西武信用金庫 反社会的勢力に融資

4/9 日本経済新聞に掲載された記事です。金融庁が立ち入り検査をしている中で、反社会的勢力と関わりのある企業に融資していた疑いがあることが分かったということです。この検査、もとはといえば投資用不動産への不適切な審査や融資等を確認するための検査でした。いやぁ、またややこしい案件が出てきたもんです。

みずほ銀行の事件

2013年にみずほ銀行の事件で大きく取り上げられ、反社会的勢力という言葉も相当メジャーになったような気がします。当時、同行が提携先のオリエントコーポレーションの提携ローンを通じて、反社会的勢力である暴力団に対して、230件、2億円の融資をしていたと報道された事件ですね。

しかし、この事件、メディアによってかなり歪められた情報だったことが後にわかります。金融庁の指摘では、あくまで反社会的勢力としか言ってませんが、メディアはこれを暴力団と表現しました。反社会的勢力=暴力団と理解したメディアの誤報は、当時のみずほ銀行にかなりのダメージを与えたと思います。まぁ、この事件以外にもいろいろあったので、こういうバイアスが働いたのかもしれませんが。

反社会的勢力とは

みずほの事件で市民権を得た感のある「反社会的勢力」ですが、実は明確な定義がありません。一応の定義としては、「暴力団、暴力団員、暴力団を辞めて年経過しない人、準構成員、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、共生者、密接交際者などなど・・・」こんなのがあるんですが、これでも明確とは言えません。

辞めて5年経ったら反社会的勢力ではなくなるんですが、その後も暴力団との一般的な付き合いとかがあったりすると、途端にどうするべきか議論が分かれたりします。暴力団員の家族の口座は?なんてのもよくある話。密接ってどの程度のこと?みたいなのもあり。

さらに、金融機関がその属性を知り得たかどうかという問題もあります。知らなかったらどうしようもありません。今回の西武信金の記事でも少しだけ書かれてますが、「反社との関係がある顧客と知りながら融資したのか」、「知らずに融資したのなら、その後それを知ったのちに取引を排除すべく対処しているか」といった点が検査の焦点になると思われます。

慎重な報道だけど

みずほの事件で学んだからでしょうか。今回の日経は慎重に書いてますね。あくまで「暴力団など反社会的勢力と関わりのある企業」としていますし、「西武信金が疑わしい取引を認識した経緯やその後の対応を調べている」といった感じです。情報を流している当局側も気を付けてるんでしょうね。

しかし、金融庁がこういう形でリークしてるわけですから、彼らとしても行政処分まで持っていけるという自信があるんでしょう。彼らにとっては、投資用不動産への不適切融資以上に、秋のFATF調査団の来日というイベントを睨んで、マネロン関係の指摘をお土産にする方がお偉方に喜ばれたりするのかも。

タンス預金は増加中?

先日、「1万円札 高額紙幣廃止 キャッシュレス決済推進」という記事を書いたところですが、週刊東洋経済でこれに関連した面白い記事を見付けました。信用金庫にお勤めの方曰く、高齢化が進む日本の地方では、タンス預金が増えてきているというのです。

マイナンバー 低金利の長期化 相続税対策

同記事によると、マイナンバーの普及や低金利の長期化、そして相続税対策といった理由から、高齢者が銀行から預金を引き揚げて、現金で家に置く、いわゆるタンス預金が増えているということです。推測ではなく、実際に預金から引き出されていく場面をとらえていますので、信憑性は高そうです。

マイナンバーについては、2021年に預貯金のマイナンバー登録が義務化される可能性が高いとか。相続税対策もそうですが、持ってる人はどんだけ持ってるかを知られるのが嫌みたいですね。お金持ちにしかわからない事情です。

記事ではさらに、「それがオレオレ詐欺のグループに狙われるんですよ」とも。最近の流行である「アポ電詐欺」の連中からしてみると、まさに絶好の高齢者ですよね。自宅に大金があるわけですから。先日流れていたニュースでも、アポ電詐欺の被害額が、たしか260万円とか言ってました。あります?普通。そんな大金が自宅に。。。ところがあるんですね。上記の理由で。

中国ではキャッシュレス決済の普及で

いずれにせよ、こういう状況はなくさないと。ということで東洋経済の記事に戻ると、中国は最近スマホ決済が一気に普及しました。すると、今では強盗がほとんどなくなったそうです。現金の消えていく中国は、犯罪者にとってまさに冬の時代ということです。

キャッシュレス決済の普及で、高齢者宅への強盗(上の話ではアポ電詐欺も含む)は抑制できそうだというわけです。オレオレ詐欺は銀行まで出かけて送金させちゃうので、キャッシュレス決済だけでは防止できそうにないですけどね。

先日書いたように、高額紙幣の廃止はキャッシュレス決済を推進するでしょうし、現金の使い勝手を悪くする作用もあります。特に保管についてはスペースの問題が出てきます。自宅に260万円、千円札で保管しようとは思わないでしょう。

新札だと100枚が約1センチになります。260万円は千円札で2600枚。約26センチになります。これだけ現金引き出してくるのも面倒くさいと思うんですが。。。それでも現金好きなお金持ちは26センチの束眺めて楽しむんですかね。

フィラデルフィア半導体株指数 SOX指数 新高値

先日、「長短金利逆転とフィラデルフィア半導体株指数」という記事で二つの先行指標について書きました。その後者のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が、先週あっさり新高値をとってきました。先週末の終値は1477ポイントです。雇用統計が市場予想を上回ったこともあり、米国株全体に引き締まった展開になりました。

長短金利逆転から1年以内にマーケットが天井を迎える。先行指標となるフィラデルフィア半導体株指数が新高値。こうなると、今年の年末辺りに向けた上昇相場が始まったと考えるのが妥当なところでしょうか。

悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ

相場の格言に「相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というのがあります。アメリカの有名な投資家、ジョン・テンプルトンの言葉です。この格言に当てはめると、皆さんは今どういう局面だと思われますか。kuniは今はまさに「懐疑の中で育ち」という局面ではないかと思っています。

米中貿易戦争が継続し、明らかに景気は悪化している。スマホはもうこれ以上成長しそうにない。まぁ、悪い材料には事欠かないわけですが、マーケットは下げません。皆が景気の先行きに悲観し、マーケットにも懐疑的な中、実は相場は育ち始めているんだと思います。

5G 米国でスタート

先週、米国で5Gが始まりましたね。韓国の方が先だという主張があるようですが、、、実測値では4Gの数倍のスピードしか出ていないとか(100倍のスピードになるはずだったのに)。なんでも発祥の地としてしまうお国柄ですからね。とにかくサービスがスタートしたわけです。ここから不調のスマホの分を上回る半導体等の需要が立ち上がってきそうです。

日本での5Gは来年以降になるようで、世界的には第2グループだそうです。半導体等の本格的な需要はこの辺りでしょうが、マーケットは常にこうした実需に先行して動きます。日本では今年は助走段階であり、その先に東京オリンピックが控えます。

オリンピックに向けた建設等の従来のインフラ投資は一巡したかもしれませんが、5G関連、Iot関連投資はまさにこれからです。5Gはまさにインフラそのもの。その先にIotをはじめとした様々な新しい技術開発、サービスが花開くはず。強気でいいんじゃないでしょうか。この後の東京市場の動向、楽しみになってきました。

見えているはずなのに、見えていない 選択的注意

先週、ある日の出来事。kuniは喫煙者なので、仕事中も一定時間ごとに喫煙室に行くんですね。この日も何度か行ったのですが、喫煙室のすぐそばの廊下で公衆電話を発見しました。あの緑のヤツです。この廊下、一日に10回くらい通っているのに、そこに公衆電話があることに気付いていませんでした。実際設置されている公衆電話は激減してますしね。

たまたま、その公衆電話で話している人が居たから気付いたんです。最近はみんなスマホ(一部にガラケーの人もいらっしゃいますが)持ってるので、この公衆電話も使われている場面に出くわしたこともなかったんだと思います。

自分に必要なくなったモノ、というか、とりあえず今必要ないモノって、目には入ってるんだろうけど、脳が認識しないんですかね。昨日までのkuniだと、「このビルに公衆電話あるでしょうか?」なんて誰かに尋ねられても、答えに窮していたと思います。これを見付けてから、自分の部屋に戻るまでに、もう2台見付けました。注意して歩くと見付かるんです。

いやぁ、これってある意味びっくりでした。見えているはずなのに、見えていない。こんなことホントにあるんですね。会社の仕事の中とかでもこういうことってあるんだろうか?真剣に考えさせられます。

選択的注意 カクテルパーティ効果

この日kuniが経験したような、「自分が興味のあるものだけが目に入り、それ以外の情報が全く意識に入ってこない」みたいなことを、専門的には「選択的注意」と言うんだそうです。「知覚した情報のうち、一部の情報だけを選択して注意を向ける認知機能」だそうです。今回は視覚のお話でしたが、聴覚においては「カクテルパーティ効果」というのも有名らしいです。

kuniのこの貴重な体験、認知心理学だったかな、立派に研究対象になっている出来事、経験なんですと。皆さんが務めている会社のビル、公衆電話がどこにあるか思い出せます?

野村證券 構造改革 縮小・撤退

国内証券トップの野村証券が構造改革策を発表しました。3年間で1,400憶円のコストを削減し、経営資源の選択と集中を行うとのこと。地銀、メガバンクを飲み込んできた構造不況の波がとうとう証券界まで達したのか、というちょっとショッキングな日本経済新聞の記事です。

株式市場が最悪期を抜けた2014年頃、大和が一気に営業所を拡充するなどの強気の店舗展開を見せました。これに続いて、日興、野村も久しぶりに新店を出していたと思います。当時強気の出店は、準大手以下にも波及していましたが、あれから僅か5年弱でこの野村の動向。他社もこれに続くのか見ものです。

強気の出店攻勢から弱気の撤退へ。昔から何度も見てきた光景ですが、これまでは基本的にマーケットの変動に応じたものでした。相場が良くなると強気出店。相場が低迷すると撤退。新規出店しても、その支店が採算とれるようになるには相応の時間が必要で、撤退するときは新規に出店した支店から閉鎖していきます。証券会社らしいでしょ、損切りは早めに、、、みたいな。

店舗2割減と営業スタイルの変更

欧州のトレーディング事業や米国のハイイールド債トレーディングからの撤退、コーポレート部門のシンプル化、については正解だと思います。が、やはりこの会社の場合は国内の支店営業がどうなるのかが注目されます。2割、約30店舗以上を統廃合し、営業員6,900人のうち3,300人の配置を変えると日経は伝えていました。

実際に野村がインベスターデーで使用した資料も読んでみましたが、従来はその境界線が曖昧だった、法人等、富裕層、マスアフルエントを担当する組織を、明確に分離しようとしている(このため配置換えが起きる)ようです。そのうえで法人・事業オーナーや富裕層における資産収益率を拡大するという、まぁ、どこの会社でも同じようにトライしていて、なかなか実現しない目標に取り組むみたいです。目新しさはありませんでした。

営業の現場はどう受け止めるのか

これまで最強の営業部隊といわれていた支店営業ですが、顧客本位の業務運営に舵を切ったとたんに、やはり収益力は低迷しました。さらに3年間で5人もの警察逮捕者を出してしまった野村。どこかがおかしくなってきています。

今回の支店の統廃合や組織再編、カニバリを起こしかねないネットの強化などなど、経営のメッセージは営業の現場にどんなふうに伝わるんでしょうね。場合によってはリテール空中分解みたいな状況もあるかもしれません。一番しんどい想いで頑張ってる人たちに、どう真剣に向き合ってやれるか、、、だと思いますよ。