象印マホービン 最大28万件の顧客情報流出 フィッシング詐欺も

象印マホービンは、同社のグループ会社が運営するショッピングサイト「象印でショッピング」がサイバー攻撃を受け、顧客情報最大28万52件が流出した可能性があると発表しました。流出した情報のうちメールアドレスが使われ、いわゆるフィッシングサイトへの誘導も行われています。

ショッピングサイト システムの脆弱性

28万件というのは、同サイトの利用者全員のことのようですね。最初に目にしたときはリスト型アカウントハッキングかと思いましたが、全部抜かれているとなると違いますね。システムの持つ脆弱性を突いたまさにハッキング。顧客情報を抜かれたうえ、サイトもフィッシングサイトに改ざんされてしまったようです。

顧客情報にはクレジットカード情報は含まれていなかったようで、そのため攻撃者はカード情報を手に入れるため、手に入れたメールアドレス宛に、フィッシングサイトのURLを添付した不正メールを発信。URLをクリックした顧客はフィッシングサイトに誘導されます。

そこでカード情報とパスワードを入力させ、これを盗み見しようとしたわけです。っていうか、入力した情報は盗み取られてるでしょう。実際に使われた誘導の文句は「おめでとうございます。オリジナルQUOカードキャンペーン実施中」。ログインすることで手に入るという流れでしょうか。

狙われたサイト

象印ユーサービス株式会社が運営するこの「象印でショッピング」。今は閉鎖中で確認できないんですが、どうやら同社商品の部品や消耗品を販売するサイトだったようですね。高額の買い物する顧客もなく、そのため、サイトの安全性に対する配慮が不足した、、、といった面はあったのかもしれません。

しかし、攻撃者は顧客の情報が手に入ればいいわけですから、サイトの安全対策は怠れません。フィッシングサイトがこれほど簡単に、かつ本物らしく作られちゃうわけですから、顧客のメールアドレスだけだとしても管理はしっかりしてくれないと。これ、すべてのサイトへの教訓ですね。

給料ファクタリング 債務者を食い物にする輩

給料を事実上の担保として資金を提供し、法外な手数料を要求する「給料ファクタリング」の被害が広がってきているようです。SNSを通じた融資の投稿に、前借りする感覚で利用するケースが目立つと言います。金利ではなく手数料を取るサービスですので、利息制限法の規制を受けません。

総量規制 → 銀行個人向けカードローン → 給料ファクタリング

消費者金融に手を出し、多重債務の罠にはまる。借金を借金で返す悪循環を繰り返し、挙句の果てに自己破産や自殺といった社会現象が問題になりました。多重債務者をなくそうと導入されたのが総量規制です。年収の3分の1までしか借り入れができないというヤツですね。

すると今度は、低金利で収益の上がらなくなった銀行が、総量規制の制約を受けないことを良いことに、個人向けカードローンを積極的に取り上げます。数年間でカードローン残高は倍増し、6兆円まで積み上がります。

銀行が収益のためになりふり構わず拡大させた個人向けカードローンでしたが、やはりその倫理観が社会的に問題視されるようになり、金融庁が止めを刺す格好でピークアウトします。これで銀行は飯の種を一つなくしてしまいました。

銀行がカードローンで貸さなくなっても、借りたい人が居なくなるわけではありません。需要がある限り、それにこたえようとする(付け込もうとする)輩が出てくるんですね。次の役者がファクタリング業者というわけです。

SNSは少額債権の宝庫

ファクタリング業者は、もともと中小企業が持つ取引先への売掛債権をターゲットにしてきたわけですが、少額でより債権回収が容易な個人の給料に目を付けたわけです。比較的若い人が大勢閲覧し、知らない相手とのコミュニケーションも障害になりにくいSNSは、彼らにとって最高のツールになっているようです。

業者に住所と会社名、月給、支給日などを送ると、その日に10万円振り込まれてくる。融資条件は1カ月後に手数料を含む15万円の返済という具合です。年率600%の計算になります。それでも、金利と違って手数料は法律で規制されていません。今のところ法に抵触する行為ではありませんが、かなり悪質な行為です。皆さん気を付けましょうね。

チャレナジー(Challenergy) 垂直軸型マグナス式風力発電機

マドリードで開催されている第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)。小泉環境相の演説は不評でしたが、民間はジャパンパビリオンを展示して頑張っているという報道がありました。その中でも目を引いたのが、チャレナジーの垂直軸型マグナス式風力発電機です。

チャレナジー(Challenergy)

2014年に設立された会社のようです。社長は清水敦史さん。東日本大震災がきっかけになり、キーエンスのエンジニアから転じてこの会社を設立。垂直軸型マグナス風力発電機を発明されたんですね。

ホームページの社長の挨拶。「風力発電にイノベーションを起こし、全人類に安心安全な電気を供給する」とあります。「大手電機メーカーで研究開発に従事していた当時に、東日本大震災とそれに伴う原発事故を目の当たりにし、エンジニアとしてエネルギーシフトに革命をもたらす事業を興すことを決意しました」とも。  メチャカッコイイっすね。

マグナス式風力発電

マグナス力について、同社のホームページでは次のように説明されています。

回転する円柱または球が一様流中(風や水の流れの中)に置かれたときに、その流れの方向に対して垂直の方向に力が働くことを「マグナス効果」といい、こうして生み出される力(揚力)がマグナス力です。野球のカーブボールやゴルフのスライスといった現象も同じ原理によるものです。

いろいろメリットはあるようですが、最大のメリットは台風のような激しい風でも安定して発電できることだそうです。kuniも実は気になっていたんですね。最近当たり前のようにやってくる大型台風とか、あの大型プロペラの風力発電って大丈夫なのかと。あまり報道されないけど、実際にはけっこう壊れてるみたいです。

台風や突風に強く、一般的な風力発電と比較して低回転のため、騒音やバードストライクなど環境影響の低下も期待できるとのこと。既にTHKが量産化の支援もしているみたいです。期待できそうですね。

もし同社の方が読んでおられたらですが、ホームページのニュース一覧、12/2のニュース、、、COP24になってますよ。

神奈川県情報流出 やってくれるやないかぃ ブロードリンク

神奈川県庁のハードディスクが犯人によりヤフオク等で不正に転売され、情報流出が懸念されている事件。3年以上にわたりブロードリンク社から持ち出した記憶媒体等、計7844個をネットオークションへ出品、落札されていたとのこと。凄い量ですよね。毎日7商品ずつ出品してた計算になります。

発覚の端緒

今回の問題では、廃棄したはずのハードディスクがネットオークションで転売されていたという外部からの連絡を受けて、ブロードリンクが11/27に社内調査を始めたようです。手荷物検査などから12/3に容疑の男を特定し、12/6に被害届を出し、同日夜、緊急逮捕となっています。

犯人のものとみられるヤフオクのアカウントには、5000件以上の取引記録があり、約2000万円の売り上げがあったともいわれています。出品の記録と同社で取り扱った記憶媒体とを突合させ、社内から持ち出されたものかどうかを精査すると言いますから、このあと新たな被害顧客が一体何社出てくることやら。

神奈川県以外の顧客分も

こうなると当然、神奈川県以外の顧客についても注目されることになります。当初の報道でも、ほかに防衛省や最高裁判所などがブロードリンクとの取引があると伝えられていました。「当社はブロードリンクと取引ないんだろうな」の経営の一言で社内は大混乱。

サーバーやPCの廃棄処分を委託する業者の中に、ブロードリンク社が入り込んでいないか。ブロードリンク以外の業者であったとしても、ちゃんと廃棄証明書を受領し、保存できているか。全国の企業でこうした調査が始まっているはずです。kuniの周りもすでにそうなっています。

今回のケースがそうだったように、委託先は大丈夫でも、再委託先にブロードリンクが入っていることもありますしね。この業界再委託や再々委託なんてしょっちゅうなんで。「やってくれるやないかぃ、、、ブロードリンク」。全国でそんな独り言を口にしながら悉皆調査に翻弄されるIT担当者の皆さん、めげずに頑張ってください。

日本フォームサービス 有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令(その2)

昨日は監査法人の話で終わってしまいました。日本フォームサービスも酷いですね。6月に公表された第三者委員会の報告書を読みましたが、正直言って上場するレベルの会社じゃなかったようです。すでに9月、前社長含む取締役3名、監査役3名いずれも退任してしています。

第三者委員会の報告書

報告書からいくつかご紹介。取締役会は事業報告には毎年度12回開催しているとし、議事録も存在するが、実際は毎年度3回ずつしか開催されていない。監査役会は毎年度4回開催されたことになっているが、実際は監査役会は開催されたことはなかった。凄いでしょ。

ワンマン社長が、社長ミーティングなる会議ですべてを指示してお終い。そのため議論するための会議は必要なし。こんな会社だったようです。社長ミーティングや経営会議の録音データの一部が残っていたようで、第三者委員会はこのデータに基づき、粉飾の手口を解明していきます。

しかし、、、なんで録音データなんか残ってたんでしょうね。一部には社長のやり方に反発する向きもあって、その証跡にと・・・。といった妄想してしまいます。

粉飾の手口としては、「仕入れの未計上」、「在庫の水増し」、「預かり在庫売り上げ計上のための偽装」、「収益の前倒し計上」、「費用の未計上」、「賞与引当金の過少計上」、「減損認識の操作」、「連結会社間の利益の付け替え」などなど。社長指示に基づき、経営陣も認識する意図的な会計操作の嵐です。

反面教師として

社長のトップダウンですべてが決まる危うい会社。このサイズの企業では決して珍しくないですよね。メリットもあるでしょうが、トップの暴走を止めるはずの取締役や監査役が全く機能していません。社外取締役についても、この会社は否定してきたようです。そりゃそうでしょうね。

コーポレートガバナンス・コードが求める様々な対応、、、何故そうした対応が必要なのかを考えるにあたり、とても良い例題になりそうな企業です。