地銀 私募投信の購入に傾斜

9/6付け日本経済新聞の記事より。地方銀行が貸し出し先に困り、利ざやも取れず、外債投資は当局から睨まれ、、、そんな中で私募型の投資信託に傾斜しているという記事です。

ポイントはコア純益

「私募投信は会計上、「その他有価証券」に分類されることが多い。期中の価格変動で含み損益が発生しても決算時の損益に計上する必要はない。一方で投信を持つことで得られる毎期の分配金や、投信の売却益は本業のもうけである「コア業務純益」に計上できる。」

この記事で押さえておきたいところ、ポイントは記事中のこの記載部分です。「期末時点で評価損は計上する必要はなく、期中に売却して得た実現益だけ計上することが可能」というところ。そうすることで本業が儲かっているように見えるんです。こんな会計ルール誰が決めたんでしょうね。

ブル・ベアファンドの両建てで実現益確定

この会計ルールを悪用して、ブル・ベア投信を両建てし、儲かった方だけを売却、損している方はそのまま放置。こんなことやってる銀行もあったようです。粉飾とまでは言わないけど、立派に会計操作ですね。いくら相場の素人だとはいえ、これはいただけません。

もう少しわかりやすく説明

日経平均2倍レバレッジのブル・ベアファンドで説明します。ブル型ファンドは日経平均株価が10%上昇すると20%の利益が得られるファンドで、ベア型ファンドはその逆で20%損するファンドです。逆に日経平均株価が10%下落するとブル型ファンドは20%損して、ベア型ファンドが20%儲かるわけです。2倍レバレッジというのは、その指数の変化率を2倍に拡大するという意味です。

この両方のファンドを同時に買い付けると、日経平均株価が10%変動すると必ずどちらかが20%儲かり、もう一方が20%損します。トータルでみると損益なしです。

これを期中に儲かっている方だけ売却して利益を確定(実現)し、損している方はそのまま期末まで保有するわけですね。10億円ずつ計20億円買い付けていたとすると、儲かっている方だけ売却して2億円の儲け、本業の儲けを表すコア業務純益を2億円追加することが出来るわけです。

この仕組み、対象とする指数の値動きの良さ(ボラティリティ)とレバレッジの倍率で、コア業務純益に追加できる利益額が決まります。相場の当たり外れは関係ありませんので、よりリスクの大きい取引(値動きが良く、レバレッジも高い)が選ばれるでしょう。

決算を繕った後、売却しなかった含み損のファンドは、売却のタイミングを失い、最終的には実現益とは比べものにならないほどの損失を出してしまうのが通常です。

ご理解いただけたでしょうか?ここでは極端な例を紹介しましたが、投資信託を複数銘柄買い付けたのち、儲かっている投信だけ売却して利益を出し、含み損は抱えたまま。後に大損して売却。だいたいこのパターンですね。こんな運用をやっているわけですよ、みなさんに投資信託の購入を勧める銀行で。