株式投資 ヤフー(4689) 393円

以前、キャッシュレス決済について連載しましたが、その中で株式投資の対象として面白そうな銘柄、ヤフー(銘柄コード4689)を取り上げてみます。

多数のプレイヤーが参戦するフィンテックの決済分野

スマホ決済サービスに名乗りを上げている企業は、既に10社ほどになるでしょうか。LINE、楽天、ペイペイ、アマゾン、NTTドコモなどが動き始めています。ちなみに、ペイペイというのはソフトバンクとヤフーが共同で設立した会社です。この5社は既に、それなりの顧客等の強力な基盤を持っており、相当アドバンテージがあると見られています。

ペイペイ(ヤフー、ソフトバンクの子会社)

この中でなぜペイペイが面白そうか。ソフトバンクが持つキャリアとしての顧客基盤、ヤフーが持つ知名度とPCポータルサイトでの顧客基盤。このあたりは特にこれ以上説明は要らないと思います。

また、インドの電子決済サービス事業者paytm(ペイティーエム)の技術を導入することを公表していますが、この会社、インドで3億人以上のユーザーと800万の加盟店を持つという凄い会社なんです。

さらに、中国のアリペイとも連携し、ペイペイ加盟店で、中国人観光客のアリペイでの決済を可能にすることになったようです(9/5のニュース)。アリペイのアクティブユーザーは8.7億人。キャッシュレス決済に対して二の足を踏みそうな実店舗ですが、これだけの中国人やインド人観光客のユーザーがお店に来てくれるかも、というのはかなり魅力的に映るはず。ペイペイによる囲い込みが一気に進みそうな気がします。

デス・バイ・アマゾン。アマゾンの進出により、ショッピングセンターなど小売業界が壊滅的な被害を受けています。海外から参入してくる企業により、国内の業態を大きく壊されそう。こんな企業のことを黒船なんて言いますが、次の黒船は米国(グーグルやアマゾン)ではなく、中国かもしれません。そして数年先には中国を追い抜き、世界最大人口になるといわれるインドなのかもしれません。

ヤフー(ペイペイ)の魅力について書いてきました。しかし、株式投資はその銘柄の魅力を買うのではありません。時間を買うのです。長くなりましたので、この続きは「その2」で書きますね。

とっても便利な言い回し 「不透明」

証券業界で多用される言葉です。要するに、よく分かりませんって言ってるだけのことなんですけどね。この言葉に注目しながら新聞とか読むと面白いです。お勧めです。

9/14付け日本経済新聞より

このブログを更新している時点から24時間以内の日本経済新聞の記事で、この「不透明」という言葉、なんと20件ほどの記事で使用されてました。kuniは汗かきで紙の新聞読むと手が真っ黒になるため電子版を愛用してます。電子版の検索で20件の記事がヒット、ですから紙の新聞の記事数とは一致しないかもしれません。

アップル成長に新興国の壁 廉価版効果は不透明、「有事の金」は色あせたのか、年末株高論に勢い、米中貿易協議再開を検討、スルガ銀株15年ぶり安値、たまる日本株買い意欲ヤフー株一夜で1兆円需要、、、これらのタイトルの記事の中で使われています。読んでみてください。

基本的な使い方

辞書で調べてみると、「ことの成り行きや実状などが、はっきり示されないこと。また、そのさま。」、「情勢がはっきり見通せないこと」とありました。だから、外からでは内部の事情が伺い知れないような場合、たとえば、「スルガ銀行のガバナンスの実体は不透明だ」などと言うんでしょうね。これは前者の意味で正しく使われている例です。

証券界でもっともよくある使い方は、「何かしらの企業のアクションに対して、・・・業績の回復につながるかは不透明」というような言い回しです。後者の意味で使用されているということですね。

株価の見通しを語る証券会社や経済評論家がよく使うんですが、調査した事実を書き連ね、いろいろ理屈を並べたうえで、最後に「不透明」とくるわけです。

結局わかんねぇのかよ。そこを聞きたいんだろが。と、ツッコミたくなる訳ですが、最近はこの手の逃げ方が常態化しています。見通し、予想なんだから、ハズしても良いから「私は業績の回復にかなり寄与すると思う」って言い切ればいいのにね。その方がファン増えると思うんだけど。言葉の使い方は間違ってないかもしれないけど、あんたらが使っちゃダメでしょ。というお話でした。

サラッと読んでしまうと気が付かないんですが、気をつけて読んでみると分かると思います。本人にも分からないんだ、ってことが。  以上、とても便利な言い回しでした。

英国 エナジードリンク規制

英国が未成年者に対する「エナジードリンク」の販売禁止に動くらしいです。大量摂取による健康への悪影響に懸念が強まっているため。だそうです。そういえばお隣の韓国でも学校でのコーヒー販売を禁止する、なんてニュースもありましたね。

1リットルあたり150ミリグラム超のカフェインを含む飲料

英政府が規制対象とするのは、1リットルあたり150ミリグラム超のカフェインを含む飲料とのこと。ただし、紅茶とコーヒーは除くそうな。また、ここでの未成年者を18歳未満とするか、16歳未満とするか、については検討中らしいです。

規制対象となる飲み物を、我々の身の回りで見てみましょう。ドリップコーヒーや缶コーヒーでおよそ100~130mg、お茶や紅茶のペットボトルで50mg、コーラの500ミリリットルボトルでやはり50mg。こんな感じです。

で、本命のエナジードリンクも、ネットで調べた限りでは80mg(250ミリリットル缶)となってました。ただし、1リットルに換算すると320mgになるので、もろ規制対象になります。コーヒー、紅茶も1リットルに換算したらそれぞれ500mg、300mgということですけどね。おそらく、若い人の間では圧倒的にエナジードリンクの消費量が多いことを理由にしてるんでしょうね。

英国は紅茶の国? でしたよね

この規制、コーヒーと紅茶を除くってところがミソですね。「250ミリリットルのエナジードリンク缶にはコーラ3缶分のカフェインが含まれ、糖分も多い」、「一日に複数回飲む人は睡眠障害や頭痛、倦怠などのリスクが高い」などと英政府は言ってるそうですが、、、。

コーヒー、紅茶でも一緒じゃん。ってことです。伝統ある紅茶業界団体のロビー活動で新興勢力エナジードリンクを駆逐しようという、まぁ、日本でもよく見る光景です。当然、政治家はこれに応えて票稼ぎ。どこの国でも一緒ですな。

しかし、エナジードリンクってあまり縁がないのですが、そんなにたくさん飲めるもんなんですかね。以前、大量に飲んで死亡しちゃった事件も聞いたことはありますが。kuniは基本、かなりヘビーなコーヒー党なので、このニュース(カフェイン摂取量)についてはちょっと気になった次第です。

地銀株PBR、0.4倍割れ その2

9/12 日本経済新聞19面の記事。前回は主にPBRという指標について書きましたが、今回は地銀株がPBR(株価純資産倍率)でみて非常に割安になっている、という事実について見てみましょう。

PBR 0.3倍割れが20行

記事内で紹介されていた、PBRが0.3倍を下回っている地銀が20行。ランキング形式で掲載されてましたが、高知銀行、愛知銀行、大光銀行・・・。第二地銀(昔の相互銀行ですね)がズラッと並んでると思いきや、第一地銀もけっこう入ってます。

地銀(第一地銀)が全64行中12行、第二地銀が40行中8行ランクインしてます。ほぼ同じ割合ですね。これはちょっと意外でした。ちなみにメガバンクを見てみると、三菱UFJ:0.65倍、三井住友:0.61倍、みずほ:0.62倍、となってるようで、、、こちらも酷いもんです。

ついでに、野村証券:0.63倍、大和証券:0.84倍と、証券も良くありません。東証が公表している業種別PBRを見てみると、鉱業、繊維、紙・パルプ、ガラス・土石、鉄鋼、金属製品、海運、倉庫・運輸、卸売り、銀行、証券、その他金融、という12業種が1倍を下回っていました。

日経の記事でも書いていたように、地銀は経営環境やスルガ銀行の不祥事などもあり、投資家から敬遠されているのでしょうが、業種別に見てみると、マーケットは将来性についても冷静に判断しているように見えます。

PBRの高い業種

逆にPBRが高い業種を見てみると、1位は情報・通信、サービス業で両方2.1倍、続いて医薬品、小売業が1.8倍、空運が1.7倍、食料品が1.6倍となっており(このデータは2017年のものです)、その業種の現在の勢い、将来性という意味で納得感のある結果になってますね。

PBRは使える指標か

PBRという伝統的な指標について見てきましたが、PERも含めて指標としての有用性が薄まってきていると言われています。いわゆるプラットフォーマーと呼ばれるような企業などが典型的です。儲けるための仕組み創りに力を入れるあまり、「収益」を敢えて生まない企業や、この儲けるための装置が財務データ上「資産」と認識されない企業が増加してきているためです。

ここまでPBRについて取り留めのない話を書いてきましたが、株式投資をされる方に注意。指標はあくまで指標でしかありません。時にマーケットは指標を覆しにきますので、十分注意してくださいね。

地銀株PBR、0.4倍割れ

9/12 日本経済新聞19面の記事。地銀株がPBR(株価純資産倍率)でみて非常に割安になっている、というお話。この指標、現在株価を一株あたりの純資産で割って計算するもので、PER(株価収益率)と並んで伝統的な株価指標の一つです。

PER(ピーイーアール)とPBR(ピービーアール)の計算方法

PER=株価/一株当たり当期純利益 で計算される

(例)株価1000円で、1株当たり当期純利益が50円の会社であれば「20倍」に買われている、などと言います。

同じように

PBR=株価/1株当たり純資産 で計算される

(例)株価1000円で、1株当たり純資産が500円の会社であれば「2.0倍」に買われている、などと言います。

今回話題になっているのはPBRで、地銀株平均で0.4倍を下回っているというものです。PBRが1.0倍、というケースで考えてみましょう。1.0倍とは、株価つまり1株の値段と一株当たりの純資産が同じということを意味します。会社を解散して残る純資産を計算し、1株当たり純資産を計算すると株価とイコールになるということです。

地銀株の0.4倍の意味をザックリ理解

株価が400円、発行済み株式数が1億株、純資産額が1000億円の地銀があったとします。先ほどのPBRの計算式に当てはめると、1株当たり純資産が1000円になりますから、400÷1000=0.4(倍)。これで地銀のモデルが出来ました。

なぜ、この状態があり得ないほど割安なのかを考えてみます。ある投資家がこの株を400円で1億株全部買い付けたとします。400億円の投資です。完全に経営権を握ることができますので、会社の営業を停止、会社を整理して残った資産を株主(自分)に返還します。すると、株主(自分)に1000億円が返還されるということになります。

400億円の投資で、即1000億円のリターンが得られる投資方法が存在するということであり、株価が多少変どうしたとしても、つまり株価500円でも、600円でもすばらしい投資効果が得られます。この投資の採算がとれなくなるのは、株価が1000円になった場合です。株を買って、会社を精算してチャラですね。

このように、いくら人気がない株であっても、会社の純資産(解散価値)に注目する投資家が現れ、利益を得ようとする(裁定取引といいます)ので、(通常は)株価が1000円より大きく乖離して下がることはないというわけです。

どうでしょう。PBRが1倍を割れることの意味、何となく理解できたでしょうか。長くなったので、続きはまた。