農林水産物輸出、1兆円に届かず

少し前になりますが、農林水産省が「2019年の農林水産物・食品の輸出実績」を公表していました。輸出額は9,121億円、前年比0.6%の増加にとどまりました。農産物は3.8%増ですが、林産物、水産物がそれぞれ-1.4%、-5.2%となっています。国別でみると、輸出先1位は香港、2位が中国、3位が米国です。

7年連続で過去最高を更新

政府の目標の1兆円には届きませんでしたが、それでも7年連続で過去最高を更新です。年後半から、香港でのデモが本格化したことが大きく影響しましたね。2,000億円以上輸出する国が3.7%減です。さらには日韓関係が悪化して日本産品の不買運動の影響で韓国向けも21%減少しています。

ここで問題です。輸出先ベスト3の国における最も多く輸出した輸出品目(産品)はなんでしょう?これがなかなかイメージできない産品なんですね。

おもな輸出品目

香港の1位は、真珠です。そして中国における1位は、ホタテ貝です。そしてなんと米国における1位は、ブリなんですね。アメリカ人がブリを食べる姿、想像つかないんですが、日本の脂ののった養殖ブリ、大人気なんだそうです。

輸出品目別にみてみると、ブリは45.4%増と大きく伸びています。計算してみると7割ほどは米国向けですね。あと大きく伸ばしてきてるのが牛肉、いわゆる和牛というヤツですね。20%増加しています。

一方で大きく減少したのが、「さば」で22.8%の減。サバは漁獲量が減ったところに、日本国内でのサバ缶人気が影響したんでしょう。以前書いた越前田村屋の焼き鯖ずし、食べたくなってきた。

とまぁ、19年は少し残念な結果でしたが、20年も1兆円目指しましょう。年初から新型コロナウィルスで大苦戦でしょうが、関係者の皆さん頑張ってください。

愚者の鏡 日本経済新聞

昨日の日本経済新聞の1面トップ記事。「外出自粛、消費にブレーキ 新型肺炎で大阪など人出急減」です。もういい加減に新型肺炎卒業してくれんかな。1面にはもう一つ、「陰性の乗客、下船ほぼ完了」というのもあって、両記事で紙面の半分が新型肺炎関係です。

いつまで煽り続けるんでしょう

感染拡大を防止するため、政府が不要不急の外出や集会等への参加を控えるよう要請してるわけです。人出が減るの、当たり前でしょうに。それをまあ、携帯電話の位置情報から大阪・梅田が15%減、京都が14%減、東京が6%減、横浜が10%減などと騒ぎ立ててます。

年明け早々大騒ぎしたイランの様子、、、最近見聞きしないと思いませんか。アジアは新型肺炎で大変そうだから、イラク国民もおとなしくしてくれてるんですか。なわけないでしょう。日本のメディアが一番みんなが読んでくれそうな下らん話ばかり書いてるから、大事な情報が入らなくなってるだけです。

愚者の鏡

世の中には常識があり相応にリスクコントロールできる人が2割、そうでない、何もかもに振り回されてリスクコントロールできない人が8割いる。そんな感じでしょうか。メディアは当然8割の人たちが読んでくれる記事を書くわけですね。日経にしてもこれは同じ事です。

それでも2割の人たちの中にも日経を毎日読む人たちがいるのは何故でしょう。それは新聞が愚者の鏡だからなんです。8割の人たちがどう感じてどういう行動を起こしそうか、が見えてくる貴重な情報源だからです。特に市場関係者はそういう読み方をします。それゆえ日経の相場観は当たりません。

マーケットでは8割の損する人たちがとても重要なんですね。2割の相場巧者が儲けて売るためには、その場面で強気で買ってくれる人たちが必要ですから。。。と、ちょっと頭にきて、、、書き過ぎました。今日の投稿は読んだらすぐに忘れてください。

ネットワンシステムズ 新たに発覚した原価付替取引

2/13に公表された、「特別調査委員会の中間報告書受領及び公表に関するお知らせ」では、調査期間を1カ月延長し、3/12を目途に最終報告書を受領する旨の説明がありました。その中では、調査の過程で、「原価付替取引」が存在することが発覚したため、、、という話もありました。

原価付替取引(ゲンカツケカエトリヒキ)

今では全部で9社が関与したといわれ、注目を集めていますので、ついつい架空循環取引の方に目が向いてしまいますが、新たに原価付替取引も発覚したようです。公表文の中では次のような表現になってました。

「特別調査委員会による調査の過程で、本不正行為に類似する不正(原価付替取引)が存在することが発覚し、当該不正の疑いに係る会社との平成20年以降の直接取引を対象として追加調査を実施することが必要になったことから・・・」

原価 付け替え

原価とは、商品を提供するために必要とした費用といっていいでしょうか。かなり雑な説明ですが。材料費に加え、労務費や光熱費などすべての費用を足し込んだものです。例えば、売上げ1000万円のシステム開発に800万円の原価が計上されていれば、200万円の利益ということになります。

逆に800万円の売上しかないのに、原価が1000万円かかってしまうと、200万円の赤字ということになります。この時、会計上原価として認識していた1000万円のうち、300万円分を他のプロジェクトに掛かった費用として不正に計上すると、100万円の利益が出せるわけです。この行為を原価の付け替えと言います。

昨年6月に電気興業(6706)という会社が、この原価付替取引の発生に関する調査結果を公表していました。コンプライアンス意識の欠如や原価計上ルールの不徹底など、発生原因が分析されていましたが、最も大きな原因は「赤字案件を発生させないというプレッシャー」でした。

赤字案件を戒める過度な手続き(経営への赤字上申書など)がプレッシャーとなり、原価の付け替えという不正の動機になっています。おそらくネットワンでも同じ状況があるんでしょう。ここでも見積書の案件名の書き換えなど、協力している業者が出てきそうですね。

新型コロナウィルスに乗じたフィッシング詐欺に注意

当ブログでも何度か取り上げたことのあるフィッシング詐欺。新型コロナウィルスに関連した新しい手口も確認されたそうです。お店で手に入らなくなったマスクを無料でとか、在庫があるように見せかけた悪質なショッピングサイトに誘導するといった手口のようです。

フィッシング

日本サイバー犯罪対策センターが2/4付で注意喚起しています。まず一つ目はフィッシング。以前、佐川急便等の運送会社を名乗ったSMSを利用したフィッシングが話題になりましたが、ほぼ同じ手口だそうです。

SMSで送られてくる文面は「新型コロナウィルスによる肺炎が広がっている問題で、マスクを無料送付確認をお願いします」というもの。これに応じるとフィッシングメールをばらまく不正アプリがインストールされてしまうらしいです。踏み台にされるということですね。

SMSの文面自体は不自然な日本語なんですが、日本国内これだけパニクってる状況ですから、思わずタップしてしまう人が居るんでしょうね。利用者の心理につけ込んだ非情な手口です。

悪質なショッピングサイト

インターネット利用者がマスクなどを検索した際、上位に表示されるように細工されているサイトのようです。そのリンクを押下した利用者は悪質なショッピングサイト(公式サイトをに偽装した偽ページ)に自動的に転送されます。そこでは商品を発送しなかったり、会員登録時の個人情報や決済時のクレジットカード情報等を盗み取るんだそうです。

このようなサイトで、マスクの在庫があるように見せかけるわけですね。今、「マスク 在庫あり」で検索してみたところ、楽天市場や通販モノタロウ、ビックカメラとかいろいろ出てきます。名前の通った企業だからといって安心はできません。そもそもそのリンクが偽物だったりするわけですから。読者のみなさま、お気を付けください。

SMBC日興証券 プロスペクト インサイダー取引

2/19付の日本経済新聞には、SMBC日興証券のインサイダー取引事件をめぐる民事訴訟のニュースと、プロスペクト(3528)のインサイダー取引のニュースがありましたね。全く関係のない2件のインサイダー取引に係る記事です。

SMBC日興証券

以前、当ブログでも取り上げましたが、SMBC日興証券の執行役員(当時、三井住友銀行から出向中)がTOBに係るインサイダー情報を知人に提供し、3600万円の利益を得たという事件が事の始まりです。当時の金商法では、情報提供者を処罰する規定がなかったため、最高裁までもつれた事案です。

結局、最終的には横浜地裁で教唆犯が成立しているんですが、法令ギリギリのところで塀の向こう側に落ちた感じでしょうか。この件についてはいろいろと裏の話もあったようで、、、。

で、今回はSMBC日興証券が、この事件のおかげで社会的信用を失ったとして、この元執行役員を相手に損害賠償を求めていたということですね。日興証券の社長は今では三井住友銀行出身ですから、三井住友銀行が元行員(執行役員)に訴訟起こしてるようなもんですが、結局この請求は棄却されました。

プロスペクト

一方、プロスペクトは東証2部上場、、元は繊維会社です。バブルが弾ける頃から不動産業に進出し、これも上手くいかなくなって、太陽光発電関連など、最近では事実上投資会社みたいな会社になっているようです。

昨年2月14日、同社が無配と特別損失を公表する際、当時株主だった伸和工業とその社長の西村氏はインサイダー情報を得て直前に売り抜けた疑いを掛けられており、証券取引等監視委員会が強制捜査を行ったというニュースです。インサイダー情報を提供したのはプロスペクトの元執行役員でした。こちらは既に解任されています。

この事件にはまだまだ続きがありまして、、、。西村氏は売り抜けた後も再度プロスペクト株を買い戻し、主要株主になるまで買い増ししています。で、昨年11月に臨時株主総会の招集をプロスペクトに請求。

まぁ、簡単にいうと西村派の役員を入れて会社を支配しようということなんですが、その最中に、監視委員会のガサ入れを受けたというオチなわけです。インサイダー取引で挙げられた人物が会社の乗っ取りとは、、、ゲッコーか。