バンダイナムコホールディングス 子会社従業員による不正行為

バンダイナムコHDは1/18、「当社子会社元従業員による不正行為及び同人に対する訴訟提起のお知らせ」を公表しました。子会社というのはバンダイナムコエンターテインメントという会社。同社が不正を働いた元従業員に対し 1/18付けで、約6億円の損害賠償などを求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

不正の概要

2021年11月にバンダイナムコエンターテインメント会社内にて、管理システムに登録されているスマートフォンなどのモバイル端末の数と、実際に使用されているモバイル端末の数に差異があることが発覚しました。

バンダイナムコエンターテインメント内で調査を行い、2015年4月頃から2022年4月頃までの間、同従業員が管理していたモバイル端末のうち4,400台以上を会社に無断で外部業者に売却し、これらの行為等により約6億円を不正に着服していたたことなどが判明したといいます。

なんともシンプルな

4,400台以上のモバイル端末を会社に無断で外部業者に売却していた。なんともシンプルな不正ですね。これに気付かなかったというのがビックリ。だからでしょうか、2022年4月に当該元従業員の関与が発覚してから、8か月以上も公表をためらってたというふうに見えてしまいます。

実態が判明した時点でまず開示するべきですよね。8カ月間で何を、どう調整したのかな、、、なんて勘ぐられてしまいますよ。ちなみに、発覚2ヶ月後の2022年6月には株主総会が行われてますね。現取締役の再任やら、取締役の報酬に関する議案がかかってるけど、これらの議決に影響しないように、みたいなことを意識したんかしら?

東京ボード工業 焼損事故で工場休止に

少し前になりますが、東京ボード工業は1/13、「チップ乾燥設備故障による佐倉工場休止について」を公表しました。同社佐倉工場のチップ乾燥設備において、低温発火と思われる内部焼損が発生したため、昨年12月下旬から工場を休止しているということです。

東京ボード工業

東京ボード工業は、日本で初めて木質廃棄物直接処理によるパーティクルボードを製造したボード業界のパイオニアなんだそう。マンションの床下地材のほか、体育館などの文教施設、家具や木工などにも使われるパーティクルボードが主力製品です。

原材料となる木材チップは、外部からほとんど購入することなく、受け入れた木質廃棄物を自社で加工して調達できることが強みといいます。なかなか「SDGs」な会社ですね。

焼損事故

チップ乾燥設備において、昨年12月24日から断続的に、温度異常が発生したため点検・整備を行ったところ、内部焼損が生じていたとのこと。幸い大規模な火災事故とはならなかったわけですが、現時点でも操業再開できてないみたいです。

1/10に乾燥設備機械会社のスーパーバイザーが来日し、原因追及をしており、早急な復旧を目指しているということなんですが、部品の調達等に期間を要することが判明し、操業再開の目途が立たないということです。

乾燥設備機械に外国製品を使用しているため、部品等の調達に時間がかかる。これって、あらかじめ想定できることですよね。大規模な火災事故とはなりませんでしたが、同工場の操業(つまり同社の業績)に与えるインパクトはメチャ大きいです。万が一の時に対する備え、、、これもガバナンスです。

サムティ株式会社 特別調査委員会を設置

サムティ株式会社は1/16、「2022年11月期通期決算発表日の延期ならびに特別調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。11月期通期ですから、いわゆる本決算ですね。

サムティ

サムティは賃貸マンションなどの用地仕入、企画開発、賃貸募集、物件管理、保有および売却、REIT(不動産投信)などのファンド運用、マネジメントをグループ内で完結する「総合不動産会社」です。大和証券グループ本社の持分法適用関連会社で、東証プライム市場上場企業です。テレビ東京で早朝放送しているモーサテのスポンサー企業ですね。

事案の概要

正直なところ何が起こっているのか全く分かりません。今回の開示によると、「当社において、特定の取引先(以下「本件取引先」といいます。)との取引に関連し、過年度決算における会計上の連結対象範囲の判断等についての疑義が判明した」と説明されています。

さらに、「本件疑義についての事実関係の調査、本件疑義に類似する事象の有無などについて、公正かつ透明性が担保された形で実態把握をする必要があると判断し、外部の有識者で構成する特別調査委員会を本日付で設置することとした」というこことです。

特別調査委員会

連結対象範囲の変更(是正)ということだけだとすると、特別調査委員会は大袈裟ですよね。会計監査人の意見に沿って範囲を見直し、訂正すればいいだけのように思います。「公正かつ透明性が担保された形で実態把握」なんてセリフが出てくる辺り、会計不正なんかも出てきそうな感触です。

2019年11月期におけるこの「特定の取引先」との取引は43億円だそうですから、決して小さくはない金額ですね。最近、金利上昇でボコボコに売られてる不動産株、もう一段売り込まれますかね。続報を待ちましょう。

株式会社エルテス 深夜の開示 何があった?

株式会社エルテスは1/14、「連結子会社によるバンズ保証株式会社の株式取得に関するお知らせ」を公表しました。なんと開示されたのは1/14の0時45分です。1/13に2023年2月期第3四半期決算を発表するとしていましたが、それが間に合わず、、、この開示となっています。

エルテス

エルテスは、企業向けにソーシャルメディア(インターネット上のSNSやブログ、掲示板など)におけるネット炎上などのリスクを検知するモニタリングや、その対応方法のコンサルティングなどのサービスを提供提供する企業。東証グロース市場上場で、設立から10年ほどの企業です。

事案の概要

予定した決算発表が間に合わず、その理由が同社子会社のJAPANDXが昨年買収した「メタウン」という会社にあるとのこと。現連結子会社化した際(要するに買収した際)の財務諸表の数字がおかしいことが判明したということです。

実際に連結決算に取り込むべき数字と、「株式譲渡契約に記載の譲渡明細上に記載されていた売掛金、立替金、預り金、未払金、前受金などと差異があることが判明しました。」としています。買収時に実態よりもより良い決算数値を見せられて、より高い買物をさせられたということでしょうかね。

取締役の保有する企業

ややこしいのがこの「メタウン(旧社名がバンズ保証株式会社)」、もともとはエルテスの取締役がオーナーだった会社だったこと。取締役が自分の会社を、自分が取締役を務めるエルテスに高く売り付けたという格好になってるのかもしれません。ちなみに、買収金額は15億6,000万円(うち、12億円は金融機関からの借入)みたいです。

決算発表できませんでした。という開示の中で、この件の調査に対応するため「対応人員の確保」とか言ってる時点で相当ヤバいことになってそう。以前にも書いたことありますが、深夜の開示には相当注意が必要です。社内はめちゃくちゃ混乱しているものと思われます。

株式会社オークファン 特別調査委員会の調査報告書を公表

オークファンは1/13、「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。100%子会社である SynaBiz において、複数事業年度に渡って不適切な取引及び不適切な会計処理が行われていたとして、特別調査委員会を設置して調査してきました。

調査により判明した事実

調査の結果、以下のような不正又は著しく不適切な取引ないし会計処理を行っていたことが明らかにされています。
① 循環取引とも評価すべき経済実態のない商品取引を実施することにより、架空の売上を作出し計上
② 商品取引の商流の中間に形式的に介入するだけで、実質的には仲介手数料程度の収入を得られるにすぎないのに、売上を総額で計上
③ 倉庫及び物流費の先送り並びに広告売上の架空・水増し計上及び前倒し計上による利益操作

発生原因

こうした不正が発生した原因として、「売上高の成長を過度に追及していた企業風土及び実力からかい離した予算の設定」だとか、「トップダウンで設定された予算の達成に向けた厳しい予実管理」などがあげられています。この手の不正ではよく見かける原因ではあります。

何だかスッキリしない

報告書を読んでいて何だかスッキリしない。報告書ではこれら不正について、「SynaBiz 担当者が・・・」と表現されていて、執行役員を含む経営幹部や親会社の幹部の関与があったかどうかについて、ほとんど触れていないんですね。これだけたくさんの不正が出てくると、そこが一番重要だと思うんだけど。