リクナビ問題38社 第1号はホンダ

日本経済新聞によると、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、「内定辞退率」の予測を企業に販売していた問題を巡り、ホンダが予測データを購入していたことが9日、分かったとのこと。購入した企業名が明らかになるのは初めて。ホンダとしては選考の合否判定には使っておらず、問題はないと言ってるようです。就活生への説明などは今後、対応を検討するようです。

日経の特ダネ

日経 xTECHの取材で判明したようで、まさに日経の特ダネですね。が、しかし、8/10の日経朝刊では7面で報道。おまけにリクルートホールディングスの4~6月期決算が過去最高を更新したというデカい記事に隠れるように添えられています。ビッグな広告主ですもんねぇ。1面トップで報道というわけにはいかなかったんでしょう。ちなみに、kuniが読んだのは電子版です。紙の新聞の場合は版によって紙面の取り扱いが違うかもしれません。

ここまでこの疑惑の38社について、一切の報道がありませんでしたが、日経はどうやってこの情報を仕入れたんでしょう。もちろん情報源を明かしたりはしないでしょうが、ホンダの内部からの情報提供を受けての取材という線が一番ありそうですかね。

38社のネームはいずれ公表されるでしょう。であれば独禁法のリーニエンシー(課徴金減免制度)みたいなもんで、一番最初に手を挙げた方が、最終的な企業のダメージは小さいと思われます。ホンダ自身が日経と、紙面での取り上げ方や報道のトーンまで事前調整したうえで記事を書かせた、なんてのもありかもしれません。ちょっと考えすぎでしょうか。

この後自主申告は出るのか

第1号はホンダで確定しましたが、これを受けて自主申告する企業とか現れますかね。第2号が出ると、その他の会社はあせるでしょうねぇ。もともとリクナビはともかく、情報買った企業ってどうなのよ、と皆さん感じていたと思います。kuniもまさにそんな感じでいたところに、日経が第1号のホンダを妙な取り上げ方するもんですから。。。いろいろと考えてしまって、、妄想しまくりですわ。

TOYOTAのKINTO(その後)

最近テレビのCMよく見るようになりましたね、TOYOTAのKINTO。佐藤浩市と松田翔太が出てるやつです。相当CMにはお金かけてるみたいですが、KINTOのサービスそのものについてはあまりいい話を聞きません。先行した都内での契約もサッパリだとか。にもかかわらず、この7月から全国展開とCM攻勢です。

トヨタ「販売店網」崩壊の始まり

「選択」8月号ではこのようなタイトルの記事が掲載されています。KINTOをはじめとするトヨタの事業戦略について、販売店=ディーラーの目線で取材・分析した記事になっています。4系列ある販売店の統合や、販売店での他商品販売等の多角化、そして販売店にとって全く魅力のないKINTO、カーシェアリング事業などについて触れています。

で、どれもこれも販売店にとっては魅力がなく、大コケまたは大コケしそうなものばかり。販売店は生き残りをかけた改革を迫られている中で、トヨタ側から儲かりもしない新サービスを押し付けられている構図というわけです。そして最も問題なのは、販売店には「トヨタが都合よく店舗の再編を進めようとしている」というふうにしか映っていないところでしょう。

押しも押されぬ業界トップが

我が国の各業界の雄がおかしなことになってきています。野村證券、セブン&アイにトヨタ。特にセブンとトヨタは販売形態が似ていて、同じようなこと(本体への不信感が募り、そうした情報がかなり外部へ伝わってしまっている)が起きている感じです。野村の場合は支店の販売部隊まですべて正社員ですが、やはりここにも本社に対する不信感は相応にありそうです。

業界トップであるがゆえに、いち早く構造改革や事業モデルの転換にチャレンジしている。だからこそ、最初に不協和音が聞こえてくるのかもしれません。日立製作所あたりは上手くやってるんでしょうかね。かなり変わってきているようです。そして最も成功したと言われているのがソニーですか。両社においても構造改革の過程ではいろいろあったんでしょうけどね。

トヨタが提案する新しいクルマとの関係、愛車サブスクリプションサービスKINTO。kuniは相変わらずその魅力が理解できないでいるんですが、、、さてさて、全国展開の結果はいかに。。。

金融機関のITガバナンス 金融庁ディスカッション・ペーパー

「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティスの整理」というディスカッション・ペーパーが、6月に公表されています。平成11年にはシステムリスク管理態勢に係る検査マニュアルを策定していて、平成14年には「システム統合リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」が策定されています。

金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)

平成30年6月には「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)」が公表されています。この基本方針を踏まえ、個々のテーマや分野ごとのより具体的な考え方と進め方を、議論のための材料であることを明示した文書(ディスカッション・ペーパー)の形で示すこととしていました。

「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティスの整理」はその一環として取りまとめられ、公表されたという位置付けになります。また、平成11年と14年に公表されたチェックリスト等は検査マニュアルに示されていましたが、その検査マニュアルが廃止され、今回のディスカッション・ペーパーが置き換わるようなイメージになるんですかね。

なお、このディスカッション・ペーパーにはサイバーセキュリティについては含んでいません。昨年10月に「金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組み方針」がアップデートされているので、そっちを見てね、ということのようです。

超ザックリまとめてみると

「経営者がリーダーシップを発揮し、ITと経営戦略を連携させ、企業価値の創出を実現するための仕組みである『ITガバナンス』が、適切に機能することが金融機関にとって極めて重要となっている」と言ってます。経営者のリーダーシップ、ここがキモです。そのうえで金融機関との対話を進めていく際の基本的な考え方・着眼点として次の6点をあげています。

① 経営陣によるリーダーシップ
② 経営戦略と連携した「IT戦略」
③ IT戦略を実現する「IT組織」
④ 最適化された「ITリソース(資源管理)」
⑤ 企業価値の創出に繋がる「IT投資管理プロセス」
⑥ 適切に管理された「ITリスク」

この他に、金融機関との対話の進め方や、留意点。検査・監督の基本的な進め方などが整理されています。金融機関のご担当の方は既にお読みになったと思いますが、まだの方は是非。全16ページでコンパクトにまとまっています。

みずほFGが「責任銀行原則(PRB)」に署名?  Principles for Responsible Banking

8/6付け日本経済新聞の記事より。当ブログでも過去に取り上げたことのある「責任銀行原則(PRB)」にみずほFGが署名したとか。「みずほフィナンシャルグループ(FG)」は、国連が銀行に社会的責任を果たすよう求めて提唱している「責任銀行原則」に署名した。」(原文のまま引用)

日本から3行目

今年1月には三井住友トラスト・ホールディングスが支持を表明しましたし、2月には三井住友フィナンシャルグループが同じく賛同を表明しました。支持と賛同という違う言葉を使いましたが、それぞれ両社がプレスリリースで使用した言葉です。

これに加えて、みずほフィナンシャルグループが名乗りをあげたということで、日本の銀行としては3行目になるかと思います。

なんでみずほFGだけが「署名」?

で、日経の記事ではみずほFGが「署名した」となっているんですね。先行した2行は支持や賛同を表明しただけなんです。みずほのプレスリリースを見ても「正式に署名しました」とか、「責任銀行原則発足時の署名者となる」とか書いてて、妙に威勢が良いのです。

責任銀行原則は2019年9月にニューヨークで開かれる国連総会で発足する予定でした。そこで初めて署名が行われるという流れだったはず。。。ということで調べてみました。

UNEP FINANCE INITIATIVE というホームページに、何かそれらしきことが書かれてました。以下引用です。

「ニュース!、責任銀行原則の最終原則とそのフレームワークドキュメントが利用可能になりました。責任銀行原則の6つの原則とその前文を含む、原則署名文書。銀行が責任銀行原則の設立署名者になりたい場合は、この手紙にCEOが署名し、2019年8月22日までに・・・に送信する必要があります。」(これGoogle翻訳ですのでちょっと不自然な日本語ですが)

だそうです。ほぉ、みずほFGはここまで支持や賛同の表明をしていませんでした(少なくとも公には)が、このレターにCEOが署名して送信したということのようですね。先に表明だけしている2行は、署名はしていないんでしょうか。日経の記事だけ読むと、なんだか出し抜かれたって感じに見えちゃいますね。

三井住友銀行 ノルマ廃止でSMBC日興証券に影響

三井住友銀行は、支店の評価基準から個人向け営業の収益目標を廃止しました。投資信託の販売額といったノルマが評価項目の一つだったわけですが、今後は顧客の預かり資産がどれだけ増えたかを重視する。という説明がされていたと思います。さらに、支店長が独自に行員に販売額の目標を与えることも禁止しています。今年4月のニュースでしたね。

日本郵便でも

最近では、かんぽ生命の問題の収拾に追われる日本郵便が、やはり保険商品について2019年度の営業目標や販売員のノルマを廃止しました。もっともこちらはあくまで今年度だけのことのようで、来年度以降についてはまだこれから検討すると言ってましたが。

今最もホットなかんぽ生命ー日本郵便でもノルマを廃止してきたということで、ほとんどの大手金融機関は同じ方向に舵を切っていると思われます。面白いですね。別にノルマや目標があっても、適正な勧誘と販売が行われている会社はあると思うんですが、、、。こうなってくるとノルマ=諸悪の根源、になってしまいます。

販売目標の廃止と証券への顧客紹介

話を三井住友銀行に戻しましょう。行員への販売目標を廃止し、支店長が独自に目標を設定することも禁止しました。で、興味があるのは、日興証券への顧客紹介に関するノルマも廃止されたんだろうか。というところです。

紹介顧客数や紹介後に証券で取引が成立した場合の手数料収入が行員へのノルマになっていると、意味がありません。行員が顧客に不利益を与える商品販売を止めただけで、代わりに証券会社の営業員が同じことをするだけのことですから。

また、銀行員は自分の手を汚さないで、証券の営業員の手を汚させるような構図になり、グループ内での両社の関係もおかしなことになってしまいそうです。そう考えると、やはり販売目標と一緒に証券への顧客紹介に関する目標等も廃止されているんじゃないかと思われます。

銀行系証券会社はここから厳しい

こんなふうに考えてくると、これまで数字をこなすために投信販売も、証券会社への顧客紹介もこなしてきた三井住友銀行ですが、今期からはSMBC日興証券に対して、顧客をあまり紹介しなくなると思われます。顧客を紹介すると、銀行の預かり資産は減少する(証券に移るので)のが普通ですから、そういう面でも顧客紹介は減少しそうです。

三井住友銀行を例に書いてきましたが、その他のメガバンクもノルマ廃止の方向に動いています。その結果として日興のみならず、銀行からの紹介顧客に頼ってきた銀行系証券会社は、これから相当厳しくなってきそうですね。これってかなり業績へのインパクトもありそうです。