1/19 朝日新聞デジタル版の記事です。銀行が販売した外貨建て保険に対する、2017年度の苦情件数が急増したという内容で、生命保険協会がまとめた資料を紹介しています。「元本割れするリスク」や「解約時の税金など」に関する説明を受けていない、または不十分といった内容だと報じてます。
元本確保型
今さらなんですが、「元本確保」という言葉は何とかした方が良いかもしれませんね。このブログをお読みいただいている方は、金融リテラシーの高い方が多いと思いますので、この言葉に騙されたりしないと思うんですが、高齢者の場合はそうでもないんですね。
あくまで元本が戻ってくるのは、償還(満期)まで保有した場合であり、かつその建て通貨での元本ということでしかありません。途中で解約した場合や、償還(満期)時も為替が円高に振れていると円換算で元本を割り込むことがあります。
後で苦情になるのは高齢者
営業には流れというものがありまして、突然元本確保型の保険販売ではないんです。そもそも取引が始まるときには、「元本保証の商品だけにしてね」なんていう顧客の要望を聞いたうえでスタートするわけですが、その後営業員を信頼し始めると、少しづつ「あの人が勧めてくれる商品なら大丈夫」みたいな信頼が出来ていきます。
そうなったうえで、この低金利時代。営業員としても少しづつリスクを取って、少しでも顧客に喜んでもらえる商品を、と考えるようになります。しっかりリスクを説明したうえで、「じゃぁ、すこしだけやってみようかしら」となってくれれば良いんですが、そうでもないよろしくない営業員もいるわでです。
信頼関係ができたうえで、元本確保型という商品を勧められると、高齢者は留意すべきところ「確保と保証の違い」まで細かくチェックできません。一通り商品の魅力的な部分だけ説明を受け、契約に至ってしまいます。当然良いところだけしか説明されていないので、償還時や途中解約時に元本割れ、聞いていた話と違うという苦情等になります。
多くの場合が家族からの苦情
1月、5月、8月。苦情が増加する月なんですが、何故だか分かりますでしょうか?正月、ゴールデンウィーク、お盆。そう、実家を出て暮らす高齢者顧客のご子息等が、実家に戻ってくるタイミングで、契約に関する書類とかを見付けてしまう。そんなふうに苦情は増加するんです。それもご子息等からの問い合わせという形で。ご家族からの苦情って多いんですよね。
ご家族からの問い合わせであっても、お金にまつわる個人情報ですので、問い合わせに対してスムースな対応がなかなかできない。顧客本人の了解を得たり、ご家族であることを確認したりといった面倒な手続きが、ご子息の不信感を買い、火に油を注ぐことになったりもします。
朝日のこの記事
とりとめのない話になってしまいましたが、朝日のこの記事「2012年との比較で、販売が5倍近くに増加していて、苦情は3.3倍に増加」という説得力のないお話になってます。それって、苦情発生率でみると減少してるじゃん。
足元で苦情が増加している(1月なので)という話を聞いたはいいけど、足元の実態調査をすることなく、協会の古いデータで記事書いちゃったもんだから、、、ちょっと間の抜けた記事になってしまったんでしょうね。