再生エネ電力 選べる時代  みんな電力 積水ハウス

2/19 日刊工業新聞の記事です。皆さんは再生エネルギーによって発電された電気を選べるとしたら、再生エネ電力を使用しますか?なんて、いきなりの質問でしたが、個人の場合はこの話題にそれほど反応はまだないですよね。今より割安になるなら、、、って感じでしょう。

みんな電力

「みんな電力」という会社がこの記事で紹介されていました。世の中には頭のいい人たちがいるもんですね。どこの発電所で何をエネルギー源(再生エネ)に発電された電力かが分かる。その中から発電所を指定して使用することができるんだそうです。

みんな電力さんのホームページで確認したところ、現在、60か所くらいの発電所が紹介されてました。ここでいう発電所はかなり本格的な水力発電から、10キロワット程度の家庭用に少し毛が生えた程度のものまでいろいろあります。

「顔の見える電力」というのがこの会社のウリで、電力の生産者がわかり、そのストーリーを感じることができる、世界でも類例のない電力小売りサービス。と謳っています。

ESG投資を呼び込む

冒頭の質問に対する答え、上場企業あたりになるとかなり事情が変わってきます。そうなんです。ESGに対する取り組みが自社への評価につながってしまう上場企業等は、この再生エネ電力使用するはずです。おまけに、再生エネ電力を使用したことの証明までしてくれるとなると、まさに渡りに船ですよね。

みんな電力さんの取締役の話も交えながら、「お金を払った先が再生エネ由来の電気と言えることが重要」であり、「被災地の風力発電所から電気を買った」というストーリーを外部に伝えることができ、社会的な評価も高まると伝えています。これ以上説明は不要でしょう。

そんなことで、既に丸井グループやTBSホールディングスなどが同社の顧客だそうです。現在の株主にも、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、横浜キャピタルといったメガバンク等が並んでいます。資本金6億3,420万円ということですから、そろそろ上場準備に入っているものと思います。楽しみな会社です。

積水ハウスオーナー電気

同じ記事の中で、こちらは外販はしていないようですが、積水ハウスの話題もありました。同社の建築した住宅の太陽光発電。FITによる売電が終了する家庭から同社が電力を買い取るサービス名とのこと。いわゆるFIT終了の19年問題というヤツの解決事例ですね。

同社製の住宅に搭載済みの太陽光パネルは、年7億キロワット時を発電するとのこと。このうち2~3割を買い取れば、同社が使用する全事業の電力が再生エネ化できるんだそうです。今のところ積水ハウスには、事業として取り組む意向はなさそうですが、大手住宅メーカーって再生エネ電力小売り事業の核になって行くかもしれませんね。

スルガ銀行 預金流出 預金支援 りそなHD

1/14 金融庁銀行第2課が地銀に対してスルガ銀行への預金支援を依頼していたことが報道されました。2018年度上期で預金が6,800憶円(全預金の16%に相当)流出してしまったとのこと。いろいろと疑問の残るこの預金支援ですが、その後のスルガ銀行についてみてみましょう。

2/2 ゆうちょ銀行で住宅ローン媒介32件不正

スルガ銀行との提携による住宅ローンの媒介業務に関する社内調査で、32件の偽装や不正の疑いが見付かったという発表。審査業務は全てスルガ銀行が担当。ゆうちょ銀行側の不正関与はなかった。

2/14 無担保ローンの不正の有無調査

スルガ銀行は個人向けの無担保ローンについて不正の有無に関する調査に乗り出したことを明らかにしたという報道。無担保ローンの融資の過程で、審査書類に改ざんなどがあったと疑われているため。と、報道されているのはこの程度ですが、これがデート商法に関与する内容だということらしいです。

共同通信の伝えたニュースでは「スルガ銀行の行員がデート商法詐欺まがいの行為に関与し、個人向けローンを融資していた疑いがある」となっていました。婚活サイトを利用した不動産業者とつるんでいたという内容らしく、この件について弁護士と被害者がスルガ銀行を訪ねるといった内容がテレビでも放映されたとか。いやいや、なんぼでも出てきますわ、この銀行の悪事。

しかし、考えてみれば至極当然の話かもしれません。何が何でも収益を上げさせるパワハラ下での営業。当時ドル箱だったアパートローンと個人向けローンで何とかしようと考えるでしょう。そんな銀行員の取り巻きは、何にでも食いついてくるスルガ銀行の行員に対していろいろと怪しいお話を持ち込んだはずです。

そしてこの後は

金融庁が他行に依頼して集めたとされる預金支援。聞くところによると2,000憶円以上突っ込まれているとか。この後どうするつもりなんでしょう。どこかの銀行の傘下に入れて再建するため、既に相手を見付けているんでしょうか。

2/4付の金融財政事情では「りそなHDが台風の目」と伝えていました。国内リテールビジネスの強化を図りたいりそなの思惑と、創業家支配から完全に離脱したいスルガの思惑。となるとそれなりの体力と資本が必要であり、地銀ではなくりそなHDが有力という見立てのようでした。

それとも、一時的な取り付け騒ぎを回避するのが目的であり、落ち着いたところを見計らって自主廃業させるのか。いずれにしても、預金支援だけで終われるもんではないと思われます。支援した預金に何かが起きてしまったりすると、支援した銀行が大変なことになります。株主は黙っていません。いや、何も起こらなくても問題になる可能性すらありますよね。

かといって、支援した預金を引き出すこともできないでしょうし、そのアクション自体がスルガの息の根を止めることにもなりかねません。さぁ、この後金融庁どうするんでしょう。スルガ銀行は3月末までに臨時株主総会を開催する予定だとか。そろそろ結論が出てきそうな感じですね。

ガバナンス 最も優先して対応すべきリスク

デロイトトーマツさんのホームページで、「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査(2018年版)」という調査結果資料が公表されています。2018年10月~11月にかけて、日本の上場企業約3,500社に郵送でアンケートを実施し、430社から有効な回答を得た結果だそうです。

最優先リスクは自然災害のリスク

日本国内で優先して着手が必要と考えられているリスクは「地震・風水害等、災害の発生」で、41.9%(前年は35.9%)となっています。昨年は大阪北部地震に西日本豪雨、北海道地震など、数々の自然災害がありましたからね。

特に、大阪では台風の影響で関空が機能停止し、北海道ではブラックアウト、社会インフラがマヒすることで企業活動が甚大な被害を受けることを体験しました。あんなことが自社の周辺で発生したら、、、と身構える企業の感覚よく分かります。

2位以下については以下の通りです。自然災害同様、最近の世相をよく表しています。
① 地震・風水害等、災害の発生(41.9%←35.9%)
② 人材流出、人材獲得の困難による人材不足(28.3%←23.6%)
③ 法令順守違反(24.6%←29.3%)
④ 製品/サービスの品質チェック体制の不備(20.5%←18.7%)
⑤ 情報漏えい(19.1%←21.6%)

2位の「人材不足」についても、前年の23.6%から28.3%へと上昇しています。4位の「品質チェック体制の不備」、ここでは全産業を対象としているためあまり目立ちませんが、製造業だけで見るとやはり大きく上昇していました。

クライシス経験企業が答えた成功要因

このアンケートでは、クライシスを経験した企業に、対処が上手くいった要因を聞いていますが、一番多い回答は「トップのリーダーシップ、トップダウンでの迅速な意思決定がなされたから」となっています。これもなるほど、って感じです。

危機管理を担当する部署でどれだけBCPとか作っていても、いざと言うときに重要なのはトップの判断ですよね。トップがどこまで腹をくくれるか、これ一番重要です。どの程度までの損失を覚悟するかで復旧対策のターゲットは決まります。トップが決められないとどうにも動けませんし、損失をとにかく出したくない、なんて発想しかできないトップは結果的に対処ステージを長引かせてしまいます。

一方で、クライシスを経験したことのない企業に、「対処を成功させるための要因は何か」との問いもあるんですが、トップのリーダーシップは3位にとどまっています。意外にトップには期待してないみたいですね。このアンケート、海外子会社に関する質問等もありますので、気になる方はデロイトトーマツさんのHPへ。念のため、kuniはデロイトトーマツさんとは関係ありません。

インフラ輸出、風力で挽回へ 政府戦略見直し、貿易保険で優遇

2/15 日本経済新聞の夕刊にこんな記事が出ていました。記事では、「政府は風力発電などの再生エネルギー分野をインフラ輸出の重点分野とする方針だ。優遇する貿易保険を新設し、金融機関が風力発電などの輸出計画に融資しやすい環境を整える。」と伝えています。

経協インフラ戦略会議

経協インフラ戦略会議において、従来の原子力発電に代わって、洋上風力発電をはじめとした再生エネルギーなどについて、「経営参画も含めた取り組みを積極化する」と明記するようです。

経協インフラ戦略会議とは、安倍晋三政権の成長戦略を支えるために設置された組織の一つで、海外との経済協力やインフラ輸出、資源獲得の3分野を統合的に議論する会議体です。会議は官房長官が議長を務め、副総理兼財務相、総務相、外務相、経済産業相、国土交通相、経済再生担当相のほか、必要に応じて関係者が出席するとされています。

2013年3月に初会合が開かれ、安倍首相は、「企業の海外展開を支援し、最先端のインフラシステム輸出を後押しすることは、3本の矢の一つである成長戦略の重要な柱」と強調。経済協力、インフラ輸出を考えるうえで、
① アジアを中心とする新興国の成長を取り込み、日本経済の活性化につなげること
② 日本の優れた技術を世界に提供し、人々の暮らしを豊かにすること
③ 政府として、海外の現場で働く邦人の安全を最優先に確保すること
の3点が重要であるとの考えを示しています。

政府が動き出した

東芝や三菱重工が原子力から撤退し、つい先日は日立の英国での原発計画が凍結されたことを受けての判断のようですが、正解だと思います。当ブログでも再生エネルギーの重要性については何度か取り上げてきました。ただ、今回の判断はインフラ輸出としての国の支援ということ。国内での再生エネルギーの推進策ではありません。

とはいうものの、国内で実績のない技術が海外で通用するわけもなく、当然国内での実績は積み上がっていくと思われます。太陽光発電は電力の買取単価の魅力で一気にブレイクしましたが、洋上風力発電や地熱発電といった大きな投資を要する設備が拡大するためには、買取単価だけでは難しそうです。政府の後押し、次の施策に期待しましょう。

もう一つのインフラ 日本の高速固定通信

2/16 朝刊トップでは、「日本の光通信速度、先進国23位に転落」という記事がありました。日本の光回線など、高速固定通信の速度が低下しているということ。回線がそのままで、足もと一気に通信量が増えているわけですから、そうなりますよね。これも心配です。言うまでもなく、次の最重要インフラとなる5Gについても、遅い回線の影響を受けてしまいます。これに対しても国の支援など、適切な関与を期待したいところです。

ご当地発電 地熱発電 洋上風力発電

先月末の日本経済新聞に「地熱発電、22年ぶり稼働 岩手・松尾八幡平 官民でノウハウ」という記事がありました。そして2/14には「洋上風力発電、日本で始動」という記事が出ています。洋上風力発電については以前当ブログでも取り上げました。

再生可能エネルギーへの取り組みが拡大してきたようです。原子力を失った日本だからこその選択肢であり、高度な技術を必要とする選択であるからこそ、日本が本気で取り組むべき課題。kuniはそう考えています。

地熱発電

国内における中規模以上の地熱発電としては、22年ぶりの稼働だそうです。1990年代までは建設が相次いでいたらしいのですが、国の予算が原子力発電に振り向けられたことで、その後は開発が進まず、技術の伝承もままならない状況らしいです。地熱発電に関しては、ほぼ仕切り直しという感じですね。

それでもこの地熱発電、日本の地熱資源量は米国とインドネシアに次ぐ世界第3位だそうです。現状では資源量の2%程度しか利用されていないとのこと。フルに活用できるようになれば、今の50倍の電力を供給できるようになるということです。

今現在の地熱発電が供給する電力は55万キロワット程度。これに対して政府は30年までに150万キロワットの供給を目指しているそうですから、3倍に引き上げることになります。ただ、日本が保有する資源量をフルに活用できれば、55万キロワットの50倍、つまり2,750万キロワットが供給できる計算になるわけです。

となると、日本の電力供給量の20%近くをカバーすることができるということになりますね。素晴らしいです。まぁ、机上の空論というヤツですが、日本はとにかく資源に苦労してきた国家です。資源を巡って戦争まで仕掛けてきました。世界第3位の資源、活かさない手はありません。

洋上風力発電

こちらの記事では、「オリックスが千葉県銚子市沖で17万世帯分の消費電力に相当する20万キロワットの発電設備を建設する方向で調査を始めた」と伝えています。また、海外で実績のあるエーオン社(ドイツ)や、世界最大手のアーステッド(デンマーク)が日本の電力会社と組んで参入しようとしていることも。他に、国内組では丸紅や三菱重工も参入しそうですね。面白くなってきました。

こんなふうに見ていくと、千葉県や秋田県では洋上風力発電、大分や岩手では地熱発電みたいな感じでご当地発電みたいなことになるかもしれませんね。こうした発電資源を持っている地域に人が移住していくなんてのもありかもしれません。地方にしてみれば過疎化対策にもなるんじゃないかと。

おまけ 不動産投資にESG

同じ日の日経にこんな記事もありました。国土交通省が不動産投資にもESGの考え方を取り込むように促すというもの。こんなふうにESGの波がいたるところへ押し寄せてきています。石炭火力による発電に対する風当たりはますます強くなっていくでしょう。再生エネルギーを利用した発電設備の拡充、待ったなしです。