宝ホールディングス 缶チューハイなど自主回収

宝ホールディングスは5/20、「製品の自主回収等に関するお知らせ」を公表しました。子会社である宝酒造が製造販売する缶チューハイの一部において、アルミ缶上部の外周部分からアルミがはみ出す事例が2件発生しているそうです。

自主回収の対象

そのはみ出したアルミ部分で、顧客が指を怪我した事例が1件含まれているそう。回収の対象は、三重県四日市市の楠工場で製造されたものです。2020年6月から2021年5月までの間に製造された商品。缶底の製造記号の末尾が「E」となっている商品だそうです。

箱買いした顧客は箱の製造記号で判別できますが、バラで買い求めた人は缶底を確認するために缶を手に取った時点で怪我しちゃいそうですよね。もしお手元に該当する商品があったら気を付けてください。出荷地域は日本全国だそうです。開示文の最後に対象商品が並べてあるんですが、その数なんと117種類です。

原因

最初に開示文を読んだとき、宝酒造の責任なのか製缶会社の責任なのか、と考えましたがやはり宝酒造の責任みたいです。製缶会社は蓋と胴の2つのパーツを出荷するようで、この胴の部分にビールやチューハイを入れ、最後に蓋をするのが宝酒造の業務ということらしいです。

楠工場の製造装置に不具合(部品のゆるみ)があり、製造工程で蓋が変形し、胴の上部に固定する(巻締めというらしいです)際に、缶の胴の一部が突起状にはみ出したんだとか。読んでいて、いかにも痛そうな感じです。

回収方法

同社のホームページを訪れ、登録フォームから申し込むと、同社指定の宅配業者が商品の回収に来てくれるそうです。後日製品代金相当のクオカードを送ってくれると。コロナ下でお酒のストックも多めですよね。ご自宅にチューハイがある方はすぐにチェック。くれぐれも手や口を怪我されませんように。

アジャイルメディア・ネットワーク 役員の不正行為(その2)

アジャイルメディア・ネットワークは5/17、「2021年12月期第1四半期報告書の提出期限の延長に係る承認申請書提出および第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。先日、当ブログで取り上げた役員の不正行為に関する第2報になります。

不正行為の概要

まずは第1報で公表された内容をもう一度。

「当社は、監査法人による2021年12月期第1四半期レビュー手続の中で、不適切な会計処理があることを指摘され、その中に不適切な支出が含まれていることを認識しました。この不適切な支出について、当社役員による資金流用の疑義が生じています。」

そして今回新たに説明されているのがこちら。

「2019年12月期第4四半期から2021年12月期第1四半期に至るまでの期間において、ソフトウェア仮勘定を利用して現金で支払った金額の中に、資金流用の疑義が生じているものがあります。現時点で、当社の該当期間における各期の総勘定元帳から算出した、ソフトウェア仮勘定を利用して現金で支払った金額の合計額は、約1.2億円程度となります。」

制作途中のソフトウェアに関しては、その制作に要した費用をいったん「ソフトウェア仮勘定」等の仮勘定に集計しておき、完成して使用し始める時に「ソフトウェア仮勘定」から「ソフトウェア」勘定への振替を行います。

つまりソフトウェア制作に要した費用の合計が約1.2億円程度ということで、この中からどれだけ私的流用が行われたのか、ということですね。こういうケースではソフトウェア制作会社も巻き込んで、会社に多めに支払わせて、制作会社からキックバックしてもらう手口が多いです。ただ、同社のケースは「役員が」、ということですので、ある意味何でもできちゃいそうですが。

今日、同社のホームページを再びチェックしたところ、CFOの取締役が消えてました。あらら。

サクサホールディングス 監査役の交代

サクサホールディングスは5/17、「役員等の異動および組織改正に関するお知らせ」を公表しました。役員の異動については、監査役が交代するということのようです。別になんてことない開示なんですが、なにせ同社グループは架空取引も含む不適切な会計処理等で話題となっただけに、、、。

新任監査役

今さらながらですが、監査役は取締役の指示命令から独立して、会社の本来の持ち主である株主の立場になって、会社が健全に経営され、株主に不利益なことが行われていないかを管理監督します。つまり、同社が起こしたような不祥事をいかに防止するか、発生した場合にはいかにして速やかに発見、是正するか。が、求められるわけです。

今回、同社が公表した新任監査役は、現総務⼈事部⻑さんです。サクサ株式会社では執⾏役員 管理統括本部⻑ 兼 総務⼈事部⻑だそうです。監査役の候補になられるわけですから、グループで発生した会計不正等には関与されてなかったんでしょうが、ホールディングスでは役員経験ないみたいで。取締役にビシッとモノが言えるんだろうか。少々気になります。

上がりのポスト?

総務人事部長さんから監査役。ご自身が関与されてきた部署等で何か問題が出てきたときは大変ですよね。特に総務部などは会計不正、人事部ではハラスメントなど。何かしら出てくるものです。何か問題があった場合も、適切に対処していただきたいものです。

監査役というポストは、よく上がりのポストとして使われます。部長まで、執行役員までやってきて会社に貢献してきたので、上がりのポストとして監査役に。ガバナンスが重要視される今の時代でもまだまだ残っていると思います。

サクサホールディングスにおいては重大な不祥事を起こした直後ということもあり、上記のような上がりのポスト的な異動でないことを祈りたいものです。監査役というポストについて、同社の執行部がどの程度重視しているか。ココ、非常に重要です。

日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し

日本軽金属ホールディングスは5/17、「当社子会社の日本軽金属株式会社におけるアルミ板製品の JIS 認証の取消しについて」を公表しました。JIS認証違反調査委員会を設置し、徹底した全容解明と原因究明、さらに再発防止策策定を行っていくとしています。

不正取得の概要

「1996年頃から、日本軽金属名古屋工場のアルミ板製品の引張試験の試験片を採取する際、厚さ 6.5 mm以上で非熱処理合金の板製品において JIS の規定(圧延方向に対して平行)と異なる方法(圧延方向に対して直角)で採取した試験片にて引張試験を実施したにも関わらず、当該厚板に JIS マークを付して継続的に出荷していた。」

引張強度を測定する際、圧延方向に対して直角に採取した試験片の方が、より強度が高くなるということのようですね。より強度の高く見える試験片で認証を不正に取得していたということのようです。かなり悪意を感じさせますね。

更新審査(2020年2月)においては、更新審査用の試験片採取を行う際、上記の実態を偽り、JIS の規定に沿った試験片採取を行った。というのもあります。実地での審査においては、正しく試験片を採取しているように見せかけた、ということでしょうか。

認証取消しの内容

JIS の認証機関である一般財団法人日本品質保証機構は、鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令に定める基準を満足しておらず、その内容が重大であるとして、2021年5月14日付で名古屋工場の JIS 認証取消しを行っています。

JIS認証違反調査委員会を設置して、同社グループの JIS 認証を受けている全拠点において、JIS マーク表示製品に対する総点検を開始しているようです。グループの主要会社は、日本軽金属、東洋アルミニウム、日本フルハーフ、日軽金加工開発ホールディングスの4社。さて、この認証不正取得はどこまで広がりを見せるでしょう。

ぐるなび 従業員賞与 50%削減

飲食店情報検索サイトを運営する「ぐるなび」は5/6、「従業員賞与の減額に関するお知らせ」を公表しました。新型コロナウイルス感染拡大に伴う厳しい事業環境に鑑み、6月に支給を予定している従業員の賞与について、支給見込額より50%減額するとしています。

従業員賞与の減額

従業員の賞与等の減額については、以前、幸楽苑の事例を取り上げたことがありました。昨年5月のことです。減額の内容は、月額給与の20%と、夏季賞与の不支給という強烈なものでした。

今年4月には、三越伊勢丹ホールディングスが、やはり新型コロナの影響による業績不振に伴い、従業員賞与等の減額を公表しています。同社の場合は従業員一人当たりの減額率は伏せ、総額で37億円を減額するという公表の仕方でした。

そして今回はぐるなびです。新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店情報のサイト掲載料収入が減るなどして、業績が悪化していることに伴う措置です。同社の場合は「支給見込額より50%減額」とだけ公表し、総額で人件費がいくら削減できるのかは公表していません。

役員報酬は?

一方で役員報酬の減額等の話題がなかったので調べてみました。昨年10月末に無配になる旨と一緒に公表してますね。「取締役(社外取締役を除く)については年間固定基本報酬の2割相当を自主返上。常勤監査役についても年間固定基本報酬の1割相当を返上」というものです。

しかし、従業員の賞与の削減率を公表するのっていかがなもんでしょうね。経営が株主に対して責任の取り方を示すのは理解できますが、従業員も株主と並ぶステークホルダーです。減額するのはともかく、減額率を示す必要があるんでしょうか。kuniとしては、経営の責任の取り方を公表しつつ、従業員にも配慮する三越伊勢丹スタイルが良いんじゃないかと。