銀行の人材紹介業務

地方銀行に人材紹介のノウハウを指南

8月19日付け日本経済新聞に「地方企業に人材供給」という記事がありました。ある人材紹介会社が地方銀行に人材データベースを提供するほか、社員を派遣し、人材紹介のノウハウを指南する。らしいです。どうやら銀行による人材紹介業務、具体的に動き始めたみたいです。

このところの銀行の経営戦略、「取引先への人材紹介や事業承継、販路開拓、M&Aなどのコンサルティングで、総合的な取引を展開して収益につなげていく」といったものをよく見ます。本業だけではやっていけないわけです。

3月の監督指針改正により解禁

他の業種に比べて、公共性が極めて高い銀行業は、その経営の健全性を確保するために、取り扱うことのできる業務が法律により制限されています。そのような法規制の下でも、一部の業務が解禁されており(銀行界ではこれらの業務を付随業務といい、銀行固有業務と切り分けています)、先ほど紹介した、コンサルティング業務、ビジネスマッチング業務、M&Aなどを以前から取り扱ってきました。

記事の中でも軽く紹介されてましたが、金融庁は今年3月、「主要行等向けの総合的な監督指針」および「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を一部改正しました。主な改正点が「銀行や銀行の子会社における取引先企業に対する人材紹介業務の取扱いが可能であることを明確化した」というものです。

この監督指針の改正を見たとき、行間に「自行の行員を取引先に紹介することで計画的に人員削減を進めなさい」というメッセージを読んでしまい、思わず吹いてしまった記憶があります。しかし、銀行界は本当に純粋な業務として人材紹介業務を推進していくんですね。けど、自行の行員を取引先に紹介することもできるんですよね。今度、銀行の人に聞いてみるつもりです。

東日本銀行 銀行の不祥事が止まりません

地銀に相次ぐ不祥事

7月13日に関東財務局から行政処分を受けた東日本銀行。融資した顧客から不適切な手数料を徴求していたということですが、これがいまいちよく分かりません。完全な法令違反でもなさそうで、歩積両建預金と地方公共団体の制度融資先を食い物にしていたことについては言及されていましたが、その他の不適切とされる手数料については詳細の説明がありませんでした。

公表されている行政処分の文面から見えてくることは、これらの不適切な行為は基本的に外部からの紹介により行った融資ということ。第一に、地方公共団体が制度融資として持ち込んだ(指定した)案件、第二に特定のグループ(これって何でしょう)から紹介された案件、そして当行OBを通じて紹介された案件。

特定のグループって気になりますよね。当行OBとこの特定のグループの関係は?なんていろいろ考えていくと、まだ背景に何かありそうな気がしますね。事情をご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。

業務改善計画

この不祥事について、東日本銀行は8月10に業務改善計画を金融庁に提出しました。改善計画の中身もどうだかなぁって感じですが、この時の頭取の会見内容がまたイケてません(ちなみに会長が責任とって退任、頭取は居残るようです)。「日銀のマイナス金利政策が規模拡大にアクセルを踏ませた。前経営陣は株主への意識が強く、ドライブがかかり過ぎた」

って、おいおい。収益偏重で顧客にとんでもない不利益与えておいて、日銀と株主悪者にしてお仕舞いかい? 東日本銀行のご当地の皆さんには申し訳ありませんが、大丈夫ですかね、この銀行。

他の地銀は大丈夫?

これって東日本銀行だけのお話なんでしょうか。いやいや、そこらへんの銀行で同じようなことあるんじゃないですかね。個人ローンの過度な貸付、アパートローン、サブリース問題にこの不適切な手数料。金融の世界に居た人間としての肌感覚としては、どこでも似たような事がありそうな気がします。いや、あくまでそんな気がするだけですけどね。