ひらまつ 外部調査委員会調査結果(その2)

大晦日の本日は、外部調査委員会の調査報告書を読んで感じたことなど、ダラダラと書いて、2020年の投稿を終えようと思います。ワードプレスの統計データによると、今日で開設以来866日間の連続投稿記録だそう。てな具合に、上手いこと煽てられて続けちゃうんですよね。

創業者による訴訟の内容と請求金額

① 業務委託契約に基づく業務委託報酬として、3億3,707万円
② 事業譲渡契約の解除に基づく原状回復として、2億4,416万円
③ ひらまつ株式の譲渡代金として、6億6,400万円

調査報告書より

昨日も書きましたが、報告書では当時の代表取締役とCFOについて、「平松氏との師弟的人間関係の中で勤務してきた人物」と書いていました。これ気になります。他にも、それまでの業務委託契約の解約を通知することになるプロセスで気になることが。

経営アドバイスを受けていたアドバンテッジアドバイザーズとともに、有能な経営人材の外部招聘を検討していた際、創業者である平松氏の社長復帰も検討されていたそうです。アドバンテッジアドバイザーズが平松氏の暴走を制限する覚書の締結を要請したことで破談となったようですが。

これが2019年8月のこと。その4か月後の12/24、運営業務委託契約等の解約の通知が行われています。その結果が冒頭の訴訟へとつながりました。創業者である平松氏は本気でひらまつの建て直しを考えていたんでしょうかね。

調査結果を受け、、、平松氏に操られてきた愛弟子たちは結果的に追い詰められ、責任を取らされることになりそうです。弟子は師匠と仰ぎ、、、師匠は弟子を金儲けの道具に、、、でしょうか。高級フレンチ運営会社に起きた非情な事件です。

一年間お読みいただきありがとうございました。では、皆さん良いお年を。。。

ひらまつ 外部調査委員会の調査報告書を公表

ひらまつは12/28、外部調査委員会の調査報告書を公表しました。同日が再延長後の四半期報告書の提出期限でしたが、こちらは提出できず。東証はいわゆる監理銘柄(確認中)に指定しました。1月12日までに四半期報告書が提出できないと上場廃止です。

カウントダウン

外部調査委員会の調査報告書は受理しましたし、お知らせによると訂正が必要になる期の財務諸表本表の作成は完了しているようです。ひらまつ総研への資金流出に関する監査証拠として十分な関連証憑類が要求されているようですが、残る8営業日でなんとか提出にこぎつけられるでしょうか。

調査結果の概要

創業者の平松氏がひらまつ退任後に設立・運営しているひらまつ総研とのあいだで、京都の2店舗の譲渡に関連して、2つの業務委託契約を締結していたんですが、これが取締役会の承認を経ていない。この業務委託契約、業務委託の名目で2店舗の譲受に必要な資金をひらまつ総研に還流させる目的がありました。

さらに、当該2店舗の譲渡代金を将来的に280百万円減額する旨の覚書も締結していました。これも取締役会の承認を経ていないし、2つの業務委託契約、覚書ともに会計監査人に秘匿して財務諸表を作成していたということです。こうなると当然、創業者から同社を引き継いだ、当時の経営陣の経営責任の追及ということになってきます。

創業者との関係

報告書では当時の代表取締役とCFOについて、「平松氏との師弟的人間関係の中で勤務してきた人物」と書いています。会社経営自体についても平松氏の指示を仰ぎ、その意向が尊重され続けたと。「事業承継の失敗」とも書いてますね。

今回の調査結果は、あくまでひらまつ側で行った調査であり、平松氏およびひらまつ総研からは調査協力が得られてないとのこと。片面的な調査結果ではあります。長くなったので今日はこれにて。

楽天 148万件の情報流出の可能性 楽天市場 楽天カード 楽天Edy

楽天は148万件の企業・個人の情報が流出したおそれがあることを公表しました。データを管理する外部のクラウドシステムのセキュリティー設定で、人的ミスがあったといいます。なんと恐ろしいことに、この設定ミス、約5年間続いていて、外部からのアクセスが可能な状態だったそうです。

流出した情報

大きくは楽天市場、楽天カード、楽天Edyから情報流出としています。楽天市場においては楽天市場への法人向け資料請求者および店舗情報が。楽天カードにおいては事業者向けビジネスローン申込者情報。楽天Edyにおいては故障した端末の残高移行サービス申込者情報が、それぞれ流出した可能性があるということです。

クラウドにおける設定ミス

楽天のお知らせでは、社外のクラウド型営業管理システムの利用におけるセキュリティ設定の不備、、、と表現されていますが、どうやらこれ、セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスのようですね。このサービスを使う企業は結構多いらしいです。

報道ではあまり見ませんが、12/7、加盟店に関する情報などを管理するシステムが不正アクセスを受けていたことを公表したPayPayも、同じセールスフォースのサービスを利用していたみたいです。

PayPayの方は「第三者からの不正アクセスを受けた」という表現をしていましたが、楽天のお知らせでは「不正アクセス」という言葉は使われていませんでした。あくまで「社外の第三者による海外からのアクセス」と表現しています。

セキュリティの設定を間違えていて、社外からもアクセスできるよう扉を開けてたんだから、アクセスは不正とは言えない。。。そんな判断もあったんでしょうかね。

いずれにせよ、セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスが狙われているのは確かでしょう。この後も同様の情報流出のニュースが出てくるかもしれません。ご利用企業のシステム担当者の皆さんは速やかに設定の点検を!!!

UMCエレクトロニクス 損害賠償請求訴訟の提起

ユー・エム・シー・エレクトロニクスは12/24、同社に対し、同社が虚偽記載のある有価証券報告書等を提出したことで売却損等の損害を被ったとして、損害賠償を求める訴訟が提起されたことを公表しました。大阪府在住の個人投資家からの提訴のようです。

提訴の概要

虚偽記載のある有価証券報告書等を提出したことで、99,664,929円の売却損の損害を被ったとして、その損害賠償を求めているとのこと。売却損としていますから、同社の株式へ投資していて、有価証券報告書等の虚偽記載が発覚、株価が下落したことで損失を被ったということでしょう。

このところ有価証券報告書等の虚偽記載等は増加していて、課徴金が課されるケースをよく見ます。が、虚偽記載をしていた企業に対する投資家による訴訟というのはあまり見ませんでしたね。過去には西武鉄道やライブドアで争われた事例がありました。

金商法第21条の2

有価証券報告書等に虚偽記載をした者の損害賠償責任については、金融商品取引法第21条の2に規定があります。この規定は、有価証券を購入した投資家が、不実の記載のある有価証券報告書等を参考にした場合、その不実の記載があったことにより不測の損害を負うことになりうるため、このような投資家に対する救済手段を設けたものです。

虚偽記載により損害を受けた投資家は、有価証券報告書を届け出た会社に対して損害賠償請求をできます(今回のケース)し、役員(取締役、会計参与、監査役若しくは執行役など)や、虚偽の記載等がないと証明した公認会計士や監査法人に対しても損害賠償請求が可能です。

この規定以外に、不法行為責任(民法709条)により損害賠償を求める方法もあるようですが、同社による開示ではそのあたりまでは分かりません。今回の開示では大阪の個人投資家、、、ですが、おそらくこの訴訟は集団訴訟になるんでしょうね。

ベステラ株式会社(1433)プラント解体業

決算短信を見ていて見付けた面白い企業です。プラント解体工事に特化している企業で、様々な特許工法に強み持つ変わり種です。「リンゴ皮むき工法」という、球形のガスタンクをリンゴの皮をむくように渦巻き状に切断していくという特許工法、聞いたことありませんか?

リンゴ皮むき工法

球形ガスホルダー(球形のタンク)を、まず底の部分をカットしておきます。その後リンゴの皮をむくように上から切除していくと、切断した部分は自重で下方へ下がって地上にとぐろを巻いていくという工法です。従来の工法と比べると、工期短縮、コスト削減、高い安全性の確保を実現しているとのこと。

設備の老朽化

今月上旬の日本経済新聞で、「続く工場火災、4年で22件」という記事がありました。日本製鉄や旭化成など、国内上場企業の工場火災が4年で22件に上るとのこと。設備の老朽化が原因としていました。日本の製鉄所や製油所の生産設備の多くが稼働から40年を超えているといいます。

日鉄の社長の言葉も紹介されていました。「鉄鋼業がもう一度強い鉄鋼業になり、日本の製造業をを支えるうえで設備の若返りは必須だ」。 おっしゃる通りだと思います。製鉄所や製油所にとどまらず、重厚長大産業は設備の更新時期に来ているということでしょう。

産業構造の見直し等による余剰設備の増加も追い風になりそうです。そこにはいずれも、今ある老朽化した設備の撤去作業が必要に。こうした需要を取り込んでいくのがプラント解体業という訳です。

ベステラの株価の方は1,600円台。2015年に上場した当時は2,000円近くまで買われ、2017年1月には2,800円まで買われています。直近高値を窺っているところですが、中長期的にも期待できそうです。