ESG投資とは、従来の財務データによる分析に加え、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の観点から投資対象を評価しようというものです。今回はこの手法についてもう少し詳しく見ていきます。
そもそもの前提
「社会や環境を意識した投資は、同時に財務リターンも高く、投資リスクも小さい」という大前提があります(kuniは前者について、やや疑問視してますが)。社会や環境を意識した経営戦略は、企業利益や企業価値向上に繋がると言われています。
国連のPRI(責任投資原則)
そこに国連のPRI(責任投資原則)が導入され、世界中の機関投資家がこれに自主的に署名し参加したわけです。その6つの原則を見てみましょう。
- 私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESG課題を組み込みます
- 私たちは活動的な所有者となり、所有方針と所有習慣にESG課題を組み入れます
- 私たちは、投資対象の主体に対してESG課題について適切な開示を求めます
- 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います
- 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協同します
- 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します
ほぼ世界中の機関投資家たちがこんなことになってるのです。新興宗教の教義みたいですが、かなりのインパクトがありそうです。
ESG投資の種類
では、具体的にどうやって投資対象を決定したりするのか。GSIAという機関によると、7つの投資の種類があるそうです。
- ネガティブ・スクリーニング
- 国際規範スクリーニング
- ポジティブ・スクリーニング
- サスティナビリティ・テーマ投資
- インパクト・コミュニティ投資
- ESGインテグレーション
- エンゲージメント/議決権行使
ネガティブ・スクリーニングというのは、武器やたばこ、原子力、ポルノ、ギャンブル、化石燃料といった宗教的倫理観に反するものや、環境破壊に繋がるような業種を投資対象から除外するという方法です。最初から投資対象から除外されるというのはかなり厳しいです。
逆にポジティブ・スクリーニングというのは、ESGに優れた銘柄のみ選抜して投資対象とする手法です。このようにいろいろな角度からESGに照らして企業を分析し、投資対象を選んでいき、7のように、株主となった後には、物言う株主として議決権を行使していくんですから、投資対象となる企業も他人事ではいられません。
当然、企業としてもESGを意識し、それの実現に向けて、具体的なアクションを網羅しているSDGsを進めて行かざるを得ません。
個人投資家にとってのESG
どうでしょう。株式投資におけるESGの重さについて、実感できたでしょうか。今なお折に触れ報道される人権侵害や、各種ハラスメント等の事件。たった一つの事件であったとしても、機関投資家の投資対象や保有対象から除外するアクションに繋がりかねないということです。
逆に、ESGに関して、大きく貢献できる事業分野を見出していく企業にとっては、猛烈な追い風になります。我々一般投資家もこの目線は持っておかなければならないということですね。