民事再生の虎杖東京 関連会社 AIKジャパンが架空取引に(その2)

虎杖東京(いたどりとうきょう)の関連会社、AIKジャパンコーポレーションが、複数企業間の架空取引に巻き込まれ、金融機関からの借り入れで支出した資金が回収不能となり、金融機関にデフォルトを起こした事件。事件の輪郭が見えてきましたので、、、第2弾です。

(株)イースター 、 FEP(株)

AIKジャパンはもともと飲食店向けの什器や厨房設備販売の会社です。が、架空取引に巻き込まれたのは家庭用・業務用電気製品卸事業なんですね。

ここまでで名前があがってきた企業は、イースターという会社とFEPという会社。おそらくイースターという会社がAIKジャパンの社長に架空取引の商流に入ることを持ちかけたようです。17年2月といいます。仕入先として紹介されたのがFEPという会社です。

翌月から、FEPから仕入れた家庭用電気製品をAIKジャパンがイースターに販売。イースターから最終的に家電量販店に販売する取引が始まったようです。その後、AIKジャパンが直接家電量販店に販売するルートに変更されます。

取引は急拡大していきますが、19年12月に予定されていた家電量販店からの入金が途絶えます。AIKジャパンが家電量販店に直接問い合わせますが、入金の件も、これまでの取引についても全く存在しません。家電量販店は名前を利用されていただけ。

架空取引詐欺?

家電量販店の発注書は偽造されたもので、おそらくFEPが家電量販店になりすまして発注や入金することで取引を循環させ、AIKジャパンを信用させてきたものと思われます。イースターとFEPが巧みに取り込み、架空取引でそこそこ儲けさせておいて、最後の取引では仕入れ代金を丸々持ち逃げしたという顛末のようです。

入金が途絶えたタイミングでイースター、FEPともに事務所を閉鎖しドロン。連絡が取れなくなりました。この一連の架空取引で両社に支払った16億円がAIKジャパンの損失となっています。その後コロナショックもあり、虎杖東京まで巻き込んで倒れることになりました。

国交省 施工管理技士の不正受験防止対策

これは見落としていました。建設業法に基づく施工管理技術検定の不正受験と施工管理技士資格の不正取得が発生したことを受け、国土交通省は再発防止策の検討に着手しました。8/4、有識者会議の初会合を開催。10月下旬に提言案を取りまとめるとのこと。

おさらい

国家資格「施工管理技士」を取得するための試験には、最終学歴・修了した学科に応じて、受験に必要な実務経験年数が課せられています。実務経験は所属企業による証明(押印)と受験者自らによる誓約(押印)によって信頼性を担保している。はずでした。

ところが大和ハウス工業が昨年12月、社員371人が実務経験の要件を満たさずに受験し、施工管理技士を取得していたことを国交省へ報告しています。今年に入って水道機工、水機テクノス、さらに西武建設、西武造園が実務経験に不備があったと報告しています。

検討の方向性

国交省は受験プロセスの課題を把握した上で、講ずべき防止対策を検討する有識者会議「技術検定不正受検防止対策検討会」を始動させました。

検討の視点として、「受験前」=社員の適切な実務情報の記録・管理の在り方、「受験申請・審査時」=実務経験の適正な申請・証明のための確認方法と不正申請の抑止策、「受験時」=実務経験に基づく能力の評価方法。こんなアプローチを考えているようです。

まだ何も決まっていないんですが、どうも受験プロセスがより複雑になっていく方向の議論になりそうな予感が・・・。

実務経験を所属企業による証明(押印)と受験者自らによる誓約(押印)によって担保するという性善説には無理があることが証明されました。それでも、不正があった場合の措置として、所属企業への行政処分(営業停止)や課徴金といった罰則を設けることで、現行のの受験プロセス、まだ十分機能させられると思うんですけどねぇ。

三菱重工 テレワーク(在宅勤務)中の社有PCがマルウエアに感染

少し前の話題ですが、三菱重工グループの従業員が、在宅勤務時に自宅で社有PCを利用中にマルウエアに感染するという事件がありました。テレワークの危険性については以前も書きました(サイバーセキュリティ 日本企業も本気になるか)が、この社有PCはその後会社のネットワークに接続され、感染を拡大させてしまいます。

サーバから情報流出するまでの経緯

4/29 同社グループの従業員が、在宅勤務時に自宅で社内ネットワークを経由せずに外部ネットワークへ接続、SNSを利用した際に、第三者から受領したウイルスを含んだファイルをダウンロードしたことにより、当該従業員の社有PCが感染します。

5/7 当該従業員が出社し、社内ネットワークに接続したことで、感染が拡大します。GW明けの出社ですね。

5/21 外部不正通信を検知し、調査を開始。不正アクセスを受けた機器が判明したため、ネットワークから遮断する等の初動対策を直ちに行った後、通信ログ等の解析を開始。

7/21 流出を確認した情報の精査を完了。  だそうです。

素朴な疑問

それにしても不思議なのは、社有PCでなんでSNSなんかにアクセスするんかねぇ。ってことです。在宅勤務中なんだから自宅のPCやスマホからにすりゃ良いのに。大きな会社だからこういうアホな社員の一人や二人は居るものかもしれませんが。

そしてもう一つは、三菱重工の開示のタイミングです。5/21時点、もしくはそれ以降7/21までのタイミングで情報漏洩の可能性に関する開示はできたはずです。実際の開示は遅すぎる8/7です。防衛関連企業ですから当局との調整等の時間が必要なことは分かりますが、あまりに時間かけすぎでしょう。

他でも既に起きている?

今回の三菱重工の開示。タイトルと本文では、在宅勤務中の事故であることが読み取れません。経緯を一覧表示している表中で初めてそれが書かれている程度。在宅勤務中の感染だったという事実を伏せて開示している企業もあるのかもしれませんね。

旅工房 【2020年6月分】旅行取扱状況速報

以前当ブログで、「旅工房(6548)従業員による不正 調査報告書」というのを取り上げました。法人営業部門の従業員の不正が発覚したというやつですね。詳細は当時の記事をご覧いただくとして、今回は6月の同社の営業状況のお知らせです。

悲惨な状況

まずはファクト。6月の海外旅行取扱額は6,373千円、前年同月比0.3%。国内旅行取扱額は26,036千円、前年同月比45.0%。合計で32,409千円、前年同月比1.3%だそうです。これ、増加率ではなくて去年の6月との比較ですからね。合計取扱額が1/100になっているということです。

ちなみに、新型コロナウイルス感染拡大直前の今年1月を見てみると、海外旅行取扱額は1,958,775千円、前年同月比115.0%。国内旅行取扱額は108,583千円、前年同月比130.8%。外国人旅行取扱額は34,058千円、前年同月比68.7%。合計で2,101,416千円、前年同月比114.5%です。

1月の時点で外国人旅行取扱額は30%以上減少。中国からの旅行客が減少し始めたからでしょうね。それでも合計では14.5%伸びているわけで、その後このような悲惨な状況になるとは思っていなかったでしょう。ちなみに、6月の外国人旅行取扱額はゼロです。

それでも株価は

まさに需要が蒸発してしまった旅行業界。今後もどこまでこの状況が続くのか、って感じですが、株価の方は回復基調。8/3の終値833円から1000円台まで回復しました。Go Toキャンペーンも始まり、少なくとも4~6月期で最悪期を脱したとみているんでしょうかね。

しかし、この業界どこまで回復するんでしょう。需要回復のスピードと自己資本の減少のスピード。だけの話になっていきそうです。同社に限った話ではありませんが、マーケットは倒産リスクをいつごろから織り込み始めるでしょうか。

第一商品 希望退職者の募集結果 他社でも続々と

当ブログで何度か取り上げている第一商品。8/13に「早期退職者の募集結果及び特別損失の計上に関するお知らせ」を公表しました。募集人員100名としていたところ、結果としては140名が応募したそうです。4割増しという結果です。

TDネット直近一カ月

第一商品以外にも希望退職者の募集という言葉が目に入ったので、TDネット(適時開示情報閲覧サービス)で足もとの1か月間を探ってみました。やはり合計で9社が希望退職の募集もしくは募集の結果を公表しています。

いわゆる不正・不祥事が原因で業績が悪化し、希望退職者を募った企業では、第一商品以外にも「レオパレス21」の名前があります。1000名の募集に大して結果は1067名となっています。

残る7社はコロナの影響も受けた業績不振によるもの。いきなりステーキの「ペッパー」は200名の募集に対して183名が応募だそうです。「さいか屋」は108名。「チムニー」は100名。「三共生興」は30名。「クックビズ」は50名。「シライ電子工業」は60名。

シチズン時計の子会社「シチズン時計マニュファクチャリング」では550名。「タツミ」では30名。「ミツバ」では関連会社も含めて500名となっています。

業種で見ても大きな偏りはありませんね、飲食業から2社、自動車産業から2社が入っているくらいです。調べた対象期間は7/15~8/13の一カ月。営業日数で19営業日ですので、ほぼ二日に一社が希望退職者の募集に係る開示をしていたことになります。

kuniも希望退職者の募集場面、4回経験しましたが、社内に会社が立ち行かなくなるのではという重い空気が漂います。たとえ社内ではなくても、こうして話題として接するだけでも、辛いものがありますね。