NTT 再生可能エネルギー発電 本格参入

6/30付け日本経済新聞一面トップの記事です。NTTが2030年度までに自前の発送電網を整備し、再生可能エネルギー事業に本格参入します。日本の再生エネルギー発電容量の1割にあたる750万キロワットを発電し、独自の発送電網で顧客に電気を届けます。

久々のビッグニュース

このところ産業界にいい話がなくて、話題の記事といえば新型コロナかトランプ氏でした。NTTの決断は久々の良い話ですね。とはいうものの、この日のNTT株はほとんど動かず。超大型株ですからねぇ。マーケットは小型株人気だし。

NTTアノードエナジー社が中核となり発電事業を拡大するそうですが、NTTが全国に保有する電話局の大半をミニ発電所にしちゃいます。太陽光発電ですね。その数なんと約7300だそうです。kuniが育った田舎の町にも巨大な電話局がありましたし、これくらいありそうですよね。

とにかく再生可能エネルギーだけで地方電力並みの発電しちゃうわけですから、凄いです。しかし、これだけ大きな企業で、組織としても完成してしまっている企業なのに、どうしてこんな大胆な新しい展開が打てるんでしょう。ESGの観点のみならず、この会社はやはり買いですね。

IOWN(アイオン)グローバルフォーラム

以前「スマホの充電 年1回でOK IOWN(アイオン)グローバルフォーラム」という記事を書きました。これもNTTが米インテルやソニーと組んで設立したものでした。ここでNTTが目指しているのはオールフォトニクス・ネットワーク。

PCやスマホからネットワークに至るまで、すべて光化するというものですが、これも仕様の確定を2024年、商用ベースでの実現は2030年頃を予想しているということでした。再生エネ発送電とほぼ同じ時期に実現するとしたら、、、素晴らしいとしか言いようがありません。

ESGの「S」 (その2) ステークホルダー資本主義

5/3付け日本経済新聞の記事で、「コロナと資本主義 私はこう見る 企業は社会と生きる存在」というのがありました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業と社会の関わり方が改めて問われている。企業が社会を含めた幅広い利害関係者に対して責任を持つ「ステークホルダー資本主義」にシフトすべきだ、、、というご意見です。

社会への貢献

あらためてESGの「S」について、考えさせられますね。「ダボス会議」を開催する世界経済フォーラム(WEF)の創設者であるクラウス・シュワブ会長のご意見として紹介されていました。新型コロナウィルスと戦う全人類に大きく響く考え方だと思います。

当ブログでも2週間ほど前に同様の話を取り上げました。採算度外視してでも、今社会が必要としているモノを製造する企業。これ、ステークホルダーに対して大きく訴えますよね。既に日本企業においてもステークホルダーを意識した動きは見られています。

株主だけを意識したと思われるような増配や、自社株買いの継続。さらには経営層に高額すぎる報酬を支払ったりすること、、、このような企業の判断は既にタブー視されていると、企業側も気付き始めています。個人も企業も、今社会のために何ができるのか、考えるときですね。

日本企業に期待

いたずらにROEを高めてこなかった日本企業。世界に誇る内部留保を、今こそ社会のために活かしてほしいものです。社会に貢献しつつ、もちろん企業が儲かるならなお素晴らしいことです。

アイリスオーヤマは来月から国内でマスク生産を開始します。それも素材から国産にこだわって。日本国内の生産設備導入により、6千万枚/月という新たなマスク生産計画を発表していましたが、さらに踏み込んで、1億5千万枚/月に増強することも発表しています。

動きに乏しいメガバンク。社会貢献で新たに参入しようとする企業と、設備を提供できる企業をマッチングさせ、ファイナンスを提供するといったこと、できるんじゃないの、、、って思うんですけどね。

ESGの「S」

ESGについて語られるとき、去年まではもっぱら環境問題や企業統治、つまり「E」と「G」の話題が中心でした。ところが年が明け、新型コロナウィルスの感染が拡大するのに合わせ、「S」が一気に目立つようになってきました。社会への貢献が企業の価値を大きく左右しそうです。

疫病という課題

コロナ対策は、解決しなければならない社会の課題として、人々に明確に意識されています。買いたくても手に入らないマスクや消毒液、絶対的に不足するといわれる人工呼吸器。これらの課題に対して、採算度外視で生産に参入する企業。それも全くの異業種からの参入も少なくありません。

今、本当にみんなが困っている時だけに、こうした企業の名前は消費者や投資家にしっかりアピールできるはずです。最初にマスク生産を公表したのがシャープでしたね。ヤフーは全国の自治体に感染を抑え込むためのデータソリューションを無料で提供しています。ソニーは人工呼吸器の生産協力が伝えられました。

コロナ感染軽症者の受け入れを真っ先に表明したアパホテルもそうでしたね。SNSでもその表明を称賛する声がたくさん。先日当ブログで取り上げたジャパンマテリアルも。事業で貢献するわけではありませんが、会社を支えてくれている地元の消費に貢献するという施策でした。SHIFTの危険手当なんかもそう。危機下で従業員をどう扱うか、、、こういうところもしっかり見られてます。

今は儲けるときじゃない 

おそらくこれら異業種からの参入は、事業として儲けるための参入ではなく、あくまで社会貢献としての決断だと思われます。足元の自社の業績が目に見えて悪化していくなか、こうした決断ができるという企業のガバナンス、これは凄いことです。多くの企業の経営は自社社員からコロナ感染者が出るんじゃないかと戦々恐々としているばかりでしょう。

相場の世界もそうですが、みんなが恐怖に慄き、一斉に逃げ出していくような場面で、ほかの連中にはできそうにない行動を決断する。これ、大事です。「S」で評価されるこうした企業、必ず報われると思います。

日立造船 浮体式洋上風力発電 安価な新工法

4/9付け日本経済新聞の記事です。固定買い取り価格(FIT)でも採算がとれる、建設費を従来より3割減の1キロワットあたり60万円に抑える新工法を開発したそうです。遠浅の海が少ない日本、洋上風力発電を普及させていくためには、浮体式の実用化は必要不可欠です。

基礎構造物

洋上風力発電には、基礎を海底に固定する「着床式」と、海底の固定部と洋上の風車の土台部分を係留チェーンでつなぐ「浮体式」の2種類があります。日立造船は両方の方式で技術を持っているようで、同社のホームページではそれぞれの方式で3種類ずつ、計6種類の技術が紹介されていました。

水深が30メートル以下の洋上であれば着床式、それ以上であれば浮体式で設計するようですね。日経で紹介された上記の新工法、名称が書かれていないんですが、、、。「上から見た形状が「Y」のような形」と説明していたので、おそらく「セミサブ方式」というヤツでしょう。

と、ここまで読まれた方は海から突き出た塔の上部でロータ(風車)が回る絵をイメージされたかもしれません。が、日立造船が作るのは基礎構造物(土台部分)だけのようです。というか、基礎構造物の設計から製造までみたいですね。最終的には風車の据え付けまでするみたいですが。基礎構造物だけとはいえ、洋上風力発電における日の丸企業。頑張ってほしいです。

日立造船という会社名

この会社、日立という冠が付きますが、日立製作所とは既に関係がなく、つまり日立製作所グループに属していません。また、造船と名乗っていますが、2002年、造船事業を分離、譲渡してしまっていて、造船事業はもうやっていません。併記ネームでHitz(ヒッツ)を使用していますが、もうHitzを正式社名にすればいいのにね。

高い造船の技術が活かされているのがゴミ焼却発電施設。今では世界最大規模の納入実績ありだそうです。過去にはいろんな新規事業にトライしてきましたが、今ではエネルギーと水関連事業を軸にしたプラント会社です。他にも面白そうな事業やってますし、機会があればまた取り上げたいと思います。

新型コロナウィルス 温暖化ガス急減とデータソリューション

昨日の日本経済新聞、まぁ新型コロナウィルスの話題がテンコ盛りでした。っていうかほかの話題を探すのに苦労するくらい。そんな中で二つの話題が気になりました。新型コロナウィルスの世界的流行で温暖化ガスの排出が急減しているという話題と、感染防止対策としてのデータソリューションの話題です。

温暖化ガス急減

確かにそうですよね。航空便は相次ぎ欠航してますし、工場は停止、外出禁止や自粛で自動車も減ってます。記事では中国の2月の温暖化ガス排出量が前月比25%減少したと伝えていました。社会や経済が完全にマヒして、青い空が戻ってきました。

新型コロナウィルスについては、人間が自分勝手に生活圏を拡大し、地球を自分たちにとって都合の良い環境に作り替えてきた反動である、といった論調をよく見かけます。温暖化ガスの急減という話題を見て、地球による自己浄化が始まったんだろうか、、、と考えさせられます。。

まさか最も小さな生物にここまでやられてしまうとは、って感じですね。(ウィルスは正確には生物ではないらしく、「非細胞性生物」だとか「生物学的存在」などと分類されるそうです。)

ヤフーのデータソリューション

とまぁ、うなだれてちゃダメですね。もう一つの話題は人類が最も最近手に入れたビッグデータの活用という新技術の話題です。政府が協力を呼び掛けていた利用者データの提供に、ヤフーが応じることになったというニュースです。

ヤフーでは100を超えるサービス(検索やメディア、ECなど)があり、月間5000万人が利用しているそうで、日本最大級の膨大なデータ量とバリエーションを誇っているとのこと。このデータをAIで分析した結果が政府に提供されるんだと思われます。

もちろん、個人を識別できないよう配慮されるはずですが、このデータを利用して、感染拡大やクラスターの発生をどんなふうに阻止していけるのか。中国のように個人の行動まですべてを管理、規制していくことはできませんが、この新技術、期待したいですね。