五洋インテックス(7519) 全取締役、全監査役が退任 インサイダーも?

2017年には子会社株の株価操作、2018年には不適切な会計処理、2019年には乗っ取り騒ぎに開示違反の五洋インテックス。今年3月には東証特設注意市場銘柄の指定を受け、上場契約違約金2000万円を徴求されました。6/2には全取締役、全監査役の刷新を公表しています。

5月26日開催予定の臨時株主総会は中止

4/24付で取締役3名、社外監査役1名の候補者を選任するというお知らせが。5/12には臨時株主総会を5/26に開催する旨の招集通知が出されます。が、しかし、5/18になると、臨時株主総会開催の中止のお知らせが出てきました。

取締役3名追加と監査役1名追加については白紙撤回し、この時点で全取締役、全監査役の全面刷新を検討していると知らせています。そして6/2、全取締役と全監査役の退任と新たな取締役5名、新たな監査役4名の選任を決議し、6/30に臨時株主総会を開催して付議すると公表しました。

これでやっと乗っ取りとか言われた際に入ってきた役員がいなくなりますね。今度の取締役候補(代表取締役社長)の川勝氏、DANTOTZ Consultingの代表取締役で、経営コンサルタントです。日産自動車から日本電産へ。電産では取締役もされていたようです。

同コンサルのホームページでは、カリスマ経営者・永守重信氏の直接指導を受けているとか、執念経営の実践導入で破綻寸前企業の1年以内の急速浮上(売上倍増)と黒字化をすべて達成、などといった説明がされてます。

インサイダー取引?

ということで、プロの経営者を招聘することになった。という評価なんでしょうかね。株価は160円辺りから一気に350円超まで急騰しました。が、最初に商いを伴って急上昇したのが5/28日なんですね。これ怪しいですね~。マズいですね。ただし、この銘柄は今後が楽しみになりました。

天馬 プロキシーファイト 監査等委員会まで登場

つい先日も取り上げました天馬株式会社。6/2にまた新しい動きがありました。会社側が6月の定時株主総会に提出する取締役選任議案に、天馬の監査等委員会が「不適切」という意見を出すことを発表しました。上場企業では初めてのケースだと思われます。

ここ最近の流れ

第三者委員会を設置して調査してきたベトナム子会社のl贈賄事件を受け、天馬は東京地検に自主申告。その後、ベトナム財務局がこの事件の事実関係を解明するため、捜査に乗り出すことが5/26に報道されます。

翌日の5/27、天馬は「物言う株主」とされる米国ダルトン・インベストメンツグループ日本法人の幹部を取締役に受け入れることを公表。同法人は現在、天馬株式の12%弱を保有しています。

監査等委員会

前回書いた通り、天馬は元名誉会長の司治氏から現行の取締役会の刷新を求める株主提案を受けています。新たな取締役候補は全員現執行役員という提案ですね。これに対する会社提案の秘策として物言う株主を取り込んだというわけです。

そこへなんと今度は天馬の監査等委員会の登場です。会社側が取締役会で決議した取締役選任議案に「不適切」という意見を出すとのこと。これはなかなか出来ないことです。同社の監査等委員会は3名。3名とも社外取締役で、うち1名が常勤監査等委員のようです。

歴史に残るかもしれないこの取締役会決議に対する「不適切」の表明。会社法第384条に基づくものです。全文掲載します。

監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類その他法務省令で定めるものを調査しなければならない。この場合において、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。

アスクル新体制 5月の「ロハコ」売上高25%増

先週末5/29の開示情報です。アスクルが公表した「2020年5月期 5月度月次業績のお知らせ」で、消費者向けのネット通販「ロハコ」の5月の売上高が前年同月比25.1%増えたとしています。これを受けて6/1の株式市場では同社株が反発、3580円の330円高となりました。

株主の議決権行使で経営陣交替

アスクルといえば、昨年の夏、筆頭株主のヤフーとプラスの議決権行使により社長と社外取締役3人が解任されましたよね。当時この解任劇に関しては、ヤフーとプラスによる横暴、陰謀であり、少数株主の意思を無視したもの、、、などとメディアも大きく取り上げていました。

正直なところ、企業のパフォーマンスを最大化できない、つまり業績を向上できない経営者なんだからこの解任劇はしょうがないよね。くらいにしか思ってなかったんですけどね。

開示の内容

ザックリと書くと、5月の売上高は前年同月比98.9%。主力のBtoB事業はコロナの影響を受けた企業活動の低下などにより84.4%に落ち込んでいます。一方で、ロハコについては、125.1%と伸びているんですね。

株価の動きは、全体としてはまだ苦戦しているものの、消費者向けネット通販の「ロハコ」の伸びを大きく評価した結果と言えそうです。「食品や衛生用品の販売が伸びたほか、物流センターの出荷能力を増強したことも売り上げ増加につながった」。開示文書にはこんなふうに書かれています。

ロハコの課題は「赤字構造からどうやって脱却させていくか」と、新社長も語っていました。昨年からの物流センターの改善と新型コロナ効果で、業績拡大。少なくとも市場はそう読み取り始めたようです。解任劇の成功事例になりそうな気がします。

第一商品(8746) 売上高の96%を占める主力事業を日産証券に譲渡

取締役会長、代表取締役社長、経理担当役員などが関与した不正会計について、当ブログでも取り上げました。何ともだらしない会社なんですが、今度は、貴金属、農産物など主な商品先物取引業を日産証券に9億円で譲渡すると発表しました。同社の売上高の96%を占める事業です。

譲渡までの背景

今年7月中に「金」をはじめとする貴金属市場、ゴム市場、農産物市場が、東京商品取引所から大阪取引所に移管される予定です。大阪取引所は金融商品取引所ですから、第一種金融商品取引業の登録が必要なんですが、それが出来ていないと。

このままでは顧客が突然取引できなくなってしまうため、顧客の取引環境を維持するため、第一種金融商品取引業の登録要件等を満たしている日産証券へ事業譲渡することになったということです。しかし、なんなんでしょう、このドタバタ感。。。

譲渡価額は9億円。影響を受ける顧客は約2600人だそうです。譲渡後に同社に残留する従業員は50名程度とのこと。第一商品の従業員数は240名ほどですから200名近くが日産証券に移ることになりますね。

OKプレミア証券の子会社化

5/25に妙な開示を発見しました。「(訂正)OKプレミア証券株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」です。第一商品がOKプレミア証券を子会社化したわけですが、この開示においてもしくじっていて、訂正版を出しているんですね。

何を訂正したかというと、、、。「また、大阪取引所(OSE)の取引参加者資格の取得手続きも進めており、」という一文が削除されてます。子会社化したOKプレミア証券を通じて大阪取引所に注文をつなぐことで商品先物取引事業を存続させようと考えていたんでしょうか。

25日の当初の開示は16時。上記の訂正版の開示が20時10分です。この4時間で、子会社化して存続・・・というシナリオにケチを付けたのは誰でしょう。OKプレミア証券の特別顧問に、元金融庁証券取引等監視委員会事務局長の名前があったりもします。有名な人です。

日立金属 品質不正を受け 社長ら5人引責辞任

先月末、発覚した検査不正に関し、外部の専門家から構成される特別調査委員会を設置して調査を行っていた日立金属ですが、5/27、社長ら5人の引責辞任を公表しました。日立製作所出身の西山光秋会長兼最高経営責任者(CEO)が6月から社長を兼任するそうです。

検査不正の経緯を復習

2020年1月、安来工場において製造する特殊鋼について、品質に係る不適切行為が行われている旨の情報提供を受け、一部において不適切行為が行われていたことを確認しました。

同じ1月、今回新社長になる日立製作所の西山光秋・執行役専務兼最高財務責任者(CFO)が、日立金属の会長兼最高経営責任者(CEO)に就く人事を内定したと報じられました。就任は4月1日付です。

4月27日、当社(日立金属)及び子会社の一部製品における検査成績書への不適切な数値の記載等について、という検査不正に関する公表が行われています。特別調査委員会もこの時点で設置を表明。今もなお調査は継続中です。

日立の子会社管理

こうして一連の流れを確認してみると、検査不正を把握した1月時点で、日立としては日立金属の経営陣の更迭を決めており、実質的なすべての権限は日立から送りこまれた西山氏が握っていたということでしょうね。

20年3月期の決算発表に合わせて、検査不正が行われていた部門の責任者(社長含めて5名)を辞任させることも既定路線ということのようです。

佐藤執行役社長、渡邉執行役常務、長谷川執行役、平野執行役、平木取締役の5名が5/31付で辞任、または退任となっています。プロパーの社長に代わって親会社の専務が社長兼会長に。日立としても何が何でも建て直して、早く売らねば、、、なんでしょうね。果たして現場がついてくるかどうか。