地域金融機関 環境と経営動向に関する整理

地域金融機関を取り巻く環境

金融庁が公表している金融レポートを参考に、地域金融機関を取り巻く環境を整理してみると以下のような感じでしょうか。

  1. 日銀の低金利政策継続により、長短金利差が縮小し、収益性が低下
  2. 比較的金利の高かった既存貸し出しや保有債券が返済、償還し、新規貸し出しや債券に置き換わることで全体の運用利回りが低下
  3. 生産年齢人口の減少により、借り入れ需要が低下し貸出残高が減少
  4. 高齢者が亡くなり、地域外に居住する次世代に相続が発生することによる預かり資産の流出

その環境下での経営の動向

このような環境下で収益を確保していくために、各金融機関は当然何かしらのリスクを取って、収益が期待できる事業分野に傾注して行くことになります。その事業分野としては主に以下のようなものがあげられます。

  1. 従来よりもリスクの高い顧客層への貸し出し(信用)
  2. 大都市等、他の地域へ進出した貸し出し(主に住宅ローン)の拡大(信用・コンプラ)
  3. アパートローン(サブリース問題も含む)(コンプラ)
  4. 個人向けカードローン(コンプラ)
  5. 有価証券運用(投資信託と外債への投資が中心)(金利・価格変動・為替)
  6. 投資信託や保険等の金融商品販売(価格変動・為替)

各項目の後ろに付けた( )内は金融機関が負う主なリスクを入れてみました。

今後何が起きるのか

地域金融機関を取り巻く環境と、その中で彼らが取り組む事業の動向を整理してみましたが、いかがでしょう。「環境」については頭の隅に入れておいてください。「経営動向」については、このあと個別に触れて記事にしてみようと思います。今後マーケット環境等が変化するのにあわせ、どのリスクが顕在化し、事業や運用にどのような影響が出てくるのかも見ていきたいと思います

既に、アパートローンやカードローン、不適切な貸付など、一部の銀行で問題が発覚していますし、その他の銀行でもこうした問題が出てくるものと思われます。

金融機関って程度の差こそあれ、基本的にどこも同じようなことをやってますからね。