三菱マテリアル 決算発表延期 子会社における利益相反取引の調査で

11/2、三菱マテリアルは11/6に予定していた、2021年3月期第2四半期の決算発表を延期すると発表しました。このところ相次ぐ不祥事調査のための決算発表の延期ですが、今度は三菱マテリアルも仲間に加わりました。非鉄金属の大手ですね。

連結子会社での不適切取引

ダイワボウホールディングス、ネットワンシステムズと、社内又は連結子会社における不正等の調査を実施するため、第2四半期の決算発表が延期となりました。そして今度は三菱マテリアルです。創業明治4年、グループ従業員数が3万人に近い、かなりの大企業ですね。

延期のお知らせによると、同社の米子会社MCCD社の子会社RRM社ほか2社(いずれも三菱マテリアルの連結子会社)において、RRM社の一部の経営幹部により、当該幹部らが個人的利害関係のある企業との間で、重機や原材料・資材の購入等の取引が行われていたといいます。

一部の経営幹部とか、当該幹部らが、と表現されているところがビミョーですが、一人の取締役だけではなさそうに見えますね。端緒となったのはRRM社の従業員と称する者からの匿名での内部通報のようです。

これを受けて、MCCD社では利害関係のない独立した外部専門家を起用して調査を進めているといいます。通報自体は8/12といいますから、既に2カ月半が経過しています。現地が調査の主体ですから、調査は相応に進捗していると思われます。

利益相反取引

ここまでの調査で、RRM社の一部の経営幹部が共同で出資する企業との間で取引が行われていたことを確認しているようです。「共同で」としていますから、やはり複数の経営幹部ですね。日本の会社法でいうところの「取締役の利益相反取引」に該当するかどうか、またそれが財務諸表にどう影響を与えるのか。その辺りの調査に時間を要しているようです。

ネットワンシステムズ 外部調査委員会を設置

10/26、外部機関からの指摘があり、同社従業員による資金流用の疑義について公表したネットワンシステムズ。特別調査委員会設置も視野に入れている様子でしたが、11/2、「外部調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。

外部調査委員会

先日の記事や上記でも、kuniは「特別調査委員会」という言葉を使いましたが、今回同社が使ったのは「外部調査委員会」でした。昨年12月に設置したのが特別調査委員会だったんですね。なので今回も特別調査委員会かと。

委員会設置の目的や、第三者委員会ガイドラインに基づく第三者委員会の形態は採用していないものの、同ガイドラインの趣旨を最大限に尊重し、委員は独立性を有する外部専門家のみで構成しているといった説明も全く同じなんですけどね。ちなみに、委員会のメンバーは前回とは変わっています。

四半期報告書の提出期限の延長に関する承認申請も視野に

昨日書いたダイワボウホールディングスのケースでは触れられていませんでしたが、ネットワンのこのお知らせでは、「2021年3月期第2四半期報告書の提出期限の延長に関する承認申請も視野に入れて対応して参ります。」と、正直に伝えています。

ダイワボウホールディングスと同じ3月決算で、第2四半期報告書の提出が遅れそうという事態ですので、延長申請、承認後の期限に提出できなければ上場廃止へ、というプロセスもほぼ一致するはずです。今年のクリスマス辺りはにぎやかになりそうです。

ただ、今回の事案、同社はそれほど大きな広がりはなさそうとみているようで、お知らせの中には「現時点までの当社社内チームの調査により判明している限りでは、本件が当社業績に与える影響は軽微であると考えておりますが、・・・」などというくだりがあります。

理研ビタミンのように、調査結果の正確性はともかく、とにかく四半期報告書さえ期限までに提出できればいいんだろう、みたいな対応はしてほしくないですね。

ダイワボウホールディングス 決算発表を延期 特別調査委員会も

子会社ダイワボウノイにおける不適切な取引を調査している特別調査委員会。10月末をめどに調査結果等を公表予定としていましたが、10/30、調査期間の延長が公表されました。また、これを受けて、同社が11/5に予定していた第2四半期の決算発表も延期です。

調査の状況

調査委員会がこれまで調査過程で得た情報は、守秘義務により同社には開示されていないということで、調査の状況については明かされていません。調査期間の延長に関しては次のような説明がされています。

「現状においてより徹底的に深度ある調査を継続していることから、本件調査の完了までは想定以上に工数、時間を要することが見込まれており、・・・」

吸収合併により消滅している企業だけに調査が進めにくいというのはあるかもしれませんが、上記の表現は、かなり深~い不正が行われていた雰囲気を漂わせてますね。

決算発表のスケジュール

今回の決算発表は第2四半期決算です。そのため、四半期終了(6/30)から45日以内に四半期報告書を提出すれば問題ありません。つまり11/14までに提出(決算発表)できればOKですね。そこまでに提出できる可能性はあるので、延長申請には触れていません。

最近、上場廃止の危機に陥る企業が多いですが、ダイワボウHDの場合も最悪同じ状況になり得ます。11/14までに提出できそうになければ、四半期報告書の延長申請をするでしょうし、それが認められると通常は1ヶ月くらいは時間が稼げます。12月中旬ですね。

例えば延長が12/14まで認められたとしましょう。それでも提出できないとなった場合、延長後の期日から8営業日目、つまり12/24(クリスマスイブ)までに四半期報告書が提出できないと、上場廃止が決定します。サクサや理研ビタミン等で見てきたヤツです。

スーパーバッグ(3945) 決算発表 さすがに厳しいよね

スーパーバッグという会社をご存じでしょうか。名前の通り、スーパーやコンビニなどで使われるレジ袋を作っている会社です。レジ袋やポリ袋以外に紙袋なども扱っていますが、いわゆる石油化学製品の比率は高そうで、ESG最盛期の令和の時代、まさに逆風下にある企業ですね。

今上期の状況

その昔、kuniが株屋の時代に少し接点のあった会社なもんですから、ちょっと気になっていた存在なんです。ここ最近の環境問題においてレジ袋が悪玉筆頭に据えられる状況、同社は大変だろうなぁ、などとと思っていました。

案の定、かなり苦しい決算となっています。環境問題でレジ袋の有料化が始まったため、当然消費量は激減します。皆さんもマイバッグ持ち歩くようになりましたよね。逆風はこれだけではありません。コロナの影響で実店舗での販売量自体が落ち込んでいて、包装資材需要も減少しているわけです。

株価をチェック

過去を振り返ると、百貨店からスーパー隆盛の時代へ、といった時代がありました。そしてスーパーからコンビニ大展開という時代へ。この間、レジ袋等が販売量を伸ばしたことは容易に想像できると思います。

遡れるところまで同社の株価を調べてみると、1990年に11,500円というのがありました。バブル直後ですからその分も載せた株価ですけどね。バブルの影響がなくなった後でも、2005年と2017年に4,000円ほどの株価を付けてます。

その同社の現在の株価(10/31)は1,189円に沈んでいます。配当利回りが非常に高い会社で、前期も60円配当、利回りは6%を超えています。その影響でしょうか、2008年以降は1,100円を下値抵抗線にしてきました。が、今回はどうでしょう。

高配当銘柄の常連だったキャノンも大きく値下がりし、先日減配を発表していました。デジカメがスマホに食われてしまったという、、、本業を時代に見切られた銘柄の末路は、、、。スーパーバッグもそうなるんでしょうね。

ネットワンシステムズ 新たな不正か

昨年12月、東京国税局から指摘され、特別調査委員会の調査の結果、架空循環取引を主導していたことが判明したネットワンシステムズ。今年3月に再発防止策等を制定し、6月に東証へ改善報告書を提出しました。あれからわずか4カ月、また新たな不正が出てくるとは。

おさらい

実在性が認められず、かつ、それらの各取引はエンドユーザーが存在しない状態で複数の会社が介在する形で、複数回にわたって循環を繰り返す、いわゆる架空循環取引が発覚しました。主導したのがネットワンシステムズで、架空の売上の累計額は1,400億円とも。

他にこの取引に加わったのは、東芝ITサービス、日鉄ソリューションズ、富士電機ITソリューション、みずほ東芝リース、ダイワボウ情報システムなどでしたね。

順番が逆になってしまいましたが、2015年には、ネットワンシステムズの社員が十六銀行の行員と組み、架空取引で3億円をだまし取るという事件も起きています。

従業員の資金流用

10/26、「2021年3月期第2四半期決算発表延期のお知らせ」が開示されました。その理由が、「外部機関からの指摘があり、同社従業員による資金流用の疑義を認識したため」というもの。社内で調査チームを立ち上げ、調査を進めているとのこと。特別調査委員会設置も視野に入れているようです。今のところ分かっていることはここまで。

前回の架空循環取引の初報では「東京国税局による・・・」と名前を出していましたが、今回は「外部機関」としてますね。あと、もう一つ気になるのは、「前回の調査報告書を開示しました。その後、外部機関からの指摘が・・・」という書き振りです。

普通「その後、全社をあげて改善対応に取り組んでまいりましたが」、くらいの言葉をはさむと思うんですが、その後、、、すぐに指摘を受けたような感じに見えます。前回の不正と並行して、もしくは重なる時期がある不正なのかもしれません。

現時点では、前回のように同社とつるんでいたと思われる企業の開示も見当たりません。さて、このあとどう展開していくのでしょうか。