から出して指定の場所にピッとタッチするだけ。カードの使用方法は非常に簡単です。これは顧客の年齢に関係ないですから、意外に本命はカードかもという気がしてなりません。この記事はちょっと気になりますね。

ちなみに、今現在kuniが最も頻繁に使用している電子マネーは交通系カードのpasmoなんですが、チャージが面倒なんですね。クレジットカードと連動して改札機を通るときに、自動でチャージしてくれる機能もあるみたいですが、残念なことに既存の大手クレジットカードとは連動しないみたいです。

けど、自動改札機で自動でチャージしてくれる機能、これ便利そうじゃないですか。他にもチャージが工夫されたカードがないものか、調べてみたいと思います。