ガバナンス改革、次は監査役会  金融庁、開示ルール拡充へ

金融庁が情報開示ルールを拡充

金融庁は上場企業の監査役会の情報開示ルールを拡充する。会計不正など相次ぐ企業不祥事を踏まえ、経営をチェックする監査役会の活動をガラス張りにしてコーポレートガバナンス(企業統治)強化につなげる。

8月20日(月)日本経済新聞に掲載された記事です。金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループが6月に公表した報告書で、監査役会の開催頻度や各監査役の出席状況、議論の内容などの開示を求めていた。これを受けての金融庁の次のアクションということのようですが。

金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの報告書を読んでみた

そこでその報告書を読んでみましたが、決して監査役会のことだけを言っているわけではなく、企業情報の開示の包括的な検討結果になっていました。この報告書を参考に、金融庁はまず監査役会の機能に注目し、上場企業のガバナンス情報を充実させる目的で、監査役会の活動状況を可能な限り具体的にに開示させようと考えているということのようです。

報告書が示す監査役会に関する開示すべき事項

審議会の報告書で指摘されている、開示すべき主な項目は以下の通りです。

  • 会計監査人との連携において議論されたこと、監査人の指摘に対してどう対応したかなど(会計監査に関する情報の充実)
  • 監査役会等による監査人の選任・再任の方針および理由ならびに監査人監査の評価
  • 監査役会等が監査報酬額に同意した理由
  • 監査役会等の活動の実効性の判断のために必要とされる、監査役会等の活動状況(監査役会等の開催頻度・主な検討事項、個々の監査役等の出席状況、常勤監査役の活動等)

四半期開示についても触れてたよ

審議会の報告書では四半期開示に関しても触れられていました。賛成・反対の意見が両論併記されており、結果、現時点での四半期開示制度の見直しは行わず、引き続きそのあり方を検討としています。

知らなかった。英国、フランスではそれぞれ2014年、2015年に四半期開示制度を廃止してるんですね。最近では米国トランプ大統領が廃止について検討を指示したというニュースがありました。今回のトランプの指示は決してムチャな指示ではなかったようです

次から次へと後を絶たない企業不祥事。それを受けて求められるガバナンスの強化。止まりませんね当分。

銀行の人材紹介業務

地方銀行に人材紹介のノウハウを指南

8月19日付け日本経済新聞に「地方企業に人材供給」という記事がありました。ある人材紹介会社が地方銀行に人材データベースを提供するほか、社員を派遣し、人材紹介のノウハウを指南する。らしいです。どうやら銀行による人材紹介業務、具体的に動き始めたみたいです。

このところの銀行の経営戦略、「取引先への人材紹介や事業承継、販路開拓、M&Aなどのコンサルティングで、総合的な取引を展開して収益につなげていく」といったものをよく見ます。本業だけではやっていけないわけです。

3月の監督指針改正により解禁

他の業種に比べて、公共性が極めて高い銀行業は、その経営の健全性を確保するために、取り扱うことのできる業務が法律により制限されています。そのような法規制の下でも、一部の業務が解禁されており(銀行界ではこれらの業務を付随業務といい、銀行固有業務と切り分けています)、先ほど紹介した、コンサルティング業務、ビジネスマッチング業務、M&Aなどを以前から取り扱ってきました。

記事の中でも軽く紹介されてましたが、金融庁は今年3月、「主要行等向けの総合的な監督指針」および「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を一部改正しました。主な改正点が「銀行や銀行の子会社における取引先企業に対する人材紹介業務の取扱いが可能であることを明確化した」というものです。

この監督指針の改正を見たとき、行間に「自行の行員を取引先に紹介することで計画的に人員削減を進めなさい」というメッセージを読んでしまい、思わず吹いてしまった記憶があります。しかし、銀行界は本当に純粋な業務として人材紹介業務を推進していくんですね。けど、自行の行員を取引先に紹介することもできるんですよね。今度、銀行の人に聞いてみるつもりです。