日本人の読解力低下 日本語が読めない人3割

少し前の日経ビジネスの記事が伝えていた話です。「今の中高生の1/3は、日本語の簡単な文章が理解できない」という話。正直なところ「マジか」って感じです。簡単な読解テストを2問載せていましたが、そのうちの一つを以下に掲載しましょう。

問1 次の文を読みなさい

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

この文脈において、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

Alexandraの愛称は(   )である。

1.Alex  2.Alexander  3.男性  4.女性

正解は 1.Alex

そもそも質問を読みながら皆さんはきっとどこかに引っ掛けがあるんじゃないか、、、なんて警戒しませんでしたか。引っ掛けも何もありません。誰が読んでも答えは1.Alex になるはず。が、しかし、中学生の62%が、高校生の35%が不正解なんですと。ちなみに4.女性と回答して間違えた人が多かったとか。

日本語の文章の「係り受け」を問う問題だそうですが、文法の話はともかく、この程度の読解力がないというのは大問題です。日経ビジネスではこうした事実を例にあげて、日本の人材力低下に警鐘を鳴らしていました。

素人なりの考察

例文の中に「女性の名Alexandraの愛称である」という記述があります。ここだけに目をやると、「女性」と回答した人の感覚も分からないでもないような気もします。文章全体での主語述語、修飾語との関係を理解できてないのか、理解しようとしないのか。SNSなんかでも、とにかく短文ですべてを伝えようとする習慣の弊害でしょうか。

スルガ銀行 貸出債権放棄へ 見切り千両

スルガ銀行が、シェアハウス所有者向けの貸出債権を事実上、放棄する方向を打ち出してきました。土地・建物の返却を条件に借金を帳消しにするという異例の対応です。この約1か月間で、シェアハウスの問題と創業家の問題、一気に解決したことになります。

見事な決断

創業家がファミリー企業経由で保有している同行の全株式を、ノジマが取得すると発表したのが10/26でした。そして11/20にはシェアハウス問題にメスを入れ、一連の不祥事に伴う「負の遺産」の処理にメドをつけることになります。これはなかなかできない決断だと思いますね。特に銀行にはできない判断のように思います。

わずか1か月間で見切りをつけたこの判断。相場の世界では「見切り千両」などと言いますが、お見事だと思います。今年6月、外部から副社長に就任した嵯峨行介氏(元はリクルートコスモスでしたか)の手腕によるものでしょうか。創業家排除に協力した、野島廣司社長の力もあったかもしれません。

損得勘定

借り手の借金を帳消しにして、シェアハウスという資産を抱えることになりますが、これがかなり傷んでしまった資産なわけです。そのため、速やかにシェアハウス向けの債権を第三者に売却するための入札手続きを始めたと伝えられています。

19年3月期に多額の貸倒引当金を計上していますので、おそらくこれ以上の損失が追加されることはないんでしょう。現時点での評価損を引きずることなく、すべて処理してしまうわけですね。

投資や事業に失敗した場面、当事者たちはついつい判断を先送りしてしまいます。そのことが命取りになる事例を何度も見てきました。今回のスルガ銀行の決断、棄損したブランドや信用をここで一回リセットできるという意味で、同行の将来にとって非常に大きなメリットがあると思われます。

SBI砲炸裂 福島銀行 地銀が動き出した

11/11 この週の株式市場が開く直前に「SBIと福島銀行が資本・業務提携」というニュースが。前週末の終値243円の福島銀行株はこの日310円まで買われました。翌日も値を飛ばし、3日目には470円まで付けています。凄いですね、SBI砲の威力。

地銀の地殻変動が

9月上旬には、SBIと島根銀行が、資本・業務提携するというニュースがあり、当ブログでも取り上げました。SBIは全国の地方銀行と資本提携する「連合構想」を掲げていて、地銀再編の呼び水となる可能性がありそう。なんてことも書いておきました。

第二弾に選ばれたのが福島銀行。島根銀行同様、金融庁が最も気にしている地銀の一つですし、当局的にも好感度抜群ですね、SBIの施策。株式市場で銀行株を空売りしてる投資家にとっては、恐怖のSBI砲です。おちおち売ってられません。当然、多くの地銀株で買戻しが進みました。

前にも書いたように、東海東京証券や野村證券も地銀との提携等を進めています。地銀の地殻変動を主導するのが証券会社とはねぇ。数年前までは想像もできませんでした。

次のターゲットは

収益力(ROA)の低い地銀で、現在金融商品仲介でSBIに委託を行っている地銀。という流れで調べてみると、福井銀行、高知銀行、長野銀行、青森銀行、宮崎太陽銀行、、、なんかが出てきますね。これらの地銀、いずれも証券子会社を持っていません。

証券各社による地銀の奪い合いが熾烈化する一方で、地銀自身の新たな動きも出てきたようです。東日本銀行が横浜銀行から頭取を受け入れ。南都銀行が郵便局との共同窓口設置。山形銀行が銀行初の全額出資で地域商社設立。。。なんていうニュースも、ほぼ同じタイミングで伝えられています。

日立化成 2次入札も終了

親会社日立の、「ルマーダ」との相乗効果が見込めないという判断から、売却の方向で進んできた日立化成の入札。先週11/15をもって2次入札も締め切られました。米投資ファンドのベインキャピタル、カーライル・グループと日東電工、昭和電工の4陣営が入札に進んだといわれています。

8000億円~9000億円

日経ビジネスがこの話題を取り上げていました。一次入札では、投資ファンドや韓国企業が、かなり高い価格で応札したとか。『8000億円~9000億円超(日立化成の時価総額は足元で約7000億円)とかなりの高値で応札したようだ』と書かれてました。

今回入札されるのは、日立が保有する日立化成株式ですよね。日立化成の発行済み株式は2億836万株ですが、日立はその51.2%を保有。1億670万株です。この1億670万株に8000億円も投入するんでしょうか。一株当たり8000円ですよ。これはいくら何でも高すぎますよね。

先ほどの引用部分に、カッコ書きで日立化成の時価総額が比べられているので、発行済み株式すべてを取得することを前提に8000億円と言ってるんでしょうか。まぁ、こちらのシナリオの方がまだ現実味ありますね。一株4000円ほどになります。

ところが日経ビジネスでは、「株価には買収によるプレミアムが上乗せされる。そのプレミアムは通常2~4割のところ、日立化成では2倍前後まで膨らんでいる」と書いてます。となると、やはり前者の考え方なんですかね。いやいや、春先の株価から現在は2倍になっている、、、とも読めなくはないですが。

結論がなくてすみません

筆頭株主の株式売却。おそらくM&Aにおける買収と同じような手続きで進んでいるものと思われますが、kuniにはM&A実務の経験がないもので、、、日経ビジネスの記事、感覚的によく分かりません。最後の方でディスカウントTOBもあり、、、なんてことも書いてるので、おそらく全株式取得で8000億円程度という意味だと思うんですが。

円安=株高 ではない

日本経済新聞の特集記事「チャートは語る」で、「為替と日本経済『通貨安=株高』は例外」が連載されました。今では定着してきた感のある、円安=株高という通説に対して、データをもとに異議を唱える内容です。日経もやっとこういうことを書くようになったかと、、、良い記事ですね。

円高=株高 の時代もあった

シリーズ第2話では、岡三証券のアナリストの話を引用する形で、日本も80年代までは円高=株高の時代があったと伝えていました。その後自動車をはじめとする輸出型産業が日本経済をけん引するようになると、円安=株高が定着してきます。

ところが、円高で収支悪化という経験を積むうち、為替の影響を受けないように現地での生産比率を上げていくようになります。そうして現地での生産比率がかなり高くなってきた最近は、円安=株高とは言えなくなってきている。ざっくり俯瞰するとそういうことなんですね。

実態をデータに基づき説明してくれるところは、メディアの素晴らしいところです。しかし、一市場参加者の相場観的に言わせてもらうと、そんなことはもう当たり前って感じなんですね。感覚的に円安=株高の時代はもう終わったな、、、っていうのは既にありました。ただし、市場がまだそう反応するなら、当分はうまく付き合ってやるしかないな。そんな感じです。

日経のこの記事でどれだけ変化が起こせるか

市場参加者の間ではおそらくもっとも読まれている新聞ですから、それなりの影響力はあると思われます。とはいえ、円安=株高ではない、、、が定着するにはそれなりに時間がかかるでしょう。ちょうど同じタイミングで自動車産業の10万人リストラのニュースも出ていました。

花形だった自動車産業が衰退していく。これからの日本経済をけん引する主役が交代していくのにあわせて、円安=株高の常識も色褪せていくのかもしれません。