動画配信 コンテンツに第3の革命

12/2の日本経済新聞で「コンテンツに第3の革命」という特集記事がありました。ネットフリックスCEOリード・ヘイスティングス氏へのインタビュー記事で、映画、テレビに次ぐ第3の革命として動画配信を取り上げています。

動画配信 動画というモノ

正直言うと、kuniはネットフリックスで動画を見たことがありません。グーグルのYouTubeくらいしか見たことないんです。記事の中でも紹介されていますが、ネットフリックスが起業した頃のDVDレンタルや、CATVでの映画の鑑賞。自身の経験ではこの辺りまでで、インターネットによる動画配信の恩恵にはまだあずかっていません。

動画と言うとき、みなさんはまず何をイメージするでしょうか。kuniの場合はまず映画やスポーツ番組を想像してしまいます。もともとテレビはほとんど見ないほうなので、これ以上イメージが膨らまないんですね。静止画については、インスタグラムが新しい情報共有の手段になって大人気のようですが、動画では何が起こるんでしょう。いや、もう起きてるのかな。想像力が足りませんね。

革命の起爆剤

記事の中でCEOは「起業当時は動画配信にはネットの速度が不十分だった」と言っています。確かに、ちょっと大きめの画像を開くだけでも、パソコンの前でイライラしながら待たされたのを覚えています。ついこないだのことのように。ところが今では2時間もある映画が平気でオンデマンドで配信されています。

また、同じくCEOは今インドに力を入れているとしたうえで、「インドでは現地の通信会社が200億~300憶ドルを新たな通信網に投資していて、これにより通信費、データコストが大きく下がる」とも言っています。これがインドでのユーザー拡大の起爆剤になるというわけです。

日本の通信費値下げ

こうやって記事を読んでくると、いま日本で、スマホ本体の価格と通信費を切り離すことで、通信費の値下げを進めようとしていることにも納得できますよね。機能的にも、出荷台数的にもそろそろ飽和状態のスマホ本体より、通信費を大きく下げていく方が日本の産業にとって、ひいては日本のためにも恩恵が大きいということだと思います。

IoTと一緒に語られることの多い5G。第5世代の通信技術もその先に控えています。ここでも動画が何か革命的なことを起こしてくれるんでしょうか。一方で、4K放送が始まったテレビですが、いまいち4K対応テレビが売れていないとか。

一度ネットフリックスのHP覗いてみようと思います。

kubota クボタ 検査成績書の不適切行為に関する報告書

今週はクボタが調査結果を公表しました。報道では40年以上にわたって不正が行われていた、という点が強調されています。クボタの検査成績書の改竄については、いくつかの検査工程に分かれていて、そのうち硬度検査においては40年以上前からの不正が確認されたということです。

クボタ 不正の内訳

5つの検査工程で不正が確認されており、それぞれについて不正の始まったと思われる時期が示されています。その内訳は、硬度測定検査(1977年~)、外殻厚さ測定検査(2001年~)、寸法測定検査(2002年~)、成分分析結果(1991年~)、顕微鏡写真の流用(1995年~)となっています。

問題となった製品は、圧延用ロール、圧縮機用シリンダーライナーで、特に圧延用ロールにおいて不正が多く、硬度測定検査については20%の製品で不正が行われていました。最も悲惨なのは同じ圧延用ロールの顕微鏡写真の流用で、99.2%の製品で行われていたようです。

クボタ 発覚の端緒

今回の不正の端緒は、内部通報制度によるものでした。しかしながら、内部からの告発は今回だけではなく、少なくとも2013年2月以降、複数回にわたり硬度測定結果の改竄行為を示唆する指摘があったとされています。不正の全容を早期に解明し、是正を図ることが可能であったにもかかわらず、その機会を逸しています。

内部通報については実績があるものの、それを受ける側の事務局やこれを受けての経営層の品質問題に関する意識の低さが露呈したわけです。皆さんの会社はどうですか?内部通報は年に何回かはあるけど、それを起点に大掛かりな社内対応はしたことがない。よくある話ではないでしょうか。

これも制度としてみた場合、全く機能していないということです。従業員からの指摘内容が自社の重大なリスクにつながり得ることをイメージし、認識することができるかどうか。また、時代や社会情勢の変化に伴い、そのリスクにどこまで向き合い、対処するか。ここ重要ですね。

発生原因の主なもの

発生原因についてもいろいろと書かれていますが、ちょっと気になるものをあげておきます。まず第一に、検査結果の書き換えが可能な検査システムであること。また第二に、組織上、検査等を実施して牽制すべき品質保証部署が、プロフィットセンターである製造部門から独立していないことです。なんと、これは2018年10月まで継続しています。

そして第三に固定化した人事。検査担当や品質保証、技術サービスといった関連するポストの人材について、ほとんど人事ローテーションが行われていません。ほかにも、これは他社の事例とも共通することですが、収益改善を強く求められていた(収益至上主義につながる)ことや、納期厳守といった原因があげられています。

最後に、報告書の指摘の中で次のような記載があります。「顧客が不自由なく製品を使用することができる機能・製品が担保されており、かつ、製品不良に起因する事故や故障等に関するクレームを受けていない」という考え方、よって顧客が求める仕様との相違は問題ないと判断してきた。

この部分については回を改めて考察してみたいと思います。

携帯値下げ攻防 菅 義偉 内閣官房長官

先日から日本経済新聞の連載で「携帯値下げ攻防」というコラムをやってます。菅官房長官が今年8月に札幌で「4割程度下げる余地がある」と発言したところから始まり、官邸と携帯大手との攻防が続いています。その辺りの密着取材的な特集なんですね。

菅 義偉という政治家

菅 義偉(すが よしひで)氏は秋田県湯沢市出身の政治家です。高校卒業後東京に出て、いったん就職したものの、大学を卒業。横浜市会議員を経て神奈川2区から衆議院議員という経歴らしいです。安倍内閣では官房長官として毎日のように記者会見しているだけに、認知度は相当高いと思います。官房長官在籍6年弱は史上最長だそうです。

会見では落ち着いたしゃべり方で、自身を飾らない、お世辞にも話がうまいともいえない、政治家らしくない政治家。というのがkuniの印象でした。ところが今回の携帯値下げに関してはかなり強気の様子で、当初反発していた携帯キャリア大手も今では意気消沈といった感じです。過去の政策を見てもこの方なかなか頑張ってますし、評価すべき政治家だと思います。

ソフトバンク 孫 正義

政府主導の値下げ方針に対しては、まずドコモが2~4割の値下げを表明。その後ソフトバンクも格安ブランドのワイモバイルの値下げを発表しました。孫社長は「官邸の意向をくんだのか」という記者の質問に対して「はい、そうです」と答えています。KDDIが追い詰められた感じですね。

携帯キャリアとして根こそぎ儲ける時代はもう終わり、と孫社長は割り切ってるんでしょうね。おまけに12月には子会社のソフトバンクを公開させて、ソフトバンクグループとしても新しい事業に向けた資金回収ができてしまいます。この人もやっぱり凄い人ですね。

携帯キャリアの世界と金融

このような駆け引きが展開されているわけですが、そこでは楽天の新規参入が大きな原動力となっています。3社で独占してきた業界に楽天が参入することで業界秩序が崩される。その自然な価格破壊の流れに政治がうまく乗っかった。後押しすることで国民にうまくアピールできている。という見方が正解なのかもしれません。

とまぁ、他の業界の動向を見るにつけ、金融の世界は動きが緩慢だなぁ、と思ったりするわけですね。他の業界と違って規制が多いこともあり、既存の金融という枠組みを通してみると緩慢に見えてしまいます。もちろん、各論で見ると様々なスタートアップが仕掛けてきているわけですが。そういう意味でも LINE Financial と みずほ銀行が LINE Bank 設立というニュースは今後に期待したいですね。何が起きるんでしょう。

日立化成 調査報告書に見る内部通報制度

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが行った調査によると、上場企業の9割以上が内部通報制度を設けているにもかかわらず、半数以上の企業で内部通報の平均利用件数が年0~5回にとどまっていた、という統計もあるらしいです。日立御三家と呼ばれるような会社でも不正が長年にわたり行われていたわけですが、やはり同社でも内部通報制度は機能していませんでした。

日立化成の内部通報制度

その全く機能していなかった内部通報制度について、報告書ではインタビューへの回答として次のようなものを載せています。「匿名性の担保に不安があり、通報した場合に不利益を被らないか不安だった」、「内部通報はハラスメント等のためのものだと思っていた」。

報告書のまとめとして、「制度内容についての周知が十分でなかったこともあり、その運用において、現場の従業員から内部通報制度に対する十分な信頼を得ることができず、その結果、各不適切行為が内部通報により経営陣にエスカレーションされることはなく、是正につなげられることもなかった」と書いています。教科書のような指摘ですね。

内部通報制度の運用の改善

こうした実態に対する制度の改善提案の内容はかなり平凡な内容でした。「制度に対する社長のコミットメントを前面に打ち出し、現場の従業員の内部通報制度に対する信頼度を向上させるための施策を継続的に講じるべきである」。

一方で、制度の改善とは別の切り口で、特別調査委員会が実施したアンケート調査を推奨しています。実はこれが新しい試みというか、kuniにとっては斬新でした。全文引用します。

「内部通報を待つだけでなく、当委員会が行ったアンケート調査のように、会社から積極的に問いを発して従業員が答えやすい状況を作ったり、現場の悩みや課題を聞き出したりすることから始め、丁寧に是正につなげていくことで、経営陣の取り組みに対する従業員の信頼度を向上させていくことも一案である」

内部通報制度を周知するなどのプロセスの重要性

ここからはkuniの意見ですが、制度の内容を周知するとか、経営の本気度をアピールすることなど、メッセージを発信し続けること自体にも大きな意味があると思います。みなさんがちょっと不適切な行為をまさにやろうとしている、という状況だったら、こうしたメッセージを見たり聞いたりするとどう感じるでしょう。

自分の周りに自分の不適切な行為を経営にエスカレーションしてしまいそうな人が、どんどん増えていくような感覚にはならないでしょうか。つまり、こういう制度があるんだよというメッセージが繰り返し流されるだけでも、一定の牽制効果、相互監視の緊張感が生まれるということです。そこら中に監視カメラが付いている場所では犯罪が起きにくいのと一緒ですね。

日本取引所CEO処分 内規違反

またまた証券取引所の不始末です。清田瞭(きよた あきら)氏は日本取引所グループの最高経営責任者であり、3年前までは東京証券取引所の社長でもあった人物。で、もともとは大和証券の副社長までやられた人で、現在も大和証券グループ本社の名誉会長なのかな?

日本取引所グループの内規に違反

上場インフラファンドの取引で同社の内規に違反したと発表。なんとこのCEOの取引、投資金額は約1億5000万円。2つのインフラファンドへの投資で、分配金を含め約2000万円の利益を得たが、全額を日本赤十字社に寄付するんだそうな。

このCEO、インサイダー取引に関しては非常に厳しい管理を要求されている証券会社出身であり、現在はこうした上場商品に関する開示情報を一手に握っている、胴元である取引所のトップですよ。普通に考えればウォールの中にいる人物です。こんな取引ありえないでしょ。証券界ではウォールの中の人たちは証券取引全てを禁止されるものです。

「内規ではETFは認められているが、インフラファンドは認められていない」と説明しているみたいですが、これは内規ではなく、法令で定められていることです。平成26年からインサイダー取引規制の対象商品である特定有価証券等になったはず。REITと同じですね。内規だから大したことではない、ということではありません。常に自らを正当化しようとするこのバイアス。気に入りませんね。

やっぱり大和証券が注文受注したの?

インサイダー取引を疑われても仕方がない取引ですが、やっぱりこの取引注文を受注したのは大和証券さんですかね?取引所の役員ともなれば、内部者に準じた取り扱いはしているものと思われますが、大和さんの受注には問題はなかったんですかね。しれーっと別の証券会社に発注していたら、これはこれで面白いんですが。

反対売買して利益をどこかに寄付、社内処分したのでこれでおしまい?監視委員会はこの件どう見てるんでしょう。インサイダー情報がなかったかどうか、受注した証券会社の受注態勢に問題はなかったのか。一応、特別調査課あたりで調べておいた方が良いのでは?

一連の不始末をメモ

今年2月には、上場を許していた欠陥商品VIXインバースで、投資家が大きな被害を受けました。また、10月には東証システム障害で半日から一日、主に大手証券から注文が取り次げなくなりました。そして今回のCEOによるインサイダー取引もどきの発生。やっぱりこの会社おかしくなってきてると思いますよ。