NHKから国民を守る党 泡沫候補 泡沫とは

先の参院選で泡沫候補扱いされていた、山本太郎氏の「れいわ新選組」、立花孝志氏の「NHKから国民を守る党」が大躍進しました。世界中でポピュリズムの台頭が言われてきましたが、やはり日本にもその時代がやってきたと実感させる出来事でした。両党とも法律的に政党要件を満たしたわけですから、もう泡沫なんて言葉使っちゃいけません。

泡沫 ほうまつ うたかた

今日はこの「泡沫」という言葉について。「泡」も「沫」も「あわ」という意味なんだそうです。「ほうまつ」と読み、「あわ」や「あぶく」の意味です。泡沫候補だとか、泡沫会社などという使い方の場合は、「問題にならないようなもの」とか、「取るに足らないもの」という意味になります。

一方で、「泡沫」は「うたかた」と読む場合もあります。この場合は「はかなく消えやすいもの」のたとえとして使われます。「泡沫の恋」とか「泡沫の夢」などといった使われ方、皆さんも見たことあると思います。こちらはとても美しい日本語ですね。

バブル

泡沫を英語にしただけですが、1980年代の日本で土地の価格が高騰し、日経平均株価が4万円近くまで暴騰したのち、急落に転じた場面のことを指して、「バブルが弾けた」とか、「バブル崩壊」という表現がいたるところで見られました。それまでの当時の好景気をバブル景気だとか、バブル経済などと呼びます。

不動産や株価など資産価格が投機により高騰し、実態から大きく乖離してしまう現象をバブルと言います。当時はこれをまじめに学問しようとする向きもあり、「投機的泡沫理論」などと言って話題になったものです。今はググっても当時の論文とかは出てこないみたいなので、世の中に十分認識されるには至らなかったんですかね。

ちょっとしたことで壊れてしまいそうなはかない恋を表してみたり、欲望むき出しで我先に金儲けに走る投機の世界を表してみたり。「うたかた」と「ほうまつ」。同じ日本語でもこんなに違うニュアンスを表してしまうんですね。

4~6月GDP 日本経済 株式市場

内閣府が8/9、4~6月GDP速報値を発表しました。年率換算で1.8%増で、プラス成長が3四半期連続となりました。市場予想では0.4%増などと言われていましたが、これを大きく上回る結果になったわけです。

内需による下支え

改元に伴う10連休により、旅行などのレジャー関連の消費が伸びたとか、人手不足に伴う省力化関連の設備投資が増加したなどと説明されていました。一方で輸出は2四半期連続のマイナスとなっており、中国向けの輸出の落ち込みが指摘されています。まさに内需によって下支えされている格好です。

米中貿易戦争が収まる見込みがなく、中国経済の減速懸念に加え、香港情勢も悪化を続けています。お隣韓国との貿易問題もあれば、南米の新興国でも通貨安が始まりました。とにかく足もとで良い話がないわけです。悲観一色になるのも頷けますわな。

ということで、サプライズのある4~6GDP速報値だったわけですが、株価はほとんど反応せず。米国株の急落を受けて連れ安を続けています。

日本の景気は強いのか

1990年にバブルが弾け、それ以降は日本経済にとって酷い時代でした。世界を席巻した日本の技術はどんどん他国に流出し、韓国や中国に追い付かれ、逆転されてしまいました。電子立国なんて言ってた時代が懐かしいですね。日本の一流企業の経営者がどれだけリスクを取って来なかったか、、、一番の原因ではないかと思います。

一方で、確実に進化というか変化した部分もありそうです。人・モノの高齢化・老朽化です。生産年齢人口は確実に減少してきましたし、工場やマンションといった成長期に創ったモノが老朽化し、耐用年数を過ぎていきました。こうしたこと対する更新需要であったり、対策であったりというのが、意外に大きな需要を作っているように思います。

働き方改革により、日本では当たり前だった残業が廃止されていきます。このことが生産年齢人口の減少に加わり、人手不足がより一層厳しい状況になっています。これを解消するための省力化投資やデジタル化投資が必要不可欠なわけです。

モノに関しても、リスクを取って来なかったがゆえに、古い設備の更新が遅れ工場等の生産設備の更新需要が相当溜まっているのではないでしょうか。システムについても同じです。基幹システムの更新を迫られている企業は非常に多いと聞きます(システム更新についてはまた別の機会に書きたいと思います)。

こんなふうに考えていくと、決して前向きなものではないかもしれませんが、4~6月GDPで見た強い設備投資も十分理解できますよね。

ROESG ROEとESG

8/12付け日本経済新聞に「ESG×収益力で欧米先行 人材・投資呼び込む 企業の持続性重視へ新指標」という記事が掲載されました。企業の収益力を示す指標ROEとESGへの取り組み度合いを掛け合わせたような新指標(ROESG)ということです。今日はROEとESGのおさらいをしておきます。

ROE

ROEとは「Return On Equity」の略称で、日本語では自己資本利益率、または株主資本利益率と言います。企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合を示し、投資家が投下した資本に対し、企業がどれだけの利潤を上げられたのかを見る指標です。

ROEが高いほど自己資本を効率よく使い、利益を上げて能力の高い経営がなされているという評価になります。逆に、ROEがあまりにも低い企業は、資金をうまく使えていないわけですから、経営が下手という評価になり、会社の存在価値も疑われてしまいます。

企業は、自己資本(株主資本)と他人資本(負債)を投下して事業を行い、そこから得られた収益の中から、他人資本には利子を支払い、自己資本には配当を行います。そのうえで残った利益、内部留保の蓄積分である利益剰余金も自己資本に含まれます。

自己資本利益率は古くから投資指標としてありましたが、日本で注目されるようになったのはここ10年くらいではないでしょうか。その間指標が注目されるにつれ、日本の上場企業のROEは上昇し、直近のデータで7%台くらいです。しかし、欧米と比べるとまだまだという水準なんですね。

ESG

ROEに関しては上場企業の開示データで簡単に計算できるんですが、ESGスコアに関しては公式のデータというものがありません。っていうか、そもそも企業の開示に関するルールもいまだ整備中というところですね。そのため、記事で紹介された算出方法でも、「ESGスコアは、アラベスク、サステイナリティクス、FTSE、MSCI、ロベコのESG評価機関5社の2019年3月末時点の評価を用いた。」とあります。

公式のデータがないと書きましたが、6月の日経の報道にこんな記事もありました。「日本経済新聞社グループのQUICKは、ドイツのESG評価会社、アラベスクと提携した。アラベスクが日次で算出する世界の上場企業のESGの点数を機関投資家や金融機関、事業法人に提供する。8月からQUICKの専用端末でも提供する。」

QUICKというのは証券会社には必ず置いてある株価等を照会する端末です。おそらく今月から証券会社では、アラベスクのESGスコアが照会できるようになるんですね。

人工肉のビヨンド・ミート バーガーキングのインポッシブル・ワッパー

今年5月、植物由来の代替肉を開発・製造するビヨンド・ミート株式がナスダックに上場しました。赤字経営が続いているものの、上場1カ月で株価は7倍以上という爆上げを演じて見せました。この人工肉の世界にも何気にバブルの香りがしてきました。

バーガーキングでも

もう一つ、人工肉で話題になったのが、バーガーキングが4月から販売を開始したインポッシブル・ワッパー。食肉を一切使わないハンバーガーです。「食べた人の90%以上は本物の牛肉のバーガーと勘違いする」と言われています。このインポッシブル・ワッパー、普通のバーガーよりも1ドル高いにもかかわらず、かなりの人気とのこと。

米国で人工肉が人気な理由

米国で人工肉がブームとなっている理由としては、米国人の肥満問題が大きいようです。人工肉はけっして低カロリーと言うほどではありませんが、動物性脂肪を排除できる点で成人病を防止する効果は期待できるんだそうです。加えて、70年代に流行ったころのまずい人工肉と違って、食欲や味覚を満たすレベルに到達したことも大きな理由とのこと。

そしてもう一つの理由

「選択」8月号によると、米国特有の背景もあるようです。1つ目に、クジラ、イルカの保護や毛皮の禁止を訴える動物愛護団体の活動が、食用に牛や豚などを飼育し、屠殺することにも拡大していることがあげられています。

2つ目に、「ビーガン」と呼ばれる、肉はもちろん、乳製品や卵も一切食べない絶対菜食主義者が急増していること。この人たちは過去10年で急増し、米国人の6%に達しているという調査もあるとのこと。

これらの人たちに加え、殺生を嫌う仏教徒やBSE(牛海綿状脳症)など動物の病気を嫌う人まで、理由は多様ながら、社会の一大勢力になりつつあると言います。この辺りのお話はちょっと怖さを感じさせます。

バブルの香りがする訳

今後世界の人口が爆発的に増加します。タンパク質不足が起こり、それを代替するために人工肉にも注目が集まります。もう一方で、「世界人口の増大→食肉消費の増加→飼料穀物増産→農地のさらなる開拓→森林の縮小→CO2の増大」という、ESGや気候変動の観点で捉えることも可能です。

kuniは、ESG(気候変動)バブルは既に膨らみ始めていると思っています。米国においてトランプ氏が再選を果たせなかったとき、つまり次の大統領(おそらくトランプ氏とは反対に気候変動にポジティブ)になった時、このバブルは一気に膨らむのではないかと感じているところです。

「次のバブルはグリーン・エネルギー」 30兆ドルのカーボン・バブル

「次のバブルはグリーン・エネルギーだ」。このセリフで映画のタイトルが分かった人は、相当な映画通ですね。実はこれ、2010年のアメリカ映画「ウォール・ストリート」でゴードン・ゲッコーが口にしたセリフです。1987年の「ウォール街」の続編ですね。

kuniは一作目を劇場で観ましたが、二作目は観ていません。たまたま先日CATVで二作目をやってまして、酔っぱらいながら少しだけ観ました。その時にゲッコーがこのセリフを。で、妙にその印象が残っているわけです。今ではグリーンエネルギーとはあまり言いませんね。最近の流行りの言葉ですと「再生可能エネルギー」でしょうか。

「気候変動が金融危機の火種に」

こちらは「選択」8月号の記事のタイトルです。ロンドンのシンクタンク「カーボン・トラッカー」は2011年に「燃やせない炭素~世界の金融市場はカーボン・バブルなのか」というレポートを発表。2013年には「燃やせない炭素2013~無駄な資本と座礁資産~」を発表し、次のような主張をしています。

石油、石炭、天然ガスの確認埋蔵量を燃焼させた場合に発生する二酸化炭素の量は、2兆7950億トン。これに対して、産業革命以降の気候変動を2度未満に抑えるためのCO2排出量規制を実行するなら、人類が排出可能なCO2の量は5650億トンでしかない。

つまり、2兆2300億トン分は地中に埋めたままにしておかなければならないということ。この将来燃やすことができない確認埋蔵資源のことを「座礁資産」と呼んでいます。化石燃料企業の株価は、保有する埋蔵資源が将来消費されることを前提に算定されているが、座礁資産の分だけ空前のバブルが発生しているという主張なんですね。この座礁資産=バブルで買われ過ぎている金額が20兆~30兆ドルに及ぶとのこと。

ダイベストメント(投資撤退)

バブルは既に膨らみ切っていて、ただそのことに皆が気付いていないということのようで、ダイベストメント(投資撤退)が進むことでバブルを縮小することができるとの主張です。しかし、これが少しづつ、いい具合に縮小するかというと、そうではなく、どこかで「我先に・・・」という行動心理が働き始めて金融危機を誘発するでしょう。

既にそうした動きが始まっているとも言っていて、化石燃料業界の株価やプラントエンジニアリングなどの周辺業界でも、株価に影響が出始めているとのこと。先月、欧州を襲った記録的な熱波のニュースなんかも、多くの人が環境問題に気付かされたかもしれませんね。

ゲッコーが言うグリーン・エネルギーがバブルではなく、グリーン・エネルギーの台頭が、化石燃料バブルを弾けさせるというお話でした。ゲッコーはどういう意味で言ったのか、ウォール・ストリート、機会があったらじっくり観てみたいと思います。