スルガ銀行 会長辞任へ

8/28 日本経済新聞によると、スルガ銀行の会長が辞任する意向を固めたことがわかったようです。創業家の出身と言うことで、120年あまり続いた創業家経営に幕を下ろす、ということらしいです。

会長が辞任、それで?

会長が辞任することで創業家の支配を断ち切り、社長以下の経営陣はそのまま残るんでしょうか。今回の事件が創業家経営の闇の部分であるとの主張は分かりますよ。しかし、それを全面に出すことで、その他経営陣の責任を回避しようという目論見、ありますよね。

総入れ替えで良いじゃないですか

まずは創業家経営との決別をしっかりアピールすることで、メディアや世論の反応を見てるんですね。で、それなりに納得感が得られているという感触なら、社長以下取締役が○ヶ月間の報酬を自主返納だとか、○ヶ月減給だとかのありがちな落とし所を探ろうと。

いや、総入れ替えでしょ。少なくとも取締役は全員。会長が暴走したかもしれないけど、それを容認してきたのは取締役の責任です。既にここまでの調査で、賞罰を検討すれば再起不能になった(になるであろう)行員もたくさん居るでしょうに。下切ってお仕舞いじゃあねぇ。残る行員やその家族たちのためにも、総入れ替えで良いです。

投信、ネット証券の顧客36%が損失

インターネット証券経由で投資信託を購入・保有している顧客のうち2018年3月末時点では64%が評価益を、36%が評価損を抱えていることが分かった。金融庁が都銀・地銀29行を対象に調べたところ、同じ18年3月末で投信を保有する顧客のうち46%と半数近くが評価損を抱えていた。今回の調査によると、ネット証券の方が銀行よりも投信で評価益がある顧客の比率は高い。

ある時点での投資信託の評価損の比較

18年3月末時点での比較だそうですが、これってそんなに意味がありますか?たしか、大幅に儲かって既に売却した実現益は全く考慮されてなかったですよね。また例によって金融庁のミスリードが始まりましたか。有価証券投資なんて、一番重要なのは売却のタイミングです。実現できなかった評価益なんて何にもなりません。

投資信託の買い付け時手数料

投資信託の種類を特定しているようでもないので、顧客は買い付け時に一定の手数料を払っているはずです。都銀・地銀で買い付けた投資信託はおそらく3%程度の手数料、ネット証券の場合だと1%以下。平均するとそれくらいでしょうか。ネット証券の場合はもっと手数料率低いかもしれませんね。

買い付けた後、投資対象としているマーケットがそれぞれ3%、1%、上昇するまでは評価損ということになります。この統計、もし買い付け時手数料を考慮していないのであれば、両者の評価損の比較は何の意味も持たないということです。

だから手数料をもっと下げなさい

この統計から言えることは、「だから対面販売の銀行等はもっと手数料を引き下げなさい」ということだけです。販売した後の乗り換え営業や、短期での売却といった、銀行の営業姿勢を槍玉に挙げようということであれば、ちょっと違う気がしますね。

手数料についてどういう取り扱いにしているのか、少し調べてみようと思います。この手数料についてしっかり配慮されてるようでしたら、また更新しますね。

最近お気に入りの缶コーヒー

ブラックの缶コーヒー

缶コーヒーは不味いと言われてきたけど、冷たいコーヒーは昔から缶コーヒーなんですよね。ブラック専門で、最近お気に入りのブラックが写真のコーヒーです。「世界一のバリスタ監修 コクと香りのブレンド・・・」どこまでが商品名なんだか良く分かりませんが。これです。嗜好品ですから、好みはさまざま、皆さんお気に入りのコーヒーがあるんでしょうね。

家ではネスプレッソ

自宅ではネスプレッソを使ってます。ピクシーっていうタイプ。味も気に入ってるんですが、何より後片付けやらメンテナンスが要らないのが素晴らしい。マニュアルには時々湯通ししてマシンの中を洗うように書いているんですが、一度も洗ったことなし。それでもいつも簡単に美味しいコーヒーが出てきます。このマシンは凄いですよ。

インスタントコーヒーのメーカーが出している似たようなマシンはありますが、ネスプレッソのカプセルの中は本当のコーヒー豆ですからね。1カプセルが80円前後(銘柄によって違う)。これが高いか、安いか。人によって違うんだろうけど、私は安いと思います。ぜひ一度お試しあれ。

【経済教室】膨らむ高齢者の金融資産

週末に続き、8/27 日本経済新聞に高齢者と金融に関する記事が掲載されました。一面トップ記事の次は経済教室ですか。なんか気合い入ってますね。

金融資産の高齢化

記事の中に「こうしたトラブルを回避するため、業界ごとに一定年齢以上の高齢者については慎重に契約を進めるなど自主的な取引規制を設けている。とはいうものの事業者が認知機能を巡るトラブルのリスクを回避するために、年齢のみで一律に高齢顧客を回避すれば、認知機能が高く金融商品を理解できる高齢者もリスク資産から遠ざけることになる。」という記述があり、「金融資産の高齢化はリスクマネー供給の先細りや株式市場の縮小、さらには金融市場のゆがみをもたらしかねない。」とも書かれています。

金融商品販売の現場で起きていること

実はここで指摘されているような「年齢のみで一律に高齢顧客を回避する」という想定は、既に現場で実際に起きています。各金融機関が取引規制として設けているのは、多くの場合、一律な適合性チェックの手続きであり、一律に取引を禁止しているわけではありません。しかしながら、高齢顧客の場合、顧客の適合性を十分確認するための面倒な手続きが存在すると、現場としてはどうしても高齢者を敬遠する傾向が強くなってしまうということなんです。

結果的に営業員は高齢顧客との取引を出来るだけ回避し、高齢者の保有するリスクマネーは市場に供給されにくくなっています。もう既に起きているということです。

求められる取り組み

金融ジェロントロジーという枠組みの中で考えるべきかどうかは別として、高齢化による顧客の判断能力の低下という避けて通れない現実に対しては、3つの側面から対応を考えていく必要があると思います。

  1. 判断能力がないとされた高齢者の保有資産に対する金融機関側の柔軟な対応
  2. 判断能力が低下していくことに備えた商品や取引の提供
  3. 高齢化に備えた資産形成期から始める長期投資の枠組みとしての商品開発

この中でも特に速やかな対応が求められるのは①と思われます。常識的に考えて、顧客の口座から解約出金に応じることに相応の妥当性があると思われる状況でも、金融機関として何も出来ない。既にご家族の方から念書を差し入れてもらうことで、出金対応している金融機関もあるようです。しかしながら、個々の金融機関に任せるだけではなく、成年後見制度に加えた公的な枠組みや、自主規制機関等によるガイドライン的な枠組みなど、早急に検討するべきだと思います。

高齢者認知症と金融

認知症患者、資産200兆円に 30年度 マネー凍結懸念、対策急務

8/25 日本経済新聞にこのような記事がありました。高齢者を中心に進む認知症患者、彼らが保有する金融資産が、本人の意思確認が困難なことから投資や解約、出金にいたるまでの投資行動が凍結されてしまうことについて書いています。

記事では主に、認知症患者である親の治療費や施設費用を患者名義の口座から引き出せない実態や、成年後見人制度の使い勝手の悪さなど、利用者の立場から認知症患者の課題にフォーカスしています。しかしこの問題、金融機関側にとっても非常に大きな課題となっているんです。

70歳以上の顧客の金融資産が過半に

各金融機関により多少ばらつきはあると思いますが、顧客から預かっている金融資産の半分以上が70歳以上の高齢者の資産になってきています。一方で、三菱UFJ信託銀行が公表している資料によると、年齢層ごとの認知症罹患率はこんなふうです。70~74歳で4.9%、75~79歳で10.9%、80~84歳で24.4%、85歳以上で55.5%。

金融機関が預かる金融資産の多くが高齢者に偏り、その高齢者においては上記のように認知症が進んでいるのです。なんと、85歳以上の高齢者の場合、二人に一人が認知症という状況です。

高齢者顧客との訴訟が急増

認知症が始まってきた事実を高齢者は認めたがりません。そのため、金融機関との取引に関しても、できるだけそういう素振りは見せませんし、むしろ隠そうとします。「私は大丈夫、しっかり判断できるわ」をアピールするために、積極的に営業員の話を聞いてくれたりもします。営業員にとっても認知症を見抜くことは非常に困難なのです。

取引成立。しかしその後親族が現れて、「認知症が始まっている老人に、なんでこんな取引をさせたのか。」こんな感じで訴訟が起きるわけです。それまではしっかりしていた高齢者が途端に弱気になり、「自分の意思で取引したんだ」という意思表示もしてくれず、息子、娘の言いなりに変貌してしまうのもよくあるパターンです。

訴訟においても、高齢者寄りの判断が出る事例が増加しています。ある訴訟では、争点となった金融商品取引から2年後に認知症の診断を受けた顧客に対して、「2年前の取引時点においても相応の判断力の低下があったと認めるべき」などという判決もありました。遡ってアウトってなんだよ、と当時は思ったものです。

「泣く子と地頭には勝てぬ」と言いますが、金融機関にとっては「泣く子と高齢者には勝てない」が常識になってきています。