スルガ銀行の次は西京銀行?(続き)

以前の投稿で取り上げた西京銀行。なんかまた山口県のニュースが。なんでまた悪い予感だけが当たっちゃうのか。一部のメディアが「金融庁が西京銀行に検査着手を決定した」みたいな話が出てますね。この報道を見て当ブログに来ていただいた方も多いかと。

これまでのおさらい

  1. 8月にヨシキちゃん事件(スーパーボランティア爺さん)で周防大島が脚光浴びる
  2. 9月に富田林署から逃走した犯人が周南市で逮捕(周防大島にも滞在)
  3. 10月に大島大橋に貨物船が衝突して島全体が断水

恐れていた山口県のニュース

で、11月に山口県の西京銀行にアパートローンの実態把握のため、金融庁が検査着手を決めたとか。これで4か月連続で全国ニュースですわ。続くときは続くもんですね。もっといい話が続くんなら大歓迎なんですが。検査の結果これといった問題は認められなかった、ということになってくれれば。

と願うものの、kuniの経験からすると、既に金融庁はある程度の証拠、確信持ってるから検査に着手するわけで。。。無傷というわけにはいかないでしょうね。しかし、着手前に何でこう簡単にメディアに漏れちゃうんですか。地銀でも予告検査なんですかねぇ、最近は。金融庁も信用回復に向けてメディアでもなんでも利用したいんだろうけど。それも3連休前に。連休使って証拠隠滅やら隠蔽工作やらやんないでよ、西京銀行。

このニュースの連鎖どこまで

ここからは超飛躍した妄想。山口県のよろしくないニュース、政界につながらないかと案じてます。現在の日本の首相はご存知の通り山口の政治家です。まさかそんなね。こんなバカな話を書いたところで大外れ。っていうことで、山口関連ニュース終わりにしましょう。

西京銀行の実態を知りたくて当ブログに来ていただいた方。ごめんなさい、kuniは皆さんが知っている情報以外、何の情報も持っていません。ここまでお読みいただいてありがとうございました。

せっかくお越しいただいたので、山口県のお勧めの酒の肴をお教えしましょう。かまぼこの白銀、沖柊(おきひいらぎ)の干物 平太郎。これ、日本酒の肴に、鉄板です。ぜひ一度お試しください。

スルガ銀行 社外取締役の法的責任

当ブログでも以前取り上げた、金融庁と日本取引所グループが作成したコーポレートガバナンス・コード。上場企業に対して求めたガバナンスの教科書みたいなものです。そのなかでは、取締役や取締役会、監査役などに求められる役割等が示されていますが、社外取締役に求められる役割・責務についても触れられています。

いたるところで「社外取締役を含む取締役は」という主語が使われていることに加え、原則4ー7では、社外取締役に求める役割や責務として次のようなことが書かれています。

  1. 経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと
  2. 経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと
  3. 会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること
  4. 経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること

社外取締役にはこれほどの役割・責務が求められているわけです。ところが、今回のスルガ銀行の「第三者委員会の報告書」では社外取締役の責任を問うていません。これにkuniは非常に違和感を持っています。

第三者委員会報告書での指摘

  • 社外取締役は個別の違法行為等を知り、または知り得た証拠は見当たらない
  • 知り得た情報は社外取締役側から主体的に収集活動をして得られたものではない
  • 本質的な問題を具体的に知り又は知り得たにもかかわらず、これを放置したといった事情も見当たらない

以上3点を抜粋してみました。唯一の情報収集機会である取締役会の席では、個別の違法行為等を知り得ることはできず、知っていたのに何もしていないということではないので、法的責任は問わないと言っているわけです。加えて、社外取締役が主体的に情報収集したという事実もないと言っています。

違法行為等の情報を知ってしまうと責任を問われる可能性があるんだとしたら、だれが進んで調査、情報収集します?なにもせず、我関せずを貫いた方が得じゃないですか。こうなると何のために社外取締役を置いているのか分かりません。先に見たコーポレートガバナンス・コードが要求する役割・責務と、第三者委員会報告書の温度差、違和感あるでしょ。

「社外取締役として主体的に情報収集した証跡は十分認められるものの、取締役以下社内の協力を得られることなく、違法行為等を知るにはいたっていない。したがって、社外取締役に法的責任は認められないと思料する。」という実態であれば納得するんですけどね。

スルガ銀行社長に株主代表訴訟へ

11/14 日本経済新聞電子版の記事です。正確には13日の20時過ぎの記事ですが、紙面には載ってなかったような。なんで?

シェアハウス所有者の弁護団が表明

弁護団は有国三知男社長に対して株主代表訴訟を起こす方針を固めたそうです。先に報道されている、スルガ銀行が取締役等9人に対して起こした35億円の損害請求訴訟について、有国社長を対象に含んでおらず、責任追及が不十分だと判断した。ということらしいです。この点についてはkuniが指摘していたのと同じですね。弁護団は「内容が不当で損害賠償請求の金額が少なすぎる」とも言っているようで、彼らの請求額はもともと717億円となっていました。なんとこの乖離。

有国氏だけがなぜ対象になっていないのか

たしかに第三者委員会の調査報告書では、個別の違法行為を知り得た証拠が見当たらないとされています。取締役に就任してからは監査部管掌兼CRO(最高リスク管理責任者)なんですが、約1年間の在任期間で、かつ同社のレベルの低い監査部機能では、今回発覚したような各種不正のリスクを認識することは、困難だったのではないかといった調子です。

第三者委員会のインタビューに対する有国氏の回答までリアルに載っていますが、正直何もできなかったのね。って感じで、情けない回答ばかりです。同氏に関する記述は「明らかに善管注意義務違反に該当するとまでは認められない」と括られています。

監査役の責任は?

もうひとつ違和感が残っているのが、スルガ銀行が9人の取締役等を提訴した際、監査役の責任については問わなかった点です。弁護団の方も、この点については今のところ指摘していないのでしょうか、記事では触れられていません。

監査役二人について、第三者委員会の報告書は、シェアハウス関連の問題を知ることは可能でありながら調査をしなかったとして、「監査役としての善管注意義務に違反するものと思料する」としています。また、監査役会や社外監査役に適切な報告をしていないことについても、同様の判断をしており、合計4か所で「監査役としての善管注意義務に違反するものと思料する」という記述があります。

ここまで第三者委員会が善管注意義務を問うているにもかかわらず、スルガ銀行は訴えていません。

スルガ銀行とサブリース契約 二つの記事

日本経済新聞11/13付け記事です。「スルガ銀行、旧経営陣ら提訴」と「転貸借業者 実態調査へ」の二つの記事がそろい踏みですね。

スルガ銀行、旧経営陣ら提訴

まずこちらはスルガ銀行が会長以下9人の取締役経験者等に損害請求訴訟を起こしたというもの。kuniが指摘してきたように、取締役全員が対象になり、責任を問われることになりました。と、思いきや、先日社長に就任した有国氏がこの9人に入っていません。

この取締役に対する訴訟は会社法の定めにより、社外監査役2名が会社を代表して起こしていますね。1名だけ執行役員(取締役ではない)が訴えられていますが、こちらの訴訟は代表取締役が訴える形になっています。あと、監査役の責任についても問わないことを決めたようですね。

しかし、それにしても。2016年には監査部管掌役員だった有国氏が、何も問われないのはいかがなものでしょう。当時の株主総会の資料では、「有国氏は取締役監査部管掌として当社の健全性確保に貢献して・・・」などと書かれてますけどね。

転貸借業者 実態調査へ

こちらは、頻発している転貸借契約(サブリース契約)に関するトラブルや苦情を受けて、とうとう国土交通省が業者の実態調査に動き出すというニュース。ご存知の通り、これもある意味スルガ銀行発のお話でもあります。

しかし、サブリース、やっと動き出しましたかって感じですよね。当然問題になるのは、業者がオーナーに対して契約の内容を正しく説明し、理解を得ていたか、という点です。つまり、「賃料が減額されることがある」とか「業者から一方的に契約解除できる」という、オーナーにとって不利な条項ですね。

サブリース契約について金融庁が注意喚起をしている、と以前の記事で書きましたが、おそらく国土交通省とは連携して動いていると思われます。国土交通省が転貸借業者や不動産会社、住宅メーカー、建設会社を、金融庁が融資を付ける銀行を調査という分担ですね。どんだけ本気で調査するかによりますが、結構いろいろ出てきそうですよ。

アパート等のサブリースに関する注意喚起について

別件で金融庁のホームページをチェックしていて見つけた、報道発表資料のタイトルです。10/26に掲載されてます。今年3月に公表していた注意喚起分のアップデート版のようです。

サブリースとは

サブリース契約というのは、サブリース業者がアパート等の賃貸住宅をオーナーから一括して借り上げ、物件の管理を行い、一定の賃料収入を保証する契約のことです。おそらく名前くらいは聞いたことのある契約だと思います。

この契約を一番有名にしたのが、スマートデイズの女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」の事件でしょう。そう、スルガ銀行がこれに不適切な融資をつけていたというヤツです。スマートデイズのシェアハウスはビジネスモデル自体に問題があり、破綻したわけですが、サブリース契約そのものは、全国的にアパートローン等で使われています。

ここ数年、相続税の節税対策としてアパートローンは急激に残高を増やしてきましたが、その裏では「家賃が保証されたアパート経営」というサブリース契約が原動力になっていたということですね。

アパート等のサブリース契約を検討されている方は、契約後のトラブルにご注意ください

これが金融庁の注意喚起、添付ファイルのタイトルです。さきほど「家賃が保証された」と書きましたが、これは当初のお話であり、その物件の価値が変化することなどにより、保証される家賃が減額されることもあります。で、実際に賃料減額をめぐるトラブルが発生してるので、契約内容や賃料減額などのリスクを十分理解してくださいよ、という注意喚起です。

要するにサブリース業者が説明責任を果たすことなく、あたかも30年間家賃が保証されるかのような説明で、契約を締結させているということですね。

サブリース住宅に入居する方は、オーナーとサブリース業者の契約内容を確認しましょう

続いて二つ目の添付ファイルのタイトルです。サブリース住宅の入居者は、オーナーとサブリース業者の契約終了等による不利益を受ける場合があるので、入居に当たっては、オーナーとサブリース業者の地位の継承に関する契約内容などを確認するようにしましょう。という注意喚起です。

どのような不利益があるのかは、実際にこの注意喚起をご覧いただくとして、こんなもん読んだら入居するのためらいますよね。「地位の継承に関する原賃貸借契約の内容」ってなんだ?と思いますし、正直、サブリース住宅は今後敬遠されていくと思います。そうなると物件の価値が下がっていくわけで、そのことでまた賃料減額に拍車がかかりそう。負のスパイラルです。

サブリースショック

サブリースショックみたいな社会現象までは起きないかな、って思ってました。しかし、なぜ金融庁が畑違いのサブリースに注意喚起を出したか。サブリース業者とつるんで、かなり過剰な融資を行っている地銀等の実態が見えてきたのかもしれませんね。今後、当局の指導により地銀等は融資をさらに絞り始めるでしょう。そこから始まるサブリース業者の破綻は、サブリースショックの引き金になるのかもしれません。