スルガ銀行社長に株主代表訴訟へ

11/14 日本経済新聞電子版の記事です。正確には13日の20時過ぎの記事ですが、紙面には載ってなかったような。なんで?

シェアハウス所有者の弁護団が表明

弁護団は有国三知男社長に対して株主代表訴訟を起こす方針を固めたそうです。先に報道されている、スルガ銀行が取締役等9人に対して起こした35億円の損害請求訴訟について、有国社長を対象に含んでおらず、責任追及が不十分だと判断した。ということらしいです。この点についてはkuniが指摘していたのと同じですね。弁護団は「内容が不当で損害賠償請求の金額が少なすぎる」とも言っているようで、彼らの請求額はもともと717億円となっていました。なんとこの乖離。

有国氏だけがなぜ対象になっていないのか

たしかに第三者委員会の調査報告書では、個別の違法行為を知り得た証拠が見当たらないとされています。取締役に就任してからは監査部管掌兼CRO(最高リスク管理責任者)なんですが、約1年間の在任期間で、かつ同社のレベルの低い監査部機能では、今回発覚したような各種不正のリスクを認識することは、困難だったのではないかといった調子です。

第三者委員会のインタビューに対する有国氏の回答までリアルに載っていますが、正直何もできなかったのね。って感じで、情けない回答ばかりです。同氏に関する記述は「明らかに善管注意義務違反に該当するとまでは認められない」と括られています。

監査役の責任は?

もうひとつ違和感が残っているのが、スルガ銀行が9人の取締役等を提訴した際、監査役の責任については問わなかった点です。弁護団の方も、この点については今のところ指摘していないのでしょうか、記事では触れられていません。

監査役二人について、第三者委員会の報告書は、シェアハウス関連の問題を知ることは可能でありながら調査をしなかったとして、「監査役としての善管注意義務に違反するものと思料する」としています。また、監査役会や社外監査役に適切な報告をしていないことについても、同様の判断をしており、合計4か所で「監査役としての善管注意義務に違反するものと思料する」という記述があります。

ここまで第三者委員会が善管注意義務を問うているにもかかわらず、スルガ銀行は訴えていません。

東京オリンピック 大阪万博 札幌冬季オリンピック

大阪万博開催が決定したら

読んだ雑誌の名前を忘れてしまったのですが、、、たぶん経済誌のコラムだったと思います。2020年の東京オリンピックから10年間の間に、大阪万博、そして札幌冬季オリンピックが開催(誘致)予定だとしたうえで、実はこの順序での世界的イベント、高度成長期に日本が一度開催したイベントと全く同じ並びだと指摘されてます。確かに。

このイベント企画には政府もかなり関与しているのではないか、と書いておられましたが、おっしゃる通りかもしれませんね。もう一度、日本が輝く10年を見てみたいものです。kuniはギリ東京オリンピックを覚えていない世代なんですが、今の60代、定年再雇用世代にとっては十分記憶のある懐かしいイベントであり、もう一度彼らが自信を取り戻すには最高のイベント、10年間になりそうです。

アメリカは発想の国 中国は実装の国

また別の雑誌では、「アメリカは発想の国、中国は実装の国」と、それぞれの国民性の強みを指摘していたコラムも読みました。実装というのは、ちょっと分かりにくいでしょうか。ITの世界における強みを、中国は何でもいったん実社会で試してしまう。自動運転車を普通に街で走らせてしまうし、レジなしコンビニもすぐに実用化してしまう。で、上手くいかなかったら修正すればよいという文化、国民性だと指摘していました。

このコラムを読んだときは、じゃあ日本は?と考えてみました。たぶん多くの読者がそう考えたと思います。日本は「〇そうの国」。しかし、残念ながら今でも良い言葉が浮かんできません。

二つのコラムで感じたこと ホスピタリティ

日本の強みはと言うと、客人に対するおもてなしの文化、ホスピタリティではないでしょうか。世界一治安の良い国。食べ物(和食や日本酒)が美味しい国。観客がスタジアムの掃除をして帰る国なんて、かなり有名になりましたよね。そういう意味で既に世界は日本に注目しています。

プラットフォーマーにはなれなかったかもしれませんが、世界が認める素晴らしい文化を持つ国です。ボキャブラリが不足していて、「〇そうの国」という表現はできないんですが、たぶんこの強みは異論のないところかと。そう考えていくと、もう一度このイベントを企画というか調整してるのって確かに政府かもしれないと思いますし、なかなかいけてる企画だなぁと思うわけです。

最初のイベントでは、戦後の日本を復興するため、高速道路や新幹線などが整備され、いわゆる高度成長を遂げることができました。まさに戦後の日本が土台を築いた時代です。そして次の同じイベントでは、日本のホスピタリティが花開き、世界中の観光客にとっての癒しの国として、大きな成長を成し遂げることができるんじゃないかと。kuniは妄想しているわけです。

スルガ銀行とサブリース契約 二つの記事

日本経済新聞11/13付け記事です。「スルガ銀行、旧経営陣ら提訴」と「転貸借業者 実態調査へ」の二つの記事がそろい踏みですね。

スルガ銀行、旧経営陣ら提訴

まずこちらはスルガ銀行が会長以下9人の取締役経験者等に損害請求訴訟を起こしたというもの。kuniが指摘してきたように、取締役全員が対象になり、責任を問われることになりました。と、思いきや、先日社長に就任した有国氏がこの9人に入っていません。

この取締役に対する訴訟は会社法の定めにより、社外監査役2名が会社を代表して起こしていますね。1名だけ執行役員(取締役ではない)が訴えられていますが、こちらの訴訟は代表取締役が訴える形になっています。あと、監査役の責任についても問わないことを決めたようですね。

しかし、それにしても。2016年には監査部管掌役員だった有国氏が、何も問われないのはいかがなものでしょう。当時の株主総会の資料では、「有国氏は取締役監査部管掌として当社の健全性確保に貢献して・・・」などと書かれてますけどね。

転貸借業者 実態調査へ

こちらは、頻発している転貸借契約(サブリース契約)に関するトラブルや苦情を受けて、とうとう国土交通省が業者の実態調査に動き出すというニュース。ご存知の通り、これもある意味スルガ銀行発のお話でもあります。

しかし、サブリース、やっと動き出しましたかって感じですよね。当然問題になるのは、業者がオーナーに対して契約の内容を正しく説明し、理解を得ていたか、という点です。つまり、「賃料が減額されることがある」とか「業者から一方的に契約解除できる」という、オーナーにとって不利な条項ですね。

サブリース契約について金融庁が注意喚起をしている、と以前の記事で書きましたが、おそらく国土交通省とは連携して動いていると思われます。国土交通省が転貸借業者や不動産会社、住宅メーカー、建設会社を、金融庁が融資を付ける銀行を調査という分担ですね。どんだけ本気で調査するかによりますが、結構いろいろ出てきそうですよ。

東洋証券 行政処分勧告 その2

証券取引等監視委員会による勧告の話題から既に2週間程度になりますが、皆さんの会社では自社点検済みましたでしょうか。他社の指摘事項を見て、自社の状況を点検する。基本中の基本ですね。今日は他にも気になる外国株式事情について。

典型的な指摘事項 不必要な手数料負担

かなり昔に指摘のあった事項として、「不必要な為替手数料を負担させる営業行為」というのがありました。外貨客勘に米ドルが残っているのに、もしくは米ドル建てMMFの残高があるのに、これを優先して使うことなく米国株を円貨決済で買い付ける取引です。

当時は多くの証券会社が指摘を受けましたので、ほとんどの会社で外貨客勘、MMFを優先して充当するというシステムの手当てがされていると思いますが、最近になって外国株式の取り扱いを始めた証券会社さんは要注意かもしれませんね。システムがなければ、この2か所に外貨が残っていないことをその都度確認する必要があります。

指摘事項 その2 外貨客勘に置いたままの外貨

これも古典的かもしれません。外貨建て商品の取引で残った外貨を、外貨建てMMFにすることなく、外貨客勘に置いたままにしているケースです。顧客はMMFを買い付けていればもらえたはずの分配金をもらえません。本社からしかるべき周知が行われていない場合、広範に発生してしまうので、検査する側からすると指摘しやすいわけです。

指摘事項 その3 チャーニング

チャーニングというのはいわゆる過当取引(過当勧誘)のことです。金額、回数において、手数料を稼ぐために過当な取引勧誘をすることですね。米国の判例をもとに日本でも過当取引が認められた判例が出ていて、監視委員会の検査でも今後使われるんじゃないかと思ってます。

判例では、売買回転率(顧客の資金が一年間に何回転しているか)が6を超えていることをもって、過当取引を認めています。この6回転という基準は米国判例からきているものです。あくまで法廷での判断ですので、従来の検査ではこの基準を適用した事例はなかったと思います。しかし、昔と違って今では、顧客本位の業務運営を各社宣言しているわけで、にもかかわらずこれってどうよ。という理屈での指摘、十分あるんじゃないでしょうか。

指摘事項 その4 仕切り取引(国内店頭取引とも言います)

外国株式には委託取引と仕切り取引があります。前者は顧客の注文を直接外国株式市場につなぐ取引で、後者は外国市場に取り次ぐことなく、証券会社が相手となって顧客の注文を約定させる取引です。問題はその手数料率の差です。売り買いで前者が2%程度で、後者が5%くらいになると思います(もちろん証券会社ごとに違いますので参考程度に)。

問題なのは、取引の実態を見ると、後者の仕切り取引が圧倒的に多いということです。大手の証券会社では既に仕切り取引を止めているという話も聞きますが、準大手以下ではこの状況は変わってないそうです。顧客の意向が特段ないにもかかわらず、仕切り取引に傾注する外国株式取引はいずれ不適切という烙印を押されることになるでしょう。

本日はここまで。

会社は誰のために

11/10 日本経済新聞 大機小機の記事です。良いこと書いてますね。ということで中身をご紹介。

会社を取り巻くすべてのステークホルダーのために会社は存在する

まずは全てのステークホルダーのために存在すると冒頭で書いていますが、文脈から最近の物言う株主へ傾斜が過ぎることに警鐘を鳴らしているように見えます。その後、その他のステークホルダーとして、顧客や、仕入先、従業員や地域社会、を列挙しています。

従業員との関係性は最も大切かもしれない

記事の終盤で従業員について、その関係性が最も大切かもしれない、と書いています。kuniが何度か書いてきたことですが、「かもしれない」と、やや弱気。しかし、そのあとに続けて「会社とステークホルダーとの関係は従業員によって築かれる。従業員を大切にする経営こそ重要である」とも書いてます。まさにその通りだと思います。

大新聞の名物コラム、たぶん論説委員の方でしょうから、しょうがないですかね。kuniのように、「物言う株主ほっとけ」、「顧客第一主義なんてもうやめたら?」なんて無責任なことは書けないんでしょう。しかし、この記事を書かれているペンネーム紫野さんという方のご意見、kuniが感じていることと大きな違いはないような気がします。

会社という幻想(本末転倒な内部留保)

会社ってなんなんでしょうね。そもそもはある事業を様々な面で有利に進めていくために使用した箱だったはず。会社って、そういうツールでしかなかったと思います。それがいつのまにか法人という人格を持ってしまい、独り歩きするようになってしまいました。そして未来永劫発展し続けなきゃならないということになってしまい、使う予定のないお金をどんどんため込み、巨大な内部留保に。

しかし、世界の経済を見渡しても、永遠に発展し続ける国なんてありません。会社だって永遠はないです。そんなにため込んでどうするの?そんなにため込んでるから、物言う株主とやらに、たかられてしまうんです。「会社とステークホルダーとの関係は従業員によって築かれる」わけです。その従業員にもっと満足がないと、その他のステークホルダーだって満足しないということです。

巨大な内部留保を従業員に積極的に還元し、従業員との信頼関係を強くする。そんな従業員を抱える会社は、お金だけ蓄えてる会社なんかより全然強いのではないかと思います。従業員の満足度が上がっていけば、日本から消えてなくなったかのような消費マインド、取り戻すことができるんじゃないでしょうか。