公正取引委員会でもチョンボ

公正取引委員会が現在実施している、事業者に対するウェブアンケートにおいて、一部の事業者が回答した内容が他の事業者に閲覧可能な状態になっていた場合があることが判明したとのこと。先日の証券取引等監視委員会に次ぐ行政のチョンボですな。

ウェブアンケート

どういう事業者に対し、何を尋ねるアンケートだったんでしょう。そのあたりは言及していないのですが、専用の回答ページにおいて、7/20、11時45分頃から同日13時頃までの間、対象事業者がログインして回答の入力を行おうとすると、当該入力画面に他社が既に入力した内容が表示される場合があったそうです。

公取委のチョンボというよりは、ウェブアンケートのページ等を作りこんだ委託先事業者のチョンボといった方が良さそうですね。例えば、6/30付のお知らせでは「スタートアップの取引慣行に関する実態調査」の一環として、スタートアップを対象としたアンケート調査を実施、、、なんてのがあります。

この手のアンケート調査であれば、他の事業者の目に触れたとしても致命的な機密情報ではないかもしれませんが、事業者の回答に独占禁止法や下請法に抵触しかねない、通報的な情報などが含まれていたりすると厄介ですね。

意外に低姿勢

今回のこのお知らせの中では、「関係者の皆様に多大な御迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。」とか、「公正取引委員会は、売上高等の回答内容を他の対象事業者に閲覧された可能性のある対象事業者に対しては、個別にお詫びと説明をいたします。」

などと非常に低姿勢で謝罪しています。先日取り上げた証券取引等監視委員会の課徴金計算ミスに関するお知らせとは大違いです。「〇〇であるところ、誤って、××としたものである。」だけでお詫び等は一切なしですもんね。監視委員会のこの上から目線はどうもいただけません。

みずほ総研 顧客情報最大250万件紛失

みずほフィナンシャルグループは7/21、子会社のみずほ総合研究所が保有する顧客情報を最大で250万件紛失したと発表しました。情報を保管していた記憶媒体を誤って廃棄した可能性が高く、現時点では第三者に情報が流出した疑いはないといいます。デカいねこれ。

Linear Tape-Open

みずほ総研の公表した情報によると、紛失したのは Linear Tape-Open(リニア テープ オープン、略称:LTO)とのこと。LTOは主にバックアップやアーカイブ用途としてコンピューターシステムで利用されていて、2017年に発売された最新世代のLTO-8は12TBの容量があるそうです。

カートリッジの大きさは10センチ×10センチ、厚さ2センチって感じです。これが何本紛失したんでしょうかね。そのあたりの情報は開示されていません。以前、廃棄するはずのハードディスクがオークション等で販売されていた事件がありました。廃棄の仕方も話題になりましたね。

LTOもハードディスク同様、廃棄する際は同社管理責任者が立会いのもと、廃棄業者による強磁界による磁気データ破壊や、擬似データの書き込みを行うデータ上書きなどの作業を行うはず。誤って廃棄など普通はありえません。

個人情報漏洩に関する規制強化

個人情報が漏洩した場合の企業の対応について、規制強化が求められることになったばかり。改正法の施行はまだですが、少々開示情報が不足してる感じがしますね。

7/16、株式会社城南進学研究社が、34,263件の個人情報が流出した可能性がある旨公表していました。同社のホームページへの不正アクセスによるものですが、個人情報保護委員会への報告や警察、所管官庁への報告など、時系列での対応状況まで非常に丁寧な情報開示がされていました。

みずほ総研は基本的にみずほ銀行との連携で法人や個人の情報を扱っていると思われます。情報漏洩(紛失)に対する情報開示、この時代、もう少ししっかりした対応が必要なのでは?

リソー教育 配当金出し過ぎちゃった 財源規制違反

7/15、7/20、「分配可能額を超えた剰余金の配当」に関する開示が行われています。社内調査委員会と外部調査委員会の設置まで。適時開示はしてるんですが、同社ホームページではこのことが確認できません。こういう会社は信用できません。

元特設注意市場銘柄

この会社、2013年に粉飾決算で特設注意市場銘柄に指定されてますね。現取締役会長の売上至上主義の下、営業部門が競って不正な売り上げを計上していたとか。この時も第三者委員会が設置されていて、この会長の関与が焦点になっていたようです。

2014年、東証は有価証券報告書等の虚偽記載として特設注意市場銘柄に指定し、同時に1000万円の上場契約違約金を科しています。また、金融庁からは4億円を超える課徴金納付命令が。

財源規制

そして今回発生したのは、会社法が定める分配可能額を超える配当金を出してしまったという事件です。この会社法に定められている分配可能額に関する規制、財源規制とも言われます。

企業が営む事業から生まれた利益は、株主に配分されます。これが配当金ですね。しかし利益が配当という形で際限なく株主に配分されてしまうと、会社の債権者は支払いを受けられなくなったりします。債権者への支払いを確保できるだけの財産を残す必要があることから、分配可能な上限を定めているわけです。

その上限を超えて配当してきていたことが判明したようです。今開示されている情報では、累計配当超過額は約11億円だそうです。この会社の筆頭株主は冒頭紹介した取締役会長です(20%保有)。

出してはいけない配当を2億円以上受け取ってるということですね。これって今後、何かに繋がっていくんでしょうか。kuniの知ってる人が同社の役員になっていて、、、笑ってしまいました。

サイバーセキュリティ 日本企業も本気になるか

7/16、7/20の両日、日本経済新聞の一面トップ記事を飾ったのは、なんとサイバー攻撃関係の記事でした。「サイバー被害 通知義務化」と「サイバー攻撃 コロナ下の脅威」というタイトル。前者は個人情報保護法の改正を受けた記事で、後者は企業機密を取り上げています。

サイバー被害 通知義務化

サイバー攻撃で個人情報が漏えいした企業に対し、被害が発生した全員への通知が義務付けられます。個人情報保護委員会への報告も。違反に対しては50万円だった罰金も大きく引き上げ最高1億円へ。個人情報保護法と規則の改正で欧米水準に一歩近付きます。

企業としては今まで以上に厳密な対応を求められるため、情報漏洩に対する投資を真剣に考える必要があります。情報漏洩リスクに対する対策の多くはサイバーセキュリティ対策でもあります。少しでも日本企業の意識が向上してくれれば良いのですが。

サイバー攻撃 コロナ下の脅威

こちらはサイバー攻撃によって企業の機密情報が盗まれる事件が増加していることを受けての記事ですね。ランサムウエアで手に入れた企業の機密情報がネットの闇市場で売買されているという話です。こうした闇市場で少しづつ売ってみせ、企業が身代金を払うまで追い詰めると。

企業の機密情報については今既に大変なことが起こっている可能性があります。新型コロナへの対応として多くの企業が取り入れたテレワーク。記事でも専門家が「テレワークを拙速に導入したことでシステムに欠陥を抱える日本企業の情報が、ハッカーの間で大量に流通している」と指摘していました。

「セキュリティ上の問題はあるものの、まずはテレワーク環境を確立して3密回避、出社率を下げるべき。。。」こんな掛け声、御社でもありませんでしたか。テレワークの普及は、攻撃者にとって、侵入口が爆発的に増加することを意味します。もうすでに相当抜かれちゃってるんだろうなぁ。

投信手数料比べやすく? またまた無駄な書面

金融庁は15日の金融審議会市場ワーキンググループ(WG)で、個人が投資信託などを購入する際の手数料負担を、他の商品と比べやすくする共通ルールを提案する報告書原案を示したそうです。またまた書面ですか。法定ではないといいますが、、、。

顧客に受け入れられない書面

目論見書、契約締結前交付書面など、、、いずれも顧客保護を目的とした法定書面がこれまでもありました。今度は、個人が金融商品を購入する際に、類似した他の商品と手数料やリスクを比較しやすくする共通書式の導入だそうです。日経が7/15付け記事で伝えています。

金融庁の調査によると、投資経験者の7割は他の商品との比較説明を受けていないそうです。金融機関に支払う手数料などを共通の書式で開示し、初心者でも比較しやすいようにする。元本割れリスクの説明も促すというもの。

屋上屋を重ねる。。。屋根の上に、もう一つ屋根を設けるように、無駄なものをこしらえること。いい加減やめませんかこういうの。目論見書も契約締結前交付書面も、説明を尽くせるよう盛り込み過ぎで、結局誰も読んでくれません。

今回もおそらく同様に誰も読んでくれない書面になるんでしょうね。ところで、この「比較」というのは他社の商品も含めて言ってるんだろうか。たぶんそうですよね。自社商品同士の比較と他社商品との比較、、、両方ということでしょう。

真に顧客のためにと勧めた商品。後になって類似商品で手数料が若干安い自社商品がほかにもあることが指摘される。結果、不適切な勧誘行為と言われるんですね。もうやめませんか、書面書面って。