水没する都市 ジャカルタ 浮き上がる都市 東京

インドネシアが8/26、ジャカルタからボルネオ島の東カリマンタン州への首都移転を発表しました。ジャカルタは東京23区とほぼ同じ面積に1000万人が暮らす都市ですが、この首都を捨てる原因の一つに地盤沈下があります。

1年に20cm

ジャカルタは1年に約20cmの速度で地盤沈下していて、試算によると2050年までに、この都市の3分の1は水没すると言われています。原因は地下水をくみ上げ過ぎているから。巨大な防潮堤を築く計画があるようですが、これもまた同じように沈んでいくでしょう。地下水をくみ上げる以外の方法で、清潔な水を手当てできるようにならない限り、水没は止められそうにありません。

最初に水没する都市と予想されたのは東京

今では東京に住んでいる人でも知らない人の方が多いかもしれません。実は東京では関東大震災のあとから戦後の復興、高度成長期に至る過程で、ジャカルタ同様地盤沈下が進みました。やはり、工業化が一気に進む中での地下水の過剰揚水が原因です。

当初、地盤沈下の原因は地震に関する地殻変動と考えられていましたが、30年近くかかって、地下水のくみ上げが原因であることが分かってきました。そこから地下水の揚水を規制する法律が整備され、地下水位の上昇(回復)とともに沈下は沈静化します。

浮き上がる東京

ところが、地下水の水位上昇に伴い、新たな課題も出てきているようです。昭和50年代との比較で20m以上も水位が上昇したため、その間に造られた地下構造物が地下水の上に浮き上がる現象が起きているとのこと。新幹線上野駅は浮き上がらないように3万トンの鉄の錘で基礎地盤に固定してるんだそうです。

沈む都市あれば、浮かぶ都市あり。東京のこの経験はジャカルタで是非役立ててほしいですね。水位を復活させることもそうですし、その前提となる水のリサイクルや海水の淡水化といった技術に関しても、、、日本が支援できることはたくさんありそうです。

スーパーコンピューター 「京」 シャットダウン 「富岳へ」

8/30 理化学研究所は神戸市の拠点で、スーパーコンピューター「京」をシャットダウンしました。2012年から7年間稼働し、その役目を終えました。お疲れさまです。「京」は近く解体が始まり、同じ場所に後継機の「富岳(ふがく)」が構築される予定です。

「京」のいろいろ

開発中の2009年11月には、民主党政権下の事業仕分けで、「なぜ世界一を目指すのか、なんで2位ではダメなのか」と蓮舫議員に追及されていた、あのスーパーコンピューターですね。世界一には間違いなく意味があると思いますが、開発費1100億円、もう少しコストダウンできないものかとも思います。

スパコンの「京」は、単純な計算速度のランキングであるTOP500で当初世界1位になりましたが、その後はベスト5くらいの実力。引退直前のランキングでは20位まで順位を下げていました。ところが(ココが大事)、複雑なデータ処理の速度を表すGraph500というランキングでは9期連続で1位を獲得。今年6月時点でも1位を獲得しています。

ハードウェア

意外と知られていないのがハードウェア。kuniも今回調べて初めて知りました。全体で864のラックで構成されているそうで、全部でCPUは88,128個だそうです。一つ一つのCPUの性能は一般的なサーバーのCPUと大きく違わないみたいですね。OSはLinuxです。

で、圧巻はこの864ラック全体で1.5トンの重さだそうで、これを収める部屋は60m×50mで3000㎡の柱のない空間だそうです。オリンピックの競泳会場くらいの感じですかね。kuniも仕事の関係でデータセンター見に行ったりしますが、一部屋でこれほどデカいところは見たことありません。

後継機 富岳

2014年から開発はスタートしていて、やはり「京」と同じく富士通との開発になります。完成すれば「京」の100倍以上の計算速度と言われてます。理化学研究所のHPでは「富岳」の工事の進捗状況を公開していました。「富岳」を水で冷却するための配管工事や、電力を供給するための高圧ケーブルの敷設工事が行われていて、順調に進んでいるようです。再び、世界一になりましょう。

南海電鉄に続き大阪メトロでも台車に亀裂

南海電鉄の特急「ラピート」の台車で、長さ14センチの亀裂が見つかったというニュースがありましたが、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の御堂筋線の台車でも、7月に亀裂が見つかっていたことが分かったそうです。ラピートの台車と製造会社は同じでした。

日本製鉄株式会社(5401)

この件を巡っては、先に南海電鉄の通勤列車でも平成26年以降、台車に亀裂が10か所以上、見つかっていたことが報じられています。これに続く形で大阪メトロでも、、、ということです。

亀裂が見つかった南海電鉄の特急「ラピート」と通勤列車の台車は、いずれも「日本製鉄」が製造していました。さらに、大阪メトロについても「ラピートの台車と製造会社は同じだった」と報じられていますので、これも日本製鉄製ということです。

ちょっと社名に馴染みがない方もいらっしゃるでしょうか。昔の新日鉄です。八幡製鐵所の流れを汲む新日本製鐵(新日鉄)と、住友グループの鉄鋼メーカーである住友金属工業が2012年に合併して新日鐵住金となり、さらに2019年4月1日に新日鐵住金から日本製鉄に商号変更してますね。

昨年度、後を絶たなかった検査不正でしたが、最初に大きな問題として取り上げられたのが神戸製鋼所でした。この神戸製鋼所の品質データ改ざん・捏造問題は、日本の製造業の信頼性をも揺るがす事態となったわけですが、実は10年ほど前には日本の多くの製鉄会社で検査データの捏造などが見つかっています。

その中には当時の新日鉄も入っていました(正確には子会社ですが)。5年間にわたって製造した配管用のステンレス鋼管12万本あまりについて、日本工業規格(JIS)で定められた水圧試験を行わず、試験データを捏造し、「新日鉄ブランド」で出荷していたというものです。

検査不正 再び?

神戸製鋼所の件では同社特有の問題であって、他の鉄鋼会社は大丈夫。という感じで報道されていたように思いますが、今回の台車の亀裂の問題、検査不正等へと繋がっていかなければ良いのですが。。。

おまけ

株屋はこの会社の社名を書くとき、kuniもそうでしたが、「鉄」という字の右側の部分、「失」ではなく「矢」と書いていました。縁起が良くないんですね、金を失うと書くのが。もうかなり昔の話ですけどね。

再生エネルギー 地熱発電 増感型熱利用発電 新型熱電発電素子

「すべての電力を再生可能エネルギーで供給する鍵は地中にあり」というレポートを読みました。ここでいう地中とは、地熱エネルギーを指しています。「地熱発電で米国の電力の20%を賄えるという試算が環境系シンクタンクによって発表された」と伝えています。

シンクタンク「ClearPath」

クリーンエネルギーの推進を目指す保守系シンクタンク「ClearPath」が5月に作成した報告書だそうです。これまで米国で地熱発電が注目されなかったのは、推進のための優遇措置が取られてこなかったからだとも言ってます。風力発電や太陽光発電では30%の税額控除があるが地熱は10%だそうです。

他にも、地熱エネルギーを得るための掘削に必要となる環境関連の相当面倒な承認プロセスも、普及を妨げてきた理由の一つとしてあげられています。他にも、水圧破砕法という方法での掘削には、地震が発生するリスクもあるとか。実際に韓国で起きてるようです。ただし、報告書は何の障害もなく得られるクリーンエネルギーなど存在しない、と言ってますけどね。

「増感型熱利用発電」の開発に成功

そんなこともあって調べものをしていたら、「増感型熱利用発電の開発に成功」というニュースを見付けました。「太陽電池では光エネルギーにより生成した電子を利用するが、この電池では熱エネルギーにより生成した電子を利用する」と説明されています。この発電装置を熱源に埋めて、回路のスイッチをオンオフするだけで、熱エネルギーで直接発電が可能とのこと。この熱源というのが50℃でいいというのが、これまた凄いところです。

地熱発電では地下水を水蒸気化し、タービンを回して発電します。今回開発された増感型熱利用発電では、熱源に埋め込むだけでその新型熱電発電素子から電流が取り出せるという優れものです。地熱発電にも使えますし、工場等から排出される排熱の有効利用にも使えそうです。

この研究は東京工業大学と三櫻工業(6584)によるもので、プレスリリースを出した7/18から3日間で、三桜工業の株価は36.8%上昇しています。その後、元の株価水準に戻ってしまいましたが、この技術が実用化できるかどうか、、、期待したいと思います。

野村證券 山陰合同銀行

8/26 日本経済新聞で「山陰合銀、野村と仲介業提携 20年度にも証券口座を移管」という記事がありました。山陰合同銀行とごうぎん証券が保有する証券口座を野村のシステムに移管し、野村証券松江支店が保有する証券口座も、そこへ集約するとのこと。

仲介業の新しい形

今回、野村證券と山陰合同銀行が模索する仲介は斬新だと思います。本業だけで生き残ることが難しい地方銀行にとって、手数料ビジネスとしての証券業務は不可欠です。ただし、そのためにシステムや事務といった大きなコストを負担しながらというのは、もう限界なんですね。

山陰合同銀行にとってみれば、野村の支店に出向して業務をするようなものです。極端な話、名刺だけあれば他は全部野村の装備で済んでしまいます。おまけに、当面は証券のコンサルティングノウハウまで野村の社員が教えてくれるわけです。

地方の銀行でよくある相続による顧客離反。相続が発生すると、相続人の息子や娘は東京に住んでいる。そのため手続きが終わると東京のメガバンクに口座を移され、顧客との付き合いが完全に終わってしまうという問題です。こうしたケースでも、全国に支店を持つ野村が間に入ることも可能になるかもしれません。

その他の効果

全国に展開するんですかね。地銀と証券大手の新しい関係として注目されます。東海東京やSBIに続く、地銀との新コラボ形態。野村にとっても、店舗に係るコスト削減や、社員が望まない地方転勤の回避という難しい人事上の課題を解決する糸口になるかもしれません。店舗を廃止して、その顧客は地銀の担当者に任せることができるわけですね。

島根県にはもうひとつ、島根銀行という地銀があります。金融庁が最も心配している銀行の一つですね。野村が島根県の顧客を託す相手に選んだのは、やはり山陰合同銀行でした。残された島根銀行はどう出るでしょう。引導を渡された形になるんでしょうか。こういう形で地銀の整理が進む、なんてこともあるかもしれません。お隣の鳥取県には野村の米子支店があったはず。鳥取も注目です。