資産運用 株式市場はいま

8月18日に「日本株式市場を取り巻く環境の変化」という記事を書きました。米国と中国の対立の構図は、意外に日本市場にとってメリットがあるのではないか。老後2000万円問題で、日本に資産運用元年が来た。そんな話を書いたんですね。

そして翌日にも「日本株式市場を取り巻く環境の変化(その2)」の中で、「米国や中国発で日本市場が急落する場面。コツコツ買っていきましょう。個別の銘柄が分からなければ、日経225投信やTOPIX、JP400といったインデックス投信でいいと思いますよ。」なんてことも書いてます。

日経平均株価 7月高値を更新

上記の記事を書いたとき、日経平均株価は20,500円程度でした。その後何度か2万円割れしそうな場面はありましたが、無事反発に転じ、9/13、先週末の終値は2万1988円。約1500円の値上がりとなっています。7月の戻り高値は更新してきました。

こうなってくるとメディアも一気に強気になってきます。
9/5「海外短期筋の買戻しによる上げ。一巡すれば一服するだろう」くらいの解説でしたが、9/11「300兆円を超える機関投資家の待機資金が控えており、日本株の上昇は意外に続きそうだ。」といった具合です。

日本市場の需給が中長期的に変化していくのとは別に、円安、強硬派のボルトン補佐官の解任、米中関係の一服、イランとの交渉開始といった、足元の材料や思惑で上げ幅を拡大したのも事実ですね。ただ、やはりここで重要なのは、日本株式市場の環境変化です。

押し目は買い

「押し目買い」という言葉があります。株価が中長期的に上昇していく際も、一時的に下落することはあります。この一時的な下げのことを「押し目」と言うんですね。そこで買いを入れることを「押し目買い」とか、「押し目を拾う」などと言います。今の日本株、まさにこの押し目買いで正解だと思います。

かんぽ生命 日本郵便 金融庁立ち入り検査

9/11付の日本経済新聞は「かんぽ『過剰ノルマ』焦点 不正問題 金融庁きょうから検査 経営体制の大幅見直しも」と報じました。日経は「過剰ノルマ」が焦点だと書いてますが、そうでしょうかね。ほとんどの金融機関がノルマ廃止に舵を切っているのに、いまさらでしょう。

検査の焦点は経営

kuniとしては検査の焦点は経営陣だと思っています。営業現場の実態を経営はどれほど知っていたのか。そこで行われていた営業の実態と、その違法性に関しての認識はどうだったのか。さらに、認識があったのなら、認識した時期はいつか。

特に日本郵政がかんぽ生命株式を売り出した4月当時にどういう認識だったのかについては重要になるわけですが、、、落としどころは「認識したのは4月以降」ということになるでしょう。そうなれば逆に、経営陣は不正が発覚するまで認識できていなかったということになります。

4月の売出しに関してはお咎めなし。発覚に至るまで不正の状況を把握できず、放置して法令違反や顧客本位とは到底言うことのできない業務運営を繰り返してきたことについて、経営陣の責任を問う。こんなシナリオですかね。ところで、日本郵便には通話録音システムとかあるんですかね?これがないと金融庁の検査官も裏取りとか大変だろうね。

日本郵政株式 第3次売却

今年の冬以降となる公算が大きくなったとされている第3次売却。政府が復興財源と見込む売却額を手にするためには、1132円の株価が必要だそうです。938円まで下げた株価は、9/11に久し振りに1000円を回復、昨日は1024円。

日本郵政並みにだらだらと下げ続け、640円ほどの株価を付けていた株が、今週、社長解任のニュースで一気に上昇に転じました。9/11には720円辺りまで。わずか一週間ほどで12.5%の値上がりです。もうお気づきだと思いますが、日産自動車です。

日本郵政もそう。金融庁検査でバッサリやられ、経営陣の交代を発表。これがベストシナリオですね。その時もし1000円近辺で株価が推移していて、12.5%急騰すると、株価は1125円。政府の希望価格にほぼ手が届きそうです。

SBI 島根銀行に出資 地銀連合構想

9/7の日本経済新聞の記事です。SBIホールディングス(HD)と島根銀行は、資本・業務提携すると発表しました。SBIが島根銀に25億円を出資します。SBIは全国の地方銀行と資本提携する「連合構想」を掲げていて、あらたな提携先が島根銀行ということ。地銀再編の呼び水となる可能性があります。

いきなり熱くなってきた島根県 西日本

先日、野村證券と山陰合同銀行の仲介業務について書きました。ごうぎん証券と銀行本体の証券口座を野村証券に移管し、口座管理は野村に任せてコストを抑制、山陰合銀は金融商品の販売に集中する。というもので、仲介の新しいスタイルです。その記事で島根銀行はどうするのか、、、と書きましたが、さっそく動き出しました。

苦しい現状に対する打開策が見つからない地銀に対して、証券会社が提携等を持ち掛け、陣営づくりを競い合い始めました。島根県には地銀は2行だけですので、野村證券-山陰合同銀行ペアと、SBI-島根銀行ペアのガチンコですね。これは面白そうです。

東海東京の動きも

野村、SBIのほかにも、以前から地銀との提携に力を入れてきた東海東京証券の動きも気になるところです。2007年に山口フィナンシャルグループと共同出資でワイエム証券を設立しています。山口フィナンシャルグループ傘下には、山口銀行やもみじ銀行があります。いずれも島根県に隣接する山口県、広島県の地銀ですね。さらに、福岡県の西日本シティ銀行とも西日本シティTT証券を設立してます。

本州の西端、島根、広島、山口と、関門海峡を挟んで九州は福岡。証券3社による地銀との提携、新たな収益モデルを築けるかどうか、どのビジネスモデルが成功するのか、、、今後も注目していきましょう。

SAR(ストック・アプリシエーション・ライト) 日産自動車 西川社長(その2)

前回は株主総会に諮られた日産のSARの概要について、全文を引用しました。概要を株主総会で承認してもらい、その詳細については取締役会に一任するという形です。そのため、取締役会の議事録でも手に入れない限り、条件等の詳細は分かりません。

文藝春秋7月号

グレッグ・ケリー前代表取締役の証言を、文藝春秋が伝えました。西川社長がケリー氏に対して、自身のSARについて問い合わせたうえで、秘書室に行使日の変更をさせたという証言です。また、そうして4700万円が上乗せされ、支給された約1億5000万円で渋谷にマンションを購入したのでは?といった推測も。この記事がきっかけになって社内調査が始まったみたいです。

一方で西川社長は、「SARについてはグレッグ・ケリー氏ら事務局に一任しており、適切に行われていると認識していた。事務局の運用の仕方に問題があった。」と言ってます。ケリー氏の証言(文藝春秋の記事)とは食い違っているわけです。

日産の社内調査報告

日産の社内調査報告が9日、開示されました。今後の司法手続きへの影響を考慮し、概要だけを公表しています。その中で西川社長のSAR行使に関する記述が、少々理解不能なことに。

西川社長が役員報酬の増額の検討を申し入れたが、ケリー氏はこれに応じなかった。ところが、SARの権利行使日を一週間ずらすことで、SAR行使による報酬を約4700万円不正に増額して支給したという表現になっています。是非皆さんもニュースリリースをご覧になってください。

ケリー氏の証言と社内調査報告のビミョーな食い違い。役員報酬の増額を相談したのは事実だが、それは断られた。役員報酬の増額に代えて、SARの権利行使で報酬を増額したのはケリー氏が勝手にやったこと。という理解で良いんですかね。え~っ‼ なんじゃそりゃ?

SAR(ストック・アプリシエーション・ライト) 日産自動車 西川社長

日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)を含む複数の役員経験者が、報酬をかさ上げして受け取っていた疑いが持たれています。問題になっっているのは「ストック・アプリシエーション・ライト」(SAR)という株価連動型の報酬です。

今回の悪事(もういい加減にせ~よ)

役員がいったん自社株を取得したとみなし、事前に定めた期日に株価が上がっていれば、その差額を金銭で受け取る仕組み。この期日を株価がさらに上がった日まで後ろにずらすことで、西川氏は数千万円を上乗せして報酬を得たといいます。

平成27年 第116回 株主総会招集通知 第4号議案

4年前の日産の株主総会招集通知、第4号議案に「取締役に対し株価連動型インセンティブ受領権を付与する件」というのがあります。今問題になっているSARを株主総会で承認した場面ですね。以下全文引用します。日産が採用したSARがどんなものか、理解できると思います。

<株価連動型インセンティブ受領権の要領>
(1)権利の内容
権利行使日の前普通取引日における当社普通株式 1 株当たりの市場終値が下記行使価額 を上回っている場合に、その差額を受領する権利
(2)年間付与総数
適用期間内の各事業年度(4 月 1 日から翌年 3 月 31 日まで)について、6 万個(当社普 通株式 6 百万株相当数)を上限とする。  
(3)行使価額
当初の行使価額は、取締役会が定める条件に従って適用期間内における各事業年度(4 月 1 日から翌年 3 月 31 日まで)毎に決定される日の、㈱東京証券取引所における当社普通 株式 1 株の普通取引の終値(当日に終値がない場合は、それに先立つ直近の取引日の終値) とする。
(4)権利行使可能期間
各権利付与日から 10 年を経過する日までの範囲内で、取締役会が定めるものとする。
(5)行使条件
権利付与対象者の権利行使の条件は、取締役会が定めるものとする。
(※) 取締役が株価連動型インセンティブ受領権を実際に行使できる数は、被付与者に 付与された権利の数を上限として、被付与者毎に設定される業績目標の達成度等 の条件に応じて変動します。
(6)適用期間及び権利付与日
適用期間は、平成 30 年度末までとし、権利付与日は、取締役会が定める条件に従って適用期間内における各事業年度(4 月 1 日から翌年 3 月 31 日まで)毎に決定される日とする。