免振検査に第三者機関を

昨日の日経新聞に掲載された「私見卓見」というコラムです。この欄は投稿や寄稿によるものとされていて、今回は東京工業大学名誉教授の和田先生が書かれています。「性善説に基づき技術者を信用し、性能の確認をメーカーの自社検査に委ねてきたことに過ちがあった」とおっしゃってます。

KYB、川金ホールディング&東洋ゴム

免振・制振装置の検査データ改ざんが問題になったことを受け、国の支援のもと、民間からも広く出資を募り、共同利用を前提とした大型実験設備を設けることを提唱されています。検査料や設備使用料を年2億円程度と想定し、これを収入源とすることで、30億円程度かかるとされる設備の運営が可能というご指摘です。

免振・制振装置は地震国家日本にとって非常に重要な社会インフラであり、国が中心になってこうした第三者機関を設立して、公的検査による品質確保を図るという方向性しかないとkuniも思っています。先生のおっしゃる通りです。特にダンパーのように2社で市場シェアが非常に大きい製品は、速やかにこの体制を整える必要があります。

その他の業界へも第三者機関を

第三者機関による検査や実験設備は、その他の業界でも検討できないでしょうか。免振・制振装置のように、自動車一台ずつを検査するというのは現実的ではないでしょうが、抜き取り調査のような、検査実施の運用方法で実現できるのでは?すみません、この辺りは素人の発想ですね。

それぞれの業界のプロが「そうは言っても第三者機関での運用なんて・・・」などと言うのかもしれませんが、もうできない理由を聞く耳は持ってないですよ、国民が。日産自動車、ゴーン氏の件はまぁ置いとくとして、まだ検査不正を続けていたというニュース、これってもう致命的じゃないですかね。多くの人がもうこの会社は要らないと思ったんじゃないでしょうか。

経営者が主導権争いしてる場合じゃありません。日産自動車、そろそろまじめに取り組まないと、後がないですよ。トヨタの高級車か、ホンダのコストパフォーマンスか。両社のハイブリッド車か、EVか。どう考えていっても日産がどうしても必要な理由は見つかりません。そうそう、GTRの生産ラインと技術だけトヨタかホンダに移管してくれたら。

JFEテクノリサーチ 食品異物検査装置

日刊工業新聞で見付けた記事です。JFEテクノリサーチという会社が製造するこの検査装置が、よく売れているという記事です。何となく、なぜだか分かりませんがkuniの目に留まりました。

食品への異物混入

このところの企業の不正・不祥事は、その多くが機械の製造会社で、かつ製品検査に関するものが主流でした。食品会社やファーストフードでは、やはりこの異物混入というのが一番怖い事故であり、レピュテーショナル・リスクと認識されていると思われます。つい先日も、例によってマックでしたが、人の歯が混入していたとかいうニュースがありましたよね。

1ミリ程度の異物も検出

「近赤外3波長カメラ」を実装したこの機械で、製造ライン上を流れる食品の中から異物を検出するらしいのですが、従来のX線検査機や金属探知機、カラー検査機でも識別できなかったレベルの異物に対しても有効なんだそうです。

カメラで撮影した画像を独自のデータ処理技術で解析し、近赤外光を吸収する度合いの違いから、食品に含まれる異物を見つけ出すんだそうで、樹脂片やゴム、紙片などで色が食品に似た異物であっても識別するとか。例として、ひじきに含まれる黒い樹脂片やゴム片なども高い精度で検出できるとされています。

この価格は高いのか安いのか

価格は標準的な仕様で1000万円を超えるんだとか。それでも月に10台程度の引き合いがあると言いますから、立派なものです。ネットで調べてみましたが、JFEの100%子会社で資本金1億円の会社です。食品異物検査装置以外にもいろいろ作っているようで、なかなか面白そうな会社でした。

インクレディブル・ハルク

飲料水工場で働いている際、自分の指を怪我して、血液を飲料水に混入してしまったブルース。混入してしまったジュース瓶は結局出荷されてしまったわけですが、思わずこのストーリー思い出してしまいました。映画インクレディブル・ハルクの1シーンです。もしあの工場に食品異物検査装置があったら、この映画は始まらなかったんですね、きっと。

映画を観てない方にはなんのこっちゃというお話でした。申し訳ありません。けど、途中まではまじめに書いてます。食品関係の方で興味のある方は、是非同社のホームページをご覧になってください。別にkuniはこの会社から何も貰ってませんが。

議決権行使助言会社

少し前になりますが、12/8付け日本経済新聞に「四半期開示 米で意見公募」という記事がありました。四半期開示についてはトランプ大統領からの指示に基づき、半期に変更した場合の影響を調査するというもので、当ブログでも過去に取り上げました。今日のお話は、その同じ席で米国SEC委員長が問題視したという別のお話です。

米SECの2019年重点活動テーマ

米国ではこの時期に来年の活動内容を示すんですね。クレイトン委員長は以下の5つのテーマに重点的に取り組むと発表しています。

1 新しい投資家保護ルールの導入完了
2 議決権行使プロセスの改善
3 個人の投資機会拡大
4 長期投資の促進(これが四半期開示の件)
5 仮想通貨技術(主にICOの件)

こうやってタイトルだけ眺めていると、なんだぁ、アメリカも日本と同じようなことしてるんだなぁ、って感じですよね。中身しっかり見ていかないと何とも言えませんが。

この中の2番が本日のお題です。議決権行使助言会社というのがあるらしく、アクティビスト(物言う株主)の株主提案など、株主総会で賛否が分かれるような議案について、機関投資家に賛成するべきか、反対するべきかをアドバイスする会社だそうです。

こうした助言を行いながら、同じ議決権行使助言会社が事業会社向けにコンサルティングサービスも手掛けているということらしいです。どういうコンサルをするのかまでは説明されていませんでしたが、問題視されるところを見ると、株主対策みたいな領域を含んでいるということだと思われます。

面白いですよね。よくこんなビジネスモデル考えるよなぁ。とkuniは素直に感心してしまいました。自分で火を付けて、大騒ぎして、自分で消火する。で、みんなから喜ばれると。まぁ、そんな単純なお話ではないんでしょうね。いや、皆から喜ばれていないから問題になってるんでした、失礼しました。紙面では、利益相反に該当するとして、助言会社に新たな情報開示ルールを設けることになりそうだ予想してます。

機関投資家なんて自社でアナリストとか抱えてるんだから、自分たちで考えろや、ってことのように思いますけどね。きっと業務を分離して、子会社に片方の業務を移管してみたいなことで終わるんでしょう。

今日は2019年重点テーマのうち、2番を注目してみました。4番の四半期開示については少し取り上げたことあるので、これら以外の重点テーマについても、いずれまた勉強してみたいと思います。

企業の不正や事故を発生させる原因・要因

これまでkuniが実際に身の回りで見てきた不正や事故の要因は何だったか、思い出してみようと思います。あらかじめ断っておきますが、きれいな結論までは導けないと思います。とりあえず、今日のところは洗い出し作業ということでお付き合いいただければと思います。

縦割り組織

これってよく聞きますよね。これに対して横割り組織なんてのは聞いたことないので、おそらく比較的フラットな組織に対してであるとか、横の連携が取れていない組織といった意味で使われていると思われます。そして、その縦の階層が多いということ。階層が多くなればなるほど、レポートラインが間延びしてしまいます。

間延びしたレポートラインの末端には、具体性を欠いた単純な指示しか届かなくなり、「今月〇〇必達」といった、〇〇至上主義みたいな指示が横行します。たとえ経営層では経営戦略がそれなりに練られていたとしてもです。

パワハラ

末端への指示が単純化されればされるほど、管理職が行うマネジメントが劣化し、例えば数字ができたかどうかだけのマネジメントになって行きます。できなかった者に対してのプレッシャーが際立つことで、限りなくパワハラに近いマネジメントに傾斜していきます。当のマネジャーも上から大した指示を受けていないので、部下に対しても納得感のある指導はできません。

マネジャーがハラスメントを行わなかったとしても、部下たちはそういった状況に追い込まれている上司を見ながら忖度し、やってはならないことをやってしまう、なんていうこともあります。指示されて行う不正も、忖度して行う不正も結果にあまり大きな違いはありません。

経営層と現場の乖離

綿密に練った営業戦略のつもりが、現場には数字しか伝わっていない。このようなレポートラインになると、現場で起こったこと、見つかった課題が、管理層を経由して経営層に伝わることはありません。経営層は自分たちの戦略のもとに会社が前進していると思っていますが、現場では予想すらできない問題が持ち上がり、拡大していきます。

ここまでくると、不正・不祥事を発生させる企業としては一人前。起きてしまったことは経営層にとっては寝耳に水。会見では「ありえないことが起きてしまいました」、「決してあってはならないことが起きてしまい・・・」といったコメントになるんですね。

企業の管理部門

こうした不正等を防止し発見するための組織が機能していないことも、不正等の原因の一つになり得ます。ありがちなのは、法務やコンプライアンス部門と監査の連携が良くない組織です。社内監査はよく頑張っても2年に一回くらいの周期でしか、被監査部署を監査できません。一方のコンプラセクションは日々監視ができるはず。お互いの強みを補完して連携できているかどうかは意外に重要です。

コンプラセクションが実効性のあるモニタリングを継続して行います。現場からすると常に監視されていることになります。そうしたモニタリングから見えてきた課題や傾向等を基に、社内監査で深掘りします。逆に監査で見えてきた課題に対してコンプラがルール改定や指導を実施します。

このような管理部門の連携に加え、その他の一般的な従業員までが不正を許さないという目線で監視している。そういう意味で内部通報制度を構築していくべきだと思います。やはり全くまとまりのない話になりました。本日はここまで。

エシカル消費(倫理的消費)とは

消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。と、消費者庁のHPでは説明されています。今、話題になっているというか、ちょくちょく新聞、雑誌等で見かけるようになってきました。

SDGs 目標12

以前紹介したSDGsの中にも出てくるんですよね。目標12は「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」というやつですね。このうち消費に着目したものの一つと考えてよさそうです。個人の視点で整理しなおしたものとも言えるかもしれません。

世界が直面する飢餓や異常気象、人権侵害などの課題を解決していこう。売り手の企業はこう提案しますが、買い手の消費者としても同じ意識をもってエシカル消費を心がけましょう。ということ。消費者庁はリーフレットで「世界の未来を変えるのは、あなたの日々の消費」と呼びかけてます。

例えば、食品なんかの場合、何がエシカルかというと、産地からの輸送が不要な地産地消であるとか、化学肥料を使わない有機食品だとか、そういう選択がエシカル消費なんだと思います。消費者がこういうことを意識して買い物するようになると、販売する企業としても当然ココをウリにしてくるはずです。

また、食品偽装とか、、、

こうやって考えていくと、次に心配になってくるのは販売する側が嘘をついて販売しようとするんじゃないかという点です。このところは工業製品の検査等の不正が相次いだわけですが、それより前、食品の産地偽装やレストラン等で使用する食品の種類を偽装する、なんてことがよくニュースになっていた時期がありました。

以前よく見たのは、食品の価値を上げるために、海外産を国産と偽ってみたり、高級な素材を使っていると偽るような、偽装でした。エシカルという新しい基準で消費者が食品を選ぶとすれば、やはり今度はそういう基準に訴えるような食品偽装が発生するようになるんでしょうか。あまりそういうことは考えたくないんですが。