10月1日から株式売買単位が全銘柄100株へ
東京証券取引所に上場する全ての株式の売買単位が10月1日から100株になるようです。売買単位が100株に統一されることで、その銘柄の最低買付金額が明確になり、分かりやすくなるということです。
この日が最後の仕上げということで、これまでも東証の働きかけに応じる形で、各社1000株単位を100株単位へと変更してきていました。最低投資金額が株価を見るだけで把握できるのはとても良いことなんですが、一方で、最低投資金額がどんどん引き下げられることが良いことなのか。という疑問は少しあります。
新規の個人投資家が株式市場に参入する理由
個人の投資家が初めて株式を買う時の理由って何でしょうか。投資金額が少ないことが理由とは思えません。「この会社きっと将来大きく成長しそうだ」とか、「この会社は儲かりそうだ」。株式に縁のなかった投資家が、株式を初めて買ってみたいと思う理由は、このような期待を寄せられる投資対象が見付かったときです。
本当に魅力的な企業が上場している、今回上場する、これこそが最も重要なことであり、取引所や証券会社がもっと真剣に取り組むべきことです。再上場などといって、ワールドなんか上場させることではないとkuniは思いますね。
kuniが知る限り、これまで証券会社が最も多くの新規投資家を顧客化できたのは、NTT株が上場したときです。国が放出する銘柄で、誰もが知っている。公募株式1株で最低投資金額119万円でしたが、もの凄い数の新規株式顧客ができたものです。
売買単位変更にあわせて行われた株式併合
これまで売買単位1000株を100株に変更してきた銘柄の中には、同時に10株を1株に株式併合した銘柄も少なくありません。もともと200円の株式、つまり1000株で投資金額は20万円。これが100株になり、株式併合で株価は2000円になるわけです。そもそも倒産株価に近かった銘柄が、突然2000円の銘柄に。昔から株価を見てきた者にとって、非常に分かりにくくなりました。
以前は100円台、200円台の株価を付けている銘柄は、ほぼ投資対象から外すものでした。こんな株価に評価されている、つまり業績が相当ヤバイことになってるわけですから、一目でそういう銘柄は分かったんですね。今ではそれが財務内容を見てみないと峻別できません。投資家には優しくないですよね。
一方で上場している企業の側には、倒産株価みたいな見方をされなくなるわけですから好都合、企業イメージは上がります。これってどうなんでしょうね。上場企業寄りの施策であり、投資家に優しくない、もっと言うと投資家にとっては偽装されたようなもんですよね。取引所のこんな一面、また別の機会にでも取り上げたいと思います。今日はここまで。